受理番号:請願第3号
精神障害者の公共交通運賃等の割引制度の適用を求める意見書の提出を求めることについて
障害者基本法では、精神障害者も身体障害者および知的障害者と同じ「障害者」として定義されており、障害者の自立および社会参加支援等に向けた基本理念を定めている。障害者の自立や社会参加を促進するためには、公共交通機関などの移動支援の確保が必要不可欠であり、各種公共交通事業者や高速道路会社は、障害者に対する交通運賃等の割引制度を設け、障害者の移動に係る経済的負担の軽減を図っている。しかし、精神障害者については、現在もなお交通運賃割引制度の対象から除外されており、精神障害者の社会参加を促す上で大きな課題となっている。
精神障害者家族会の全国組織である全国精神保健福祉会連合会が実施したアンケート調査結果(回答者約4,800人)によると、精神障害者の1カ月の平均収入は約6万円、そして無年金者は約20%にも及ぶ。当然のこととして、交通費の負担が大きく、外出を控えるなど社会参加にほど遠い深刻な実態が明らかになっている。
改正障害者基本法、障害者総合支援法、障害者差別解消法などの施行により、国内法が整備され、平成26年1月に国連の障害者権利条約が日本においても批准された。同条約第20条では「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時期に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。」および第4条では「障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置をとること。」「この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。」と定めている。
一連の国内法や条約に照らせば、障害者の公共交通運賃等の割引制度から精神障害を除外するような状況は、一刻も早く是正されなければならない問題である。
よって、国会および政府に対し、精神障害者も身体障害者および知的障害者と同等に公共交通運賃等の割引制度の適用対象とするよう各種交通事業者に働きかける等、必要な措置を求める意見書の提出を強く要望する。