意見書第16号 (平成22年) 尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書
意見書第16号
尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書
本年9月7日、尖閣諸島沖の我が国の領海内で中国漁船衝突事件が発生し、那覇地方検察庁は24日、公務執行妨害で逮捕した中国人船長を処分保留のまま釈放した。
「尖閣諸島は日本固有の領土で領有権の問題は存在しない」ということが政府の見解であり、過去の経緯を見ても中国や台湾が領有権について独自の主張を行うようになったのは、この地域で天然資源があると言われ出した1970年代以降であり、それ以前はどの国も異議を唱えることはなかった。
しかし、今回の事件において、中国人船長が逮捕されると、中国側は閣僚級以上の交流停止や国際連合総会での日中首脳会談の見送りなどの対抗措置を取り、また、中国人観光客の訪日中止など我が国の各種産業にも悪影響が出ている状況である。
このような中、船長を釈放した事実は「中国の圧力に屈した」との印象を国民のみならず諸外国にも与え、現政権与党の国家主権に対する認識に疑問を抱かざるを得ず、極めて遺憾である。今後、同様の事件に発生した際、国内法に基づいて厳正に対処していく姿勢を貫かなければならない。
よって、国会および政府におかれては、下記の事項を実現し、き然とした外交姿勢を確立されることを強く求める。
記
1 「尖閣諸島は日本の固有の領土である」との態度およびその根拠を、中国および諸外国に明確に示し、今後同様の事件が起こった際は、国内法に基づき厳正に対処すること。
2 海上保安庁が撮影した衝突時のビデオの公表を含め、事実関係の解明に努めること。
3 政府は、検察当局の判断の根拠も含め、国会の場で国民に対して説明責任を果たすこと。
4 政府は、中国との関係をこれ以上緊張させることなく、平和的、外交的に解決できるよう努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年10月1日
滋賀県議会議長 吉 田 清 一
(宛先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、国土交通大臣