意見書第6号 (平成28年) 児童虐待防止対策の強化を求める意見書
近年、核家族化や地域におけるつながりの希薄化等により、家庭や地域における養育力が低下し、子育ての孤立化や子育てに関する不安感や負担感が増大している。また、児童虐待に関する相談対応件数は増加の一途をたどっており、児童虐待により幼い命が奪われる深刻な事態も相次いでいる。
こうした現状を踏まえ、政府は平成27年12月に「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」の一つとして「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を策定した。
児童虐待に関し、その発生予防から自立支援までの一連の対策を強化するためには、同プロジェクトに盛り込まれた施策を着実に実施していくことが求められる。
よって、政府におかれては、同プロジェクトを実現させるために必要な児童福祉法等の改正案を早期に国会に提出するとともに、下記の施策について迅速かつ着実に実施されるよう強く求める。
記
1 子育て世代包括支援センターを法定化し、同センターを核として妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を提供する仕組みの全国展開を図るとともに、様々な事情により地域社会から孤立している子育て家庭に対するアウトリーチ支援を強化するため、乳児家庭全戸訪問事業や養育支援訪問事業を全ての自治体において実施し、訪問型家庭教育支援を推進すること。
2 児童相談所全国共通ダイヤル(189)について、更なる周知を図るとともに、利用者の立場に立った利便性の改善を検討すること。
3 児童虐待が発生した場合に迅速かつ確実に初期対応が図られるよう、児童相談所の体制や専門性を計画的に強化すること。特に、児童福祉司、児童心理司、保健師等の配置の充実や子どもの権利を擁護する観点等からの弁護士の活用等を行うこと。
4 地域の関係機関等が連携して適切に対応するため、要保護児童対策地域協議会の設置を徹底すること。特に、警察と児童相談所が情報共有を強化し、一時保護等に共同して対応する仕組みを全国で構築すること。
5 里親等への一時保護委託を推進するとともに、一時保護所についても必要な環境改善や量的拡大を図ること。
6 18歳に達した者に対する継続的な自立支援の在り方について、引き続き検討するとともに、児童養護施設等を退所した児童等に対して相談、支援等を行う退所児童アフターケア事業の実施地域を拡大すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年3月18日
滋賀県議会議長 西 村 久 子
(宛先)内閣総理大臣、法務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、国家公安委員会委員長