意見書第25号 (平成27年) 関西広域連合による国に対する原子力防災対策に関する申入事項さえ実行されない中での高浜発電所3号機および4号機の再稼働を行わないことを求める意見書(案)
関西電力高浜発電所3号機および4号機(以下「高浜原発」という。)については、既に政府や関西電力から再稼働を進めていく旨の方針が示され、平成28年1月以降の再稼働が計画されているが、その再稼働に係る地元同意は、立地自治体である福井県と高浜町に限定され、原子力災害対策指針において原子力施設から概ね半径30kmの範囲を目安とされている緊急時防護措置を準備する区域内(以下「UPZの区域」という。)に所在する本県を含む地方自治体は、その対象とされていない。
このような中で、関西広域連合は、原子力防災対策に関し、国に対し、平成26年12月に「再稼働の判断に当たっては、安全を第一義として地元同意のプロセスによることなく、地域の実情に応じて対応すること。」、「UPZの区域を含む周辺自治体と事業者との安全協定については、事業者に対し、立地自治体並みの内容とし、早期締結に応じるよう指導すること。」、「実効性ある広域避難計画が早期に策定できるよう、国が主体となって必要な調整を行うこと。」などの7つの事項について、平成27年4月に「原子力発電所の再稼働は、国の責任体制を明確にし、必要な法的枠組みを整備すること。」などの3つの事項について、申入れを行ったが、未だ十分に実行されていない状況にある。
また、原子力規制委員会では、高浜原発について新しい規制基準に適合していることを「確認」したものとしているだけであり、UPZの区域に所在する地方自治体において策定が必要となる重大事故に備えての避難計画が、新しい規制基準における再稼働の要件となっていないことから、現状のまま再稼働が行われると、住民の安全が十分に担保されず、重大事故が発生した場合には、住民の命や健康、暮らしに大きな被害が発生することになる。
よって、政府におかれては、関西広域連合の国に対する原子力防災対策に関する申入事項さえ実行されない中では、高浜原発の再稼働を行わないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月21日
滋賀県議会議長 西 村 久 子
(宛先)内閣総理大臣、経済産業大臣