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知事提案説明(平成19年 9月定例会)

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平成19年9月県議会定例会 知事提案説明

平成19年9月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員の皆様のご参集をいただき、9月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸問題について所信を述べさせていただきます。

 まず、本議会に提案いたしました案件のうち、9月補正予算について申し上げます。
 今回の補正は、国庫補助負担金の内定に伴いますものや、入札などで不用となったもの等につきまして現時点で精査をし、残った財源を緊急に処理を要する事業に振り向けたり、将来に備えるなど、必要な予算措置を講じようとするものでございます。

 主な事業について申し上げますと、まず一般会計では、琵琶湖の南湖を健全な生物生息空間、豊かな漁場として再生するため、都市再生プロジェクト「琵琶湖・淀川流域圏の再生計画」の一環として実施いたします南湖湖底環境改善事業に必要な経費を計上いたします。
 また、介護現場での恒常的な人手不足に対応するため、資格を持ちながらも介護業務に従事していない、いわゆる潜在的有資格者の掘り起こしや就業支援など、福祉人材の確保・定着を図るための経費などについても、必要な額を計上することといたしました。

 この結果、一般会計の補正予算額は15億5,372万5千円の減額となり、9月補正予算としましては4年連続の減額補正となったところでございます。
 また、特別会計では、流域下水道事業、土地取得事業および公営競技事業につきまして、国庫補助金の内定や競艇事業の売り上げ増に伴い事業費の調整などを行うことといたしておりまして、3会計合わせて116億 8,869万8千円の増額補正となったところでございます。

 次に、行財政改革について申し上げます。

 分権改革が進む今、県は県域の発展を担い、広域的な視点から地域の価値を引き出し、県民自身が誇りと愛着を感じられるよう、滋賀らしい魅力ある地域づくりを進めていく地方政府であります。
 そのために、県は高度な専門性が必要となる課題を担い、さらには市町では効率的・効果的に対応できない課題などを担っていく役割が求められています。
 また、時代が大きく変化する中で、私たち自身の幸せや豊かさを求めながらも、次世代の子や孫たちが滋賀の地に誇りを持ち、幸せや豊かさを実感し心安らかに暮らすことができるように未来志向の政策を実践していくことが今の私たちの世代に求められています。

 こうした中で、県の役割を現下の大変厳しい財政状況の中でもしっかりと果たし、活力ある滋賀を築いていくためには、安定的で持続的な行財政基盤の確立が必要であり、行財政改革の実行は避けては通れない緊急の課題であります。

 このため、現在、「新しい行政改革の方針」のとりまとめを急いでいるところであり、また、この方針に沿って財政改革を計画的に進めるため、平成20年度から概ね3年間を計画期間といたしまして、「新たな財政構造改革プログラム」の策定に向け、全庁的な検討を進めているところでございます。

 本県の当面の財政収支見通しにつきましては、すでに昨年の平成18年3月に「新行革大綱」を策定した時点でも大幅な財源不足が見込まれ、一層の歳出削減をしなければ、「財政再建団体への転落」が避けられないと表明したところでございます。その後の状況変化を折り込み、現時点で一定の前提条件の下に平成20年度から22年度までの収支見込みを試算いたしましたところ、平成20年度では概ね400億円、平成21年度では概ね460億円、平成22年度では概ね450億円の収支不足が見込まれるところでございます。

 平成10年度以来、数次にわたる財政構造改革の努力にもかかわらず、依然として巨額の財源不足が生じており、このまま何も手だてを講じない場合には財政再建団体への転落は現実のものとなる状況であります。
 一方、これまでは財源対策として財政調整基金や県債管理基金などを活用し、その対応を図ってきたところですが、これらの基金も底をついています。また、財源対策的な県債の発行可能額も限られるなど、これまでと同様の対応を続けることは大変困難な状況となっております。
 このように本県財政は極めて厳しく、まさに「非常事態」ともいうべき危機的な状況であると認識しております。
 私としては、本県の「自治と自立」を失ってしまうような財政再建団体への転落は、是が非でも阻止しなければならないと決意しております。

 このため県といたしましては、すべての施策や事務事業について聖域を設けず、現在の社会情勢、経済情勢を十分踏まえながら、その必要性・効果性などの面についてゼロベースで徹底した見直しを行います。さらにこのような厳しい財政状況は全国的な傾向でもあり、国の地方財政対策に負うところが大きいことから、全国知事会をはじめとする地方団体と連携を図りつつ、必要な税財源の確保・充実を国に対して、今後も引き続き強く要請してまいりたいと考えております。

 新たな改革を進めるに当たっては、県民の皆さんの身近な生活そのものを守り、滋賀の地に誇りと愛着が感じられ、「安心できる暮らし」が確保されることを基本に据えることが何よりも重要であると考えております。
 県民の皆さんの暮らしをしっかりと支えていくための確かな礎を築くという観点から、持続的な県政の実現を目指して、滋賀の活力を一層高めていけるよう徹底した行財政の改革を進めてまいります。

 改革を進めるにあたりましては本県財政の置かれている危機的な状況を議員各位をはじめ県民の皆さんにも十分ご説明し、なぜこのような危機に陥ったのか、その要因を分析しながら、情報を共有し、透明度を高め、県の施策、事業全体の見直しを全庁挙げて取り組んでまいります。

 私は、こうした改革に、後ろ向きになることなく、プラス思考で、不退転の決意で臨む覚悟であります。議員の皆様におかれましても、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 次に、造林公社の抜本改革についての基本的な考え方について申し上げます。

 滋賀県造林公社およびびわ湖造林公社の2つの造林公社は、多額の累積債務を抱え、木材価格が低迷するという現下の社会情勢の中で、伐採収入による借入金の償還が困難と見込まれるなど、その経営は極めて厳しい状況にあります。
 このような厳しい状況に陥った主たる要因は、木材輸入の自由化など国の政策方針の変更にあると認識しており、これまでより国に対して公社の経営改善に必要な要望を重ねてまいりましたし、これからも粘り強く行ってまいりたいと考えております。

 こういった造林公社の厳しい経営状況は、本県のみならず全国共通の課題でもあり、各府県、各公社におかれても様々な改革を実行しております。 本県といたしましても、他府県の事例を参考にさせていただきながら、滋賀県固有の課題も折り込み、現在、公社の抜本改革について関係機関と協議を進めているところであり、合意に達するよう最大限の努力を行っているところであります。

 その結果によっては、関係者の皆さんをはじめ県民の皆さんにも、ご負担をおかけすることもあると認識しております。

 琵琶湖周辺の森林は、もとより琵琶湖の環境と私たち滋賀県民の暮らしをささえるだけでなく、淀川下流域の水資源を確実に維持するために重要な役割を担っておりまして、その役割は今後も変わらないものでございます。
 このかけがえのない滋賀の森林を健全な形で次の世代に引き継げるよう、よりよい方策を見出してまいりたいと考えております。

 次に、新幹線新駅問題について申し上げます。

 新幹線新駅問題につきましては、現行協定類の履行の諾否の期限でもあります10月末までに関係者の合意のもとに最終結論が得られるよう、引き続き、東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議を中心に関係者の合意形成に誠意をもって対処させていただいているところでございます。

 かねてより懸案となっております栗東新都心土地区画整理事業への対応につきましては、去る6月30日に、自治会役員の方や地権者代表の方々と直接お話しをする機会を持たせていただくとともに、8月には、地元の4つの自治会に出向きまして、自治会ごとに話し合いをさせていただき、個々の地権者の方々のご意見を直にお聴きできたところでございます。さらに、去る9月11日には、下鈎甲自治会と二度目の話し合いを行い、他の3自治会の役員さん方もご出席いただきました。
 こうした話し合いの中で、地元の皆さんからは、抱える窮状や県に対する要望など、大変厳しく切迫したご意見をいただき、私としては、これを大変重く受け止めさせていただきました。

 促進協議会正・副会長会議につきましては、今月3日に開催し、新駅問題の解決に向けての県の基本的な考え方をまとめた「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」を県からお示ししたところでございます。

 その内容といたしましては、県、栗東市および促進協議会関係5市が現行協定類を履行しないことに合意し、これらを終了することをはじめとして、関係市および栗東市に対する事業費の清算に当たっての費用負担の考え方、現行協定類の終了を前提として、栗東市が栗東新都心土地区画整理事業を継続実施される場合に県が支援すること、今後、正・副会長会議等で県南部地域の振興の方向性の考え方を提案し、具体的には、県、関係市等で構成する(仮称)南部地域振興会議を設置して検討すること、さらには、現行協定類の終了にかかる諸課題を考慮し、当分の間、東海道新幹線新駅等施設整備促進基金を存置することを提案したところでございます。
 正・副会長会議においては、県の方針(案)をベースに、引き続き議論することを確認いただいたところであり、この方針(案)をたたき台として関係者が十分協議し、合意いただくことにより、土地区画整理事業に対して早期、適切に対応するなど、協定類の終了による県の責任を果たしてまいりたいと考えております。

 10月末の期限まで時間は限られておりますが、既に県の方針(案)に基づき、栗東市と事務レベルでの協議を進めているところであり、今後、正・副会長会議で議論を深め、関係者の合意による解決に向けて精一杯努力してまいる所存であります。

 次に、琵琶湖や淀川の河川政策について申し上げます。

 一つは、淀川水系河川整備基本方針の策定についてであります。
 この基本方針については、国の社会資本審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において過去7回の審議が行われ、内後半4回は私も委員として出席をいたしました。委員会では、流域の上下流の問題点などについて活発な議論が行われ、8月16日に基本方針が策定されたところでございます。

 今回、淀川水系の新しい基本方針が策定される中にあって、一部の地域の犠牲によるのではなく、流域全体の安全度を向上させるという基本理念から、瀬田川洗堰の全閉操作を原則として行わないということが明示されたことや、治水利水への影響を考慮した上で、生物の生息・生育環境および景観を形成してきた琵琶湖本来の季節的な水位変動の確保に努める、とされたことは滋賀県にとって大変意義深いものと考えております。

 2つ目には、8月28日に公表されました淀川水系河川整備計画の原案についてであります。
 この原案によりますと、大戸川ダムは流水型ダムとして整備し、丹生ダムはダム形式の最適案を総合的に評価して確定するため、調査・検討を行うとされています。
 また、瀬田川洗堰の操作に関わることなど滋賀県にとって重要な記述がなされておりますことから、今後、県といたしましては、国に詳細な内容をお聞きしながら、住民の皆さんの意見も伺いながら、滋賀県と琵琶湖の未来にとって誤りのない方向での方針をまとめてまいりたいと考えております。

 それでは、今議会に提出いたしております案件の概要について、ご説明いたします。

 まず、新規条例を制定するものについてでございます。
 議第107号は、新湖北(一期)地区および神崎川下流地区の国営土地改良事業に係る地元負担金の徴収について必要な事項を定めるとともに、既に支払いが完了している地区の負担金徴収条例を廃止、整理するため、条例を制定しようとするものでございます。

 次に、条例改正を行うものについてでございますが、議第108号、議第113号および120号は、琵琶湖における市町境界の設定に伴い、新たに各市町の区域となる琵琶湖について、これを管轄する振興局等を定めるため、必要な改正を行おうとするものでございます。
 議第109号は、知事の権限に属する事務のうち、都市計画法に基づく開発許可に関する事務等について、新たに甲賀市および湖南市が処理することができるようにするなど、必要な改正を行おうとするものでございます。
 議第110号は、地方税法の一部改正に伴い、産業活力再生特別措置法で規定する認定技術活用事業革新計画等に基づく不動産の取得について特例措置を設けるなど、必要な改正を行おうとするものであり、議第111号は、温泉法の一部改正により、掘削等の許可について地位の承継手続が設けられたことに伴い、事務手数料を追加するなど、必要な改正を行おうとするものでございます。
 議第112号は、貸金業の規制等に関する法律の一部改正に伴い、必要な規定整備を行おうとするものでございますし、議第114号は、県営住宅から暴力団員の入居を排除するなど、必要な改正を行おうとするものでございます。
 議第115号は、都市計画法の一部改正により、市街化調整区域における大規模開発の基準が廃止されたことなどに伴い、また、議第116号は、地下水汚染の未然防止や汚染の早期発見と拡大防止の制度を新たに追加するなど、必要な改正を行おうとするものでございます。
 議第117号は、省令の一部改正に伴い、ふっ素等に係る排水基準が強化されたため必要な改正を行おうとするものでございますし、議第118号および119号は、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正に伴い、育児部分休業の対象となる子の年齢が引き上げられたことに準じて、必要な改正を行おうとするものでございます。

 次に、その他の案件でございますが、
議第121号から124号までは、一般会計および各特別会計、ならびに病院事業会計など公営企業3会計の平成18年度決算について、認定を求めようとするものでございます。
 議第125号は権利放棄について、議第126号は、県立北大津高等学校における損害賠償請求事件に係る加害生徒への求償訴訟の提起について、議第127号から129号までは、平成19年度において、県が行う建設事業等に要する経費につき、関係市町が負担すべき金額を定めようとすることについて、それぞれ議決を求めようとするものでございます。

 以上、何とぞよろしくご審議をいただきますよう、お願い申し上げて提案説明とさせていただきます。
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