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知事提案説明(平成20年 2月定例会)

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平成20年2月県議会定例会 知事提案説明

平成20年2月県議会定例会 知事提案説明

 本日、2月県議会定例会を開会し、提出いたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、新しい年度に向けた県政の運営方針について申し上げますとともに、議案の概要についてご説明申し上げます。

 2008年、本年は平成の世に入りまして、20年目の年となります。
 昨年11月には、全国海づくり大会に天皇皇后両陛下のご臨席を賜りまして、大きな成果を残して終えることができました。天皇陛下からは、ご自身が50年前にアメリカからお持ち帰りになったブルーギルの繁殖に心を痛めている、という大変真摯なお言葉をいただきました。

 また、海づくり大会に関して陛下が、「古き湖(うみ)に育まれきし種々(くさぐさ)の魚安らかに住み継ぐを願ふ」と御製のお歌をお詠みになりました。
 この天皇陛下のお気持ちをしっかりと受け止め、琵琶湖がもう一度、固有種が溢れる、にぎやかで豊かな「湖」となるよう、琵琶湖の再生・保全に立ち向かっていかなければ、という決意を新たにしております。

 琵琶湖の価値というのは、人類史的に見ると大変意義深いものがあります。琵琶湖は400万年の歴史を持つ、固有種豊かな古代湖です。その固有種を利用して縄文の時代から独自の淡水漁業文化を生み出し、育ててきました。同時に、中心に竹生島を抱き、周囲には数多くの聖なる拠点を生み出し、比叡山の天台薬師の池として、神と仏が共に住む信仰の湖でもあり続けました。

 また、近代文明が発達し、水資源としての文明的な価値が高いところで、古代湖としての生態系を維持しつつ、古い文化、「水の浄土」と言われる文化を維持しているところは世界の中でも極めてまれです。近代文明と、いにしえの時代からの淡海の文化が共存するのが琵琶湖盆地です。

 琵琶湖というのは、手つかずの自然ではなく、大変苦しみながら傷を負いながらも、必死に生き延びようとしている自然であるということ、そして文化も、新しい欧米の文化を取り入れながらも、古来からの淡海文化を主張し続けていることなど、その相互作用のあり方が個性的で大切な資産であると考えております。

 琵琶湖の持っているこのような自然的文化的価値を改めて私たちが認識しながら、滋賀や琵琶湖の価値と魅力を日本国内だけでなく、世界に発信していきたいと考えております。

 さて、平成20年度の予算編成は、昨年12月議会で議決をいただきました「滋賀県基本構想」の実現に向け、また基本構想に折り込まれましたマニフェストの理念と施策の実現に向け、その本格的なスタートの年となりますので、全力を挙げて取り組んでまいりました。
 少子高齢化の進行や環境問題の深刻化、財政問題の深刻化、分権化の進行など社会情勢が大きく変化する中で、滋賀県の未来を示す上で、今は大変重要な時期にあると認識しております。

 その政策の基本の一つは未来志向的であるべき、ということです。今日、我が国の社会は成熟社会への移行期を迎え、開発を基調とした量的な拡大を目指す社会から様々な資源的制約のもとで生活の質的な向上を重視する社会へと転換しつつあり、将来のリスクやコストを最小限にするための未来志向的な対応が求められています。
 また、人口減少や少子高齢化が一層進行するとともに、温暖化をはじめとする地球規模の環境変化の影響が琵琶湖の水環境など身近なところまで及んできており、環境問題が深刻さを増しています。

 そしてもう一つは、国と地方の関係をはじめとする地方分権の進展など、この国のカタチを選択するべき時代であるということです。
 人々の価値観が多様化し、量的にも質的にも行政が抱える課題が増える中で、現場のことは現場で決めるという「地域主権」、あるいは一般に言われている「地方分権」が時代の要請となり、地方自治体は主体的・自主的にその役割を見極めながら、住民の皆さんの思いや願いに応えていく必要に迫られております。

 こうした時代背景にありまして、今を生きる私たちは、何よりもまず、社会や次世代への影響を念頭に置きながら、主体的に行動する自立性を高め、県民や各種団体、企業、行政などが自らの役割を自覚し、協働していくことが求められています。
 そうした中、県としては、財政状況が大変厳しい中で、今まで以上に限られた財源や人的資源、いわゆる経営資源の公正な配分と最適な組み合わせを判断し、県政経営にあたらなければなりません。

 厳しい時代であるからこそ、「ないものねだり」ではなく「あるもの探し」「あるもの活かし」が必要です。滋賀という地域の持っている潜在的な力、魅力、資産を最大限生かす、内発的な成長発展を目指すことで、この難局を乗り切り、県民の皆さんが誇りを持って暮らしていける魅力的な滋賀を目指したいと考えております。

 県民の皆さんとともに、私たちの暮らしと地域の未来、私たちが織りなす社会の未来を拓いていく決意を改めて申し上げまして、以下具体の説明に入ります。

 まず、最近の我が国の経済動向についてです。先月18日に発表されました1月の政府月例経済報告によりますと、「景気は、一部に弱さがみられるものの、回復している」との基調判断がなされています。

 先行きにつきましては、「企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くと期待される一方で、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の下振れリスクや金融資本市場の変動、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある」とされています。
 一方、本県経済に目を転じますと、個人消費はおおむね横ばいでありながらも、雇用情勢は着実に回復しており、全体として「県内景気は、一部に弱い動きがあるものの、回復傾向が続いている」と認識しています。
 しかしながら、景況感には業種や企業規模によってバラツキが見られ、特に中小企業は、大手に比べると依然厳しい状況に置かれていることに留意する必要があります。

 こうした状況の中で、平成20年度の予算編成に当たっては、先に試算した財政収支見通しにおける約400億円もの財源不足をいかに縮減するかが、大きな課題となりました。

 このため、これまでと同様の行財政運営を続ければ、早晩いわゆる財政再建団体になりかねないとの認識のもと、財政危機回避のための議論を関係の皆さんと重ね、将来にわたって安定的で持続的な行財政基盤の確立にむけた改革の取り組みを進めてまいりました。

 一方で、今、経済的不安や環境破壊という時代の変化の中で、多くの皆さんが実感として感じている生活不安に対して、「県民の皆さんの暮らしと命へのしわ寄せを極力回避する」というセーフティネットを確保しながら事業の見直しを行い、基本構想の実現をめざして、新しい施策の構築に努めてまいりました。

 こうした中、来年度の国の地方財政対策の内容が12月の年末に明らかになってまいりました。地方税の偏在是正により生じる財源を活用して、地方財政計画に歳出の特別枠「地方再生対策費」が設けられ、地方財政に一定配慮される形となりました。

 しかしながら、本県におきましては、歳入面で県税収入が収支試算より15億円の増と順調に見込めるものの、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税が、「地方再生対策費」を加味しても約1,100億円程度となる見込みであり、当初の見込みから30億円程度減少することとなりました。この結果、歳入では試算額より15億円程度減少することとなり、より一層厳しい状況に立ち至りました。

 一方、歳出面におきましては、当初見込んでいなかった環境事業公社への出えん金など新たな要素が加わり、歳出では6億円程度の増となり、当初見込んでおりました平成20年度の財源不足額は400億円から421億円へ拡大することとなり、この大変な財源不足への対応を迫られることになりました。

 このため、事務事業の抜本的な見直しなど、考えられる最大限の対応を行うことにより、人件費で約40億円、事業費で約131億円、合わせて約171億円の削減が可能となりました。

 この対応の中では、現在の社会情勢、経済情勢を踏まえながら、事業の緊急度、重要度などについて厳しく優先順位を見極め、必要な制度を将来に向けて安定的に維持するという視点から判断する一方、事業を取りやめたり、縮小したり、県民の皆さんや関係団体、市町の皆さんに一定の我慢や負担をお願いするものも生じたところでございます。

 しかしながら、このような種々の取り組みを行いましても、なお250億円の財源不足額が残ることとなりました。これに対しましては、財政調整基金や県債管理基金など財政調整的な基金を合わせて94億円取り崩すとともに、財源不足のための県債についても、退職手当債55億円を含む108億円を発行することなどにより、対処することといたしました。

 この結果、平成20年度の一般会計当初予算の総額は、4,934億3,000万円となり、平成3年度以来の4千億円台となりました。前年度に比べますと、金額で138億8,000万円、率にして2.7%の減でございます。

 次に主な歳入について申し上げます。
 まず、県税でございますが、総額は1,885億円で、前年度に比べて95億円の増、率にして5.3%の増となり、当初予算としては4年連続で前年度を上回ると見込んでいます。
 項目別に申し上げますと、まず法人二税は、これまでの企業業績の好調さを受けて、724億8,000万円を計上しております。これは前年度に比べ64億円、率にして9.7%の増でございます。改めて県民の皆さんの納税へのご努力に対して感謝を申し上げたいと思っております。
 法人二税以外の税につきましては、個人県民税が税源移譲の平年度化などにより、また県民税利子割が金利の上昇により、それぞれ増収が見込まれる一方、自動車税・自動車取得税で新規販売台数の落込みなどにより減収を見込んでいます。

 次に、地方交付税は、地方財政計画や今年度の法人二税が好調であることなど、本県独自の事情等を勘案いたしまして、873億円を見込んでいます。これは前年度に比べ、90億円、9.3%の減となります。

 また、県債につきましては、投資的経費の重点化、効率化により極力発行の抑制に努めたところでございますが、地方財政計画の歳出に設けられました「地方再生対策費」について平成20年度は臨時財政対策債の発行によりその財源を確保されることとなりました。そのために、臨時財政対策債は前年度より41億円増の227億円を見込んでおります。

 一方、県の判断により発行しますいわゆる通常債は、「しが新事業応援ファンド」を組成するため(独)中小企業基盤整備機構から無利子で借り受けます資金32億円を含めまして、492億円としました。

 こうした結果、地方交付税の振替として発行します臨時財政対策債を除く県債残高は、平成20年度末残高見込みで42億円減少することとなりました。

 このほか、歳出に見合った分担金及び負担金や使用料等を見込みまして、それぞれ計上しております。

 それでは、以下、平成20年度予算に計上いたしました主な施策につきまして、基本構想の3つの戦略に沿ってご説明申し上げます。

 基本構想に掲げる基本的ねらいは「未来を拓く」ための次世代を展望した仕組みつくりです。そのために滋賀県が本来持っている素材に磨きをかけ、その持つ力を引き出す、いわば地域の潜在力を引き出していくという視点から、「人の力を活かす」「自然の力を活かす」「地と知の力を活かす」の3つの戦略を着実に推進できるよう施策構築に努めました。

 次代を担う子どもを育てる社会の仕組みづくりや、地球温暖化への対応や琵琶湖再生をはじめとする環境施策、さらには産業振興や魅力あるまちづくりの施策などを様々な主体との協働を積極的に推進しながら展開し、滋賀県の持つ力を最大限に活かし、同時に滋賀県の魅力をさらに高め、発信していきたいと考えています。

 まず、戦略1は「人の力を活かす」です。
 地域のつながりを深め、誰もが人権を尊重され、人の力が活きる、活かせる社会を実現するための施策を着実に進めてまいります。
 まずは、少子高齢化の中で、「子どもが生まれ」、生まれた子どもの「力を育む」こと、人を育てることを一つの柱にしております。

 そのために『社会で子育てを支える』働き方の見直しや仕事と家庭の両立が可能な職場環境づくりを促進するため、ワーク・ライフ・バランス取組企業の登録・紹介を行うとともに、母子家庭の母や出産、子育て等を理由に離職した女性が再就職を目指すことができるよう支援してまいります。

 また、『子どもの多様な学びの場をつくる』ため、少人数学級編制を引き続き実施いたしますほか、生徒の臨床心理に関して高度の専門的な知識を有するスクールカウンセラー等を学校に配置するとともに、新たに特別支援教育巡回チームを各学校に派遣し、専門家による発達障害のある子どもたちへの指導を行うことにより、きめ細やかな教育環境を整えてまいります。
 また、公立学校とともに公教育の一翼を担っている私立学校の運営を支援してまいります。

 さらに、自然、文化・芸術など地域資源を活用した教育、体験活動を推進するため、学習船「うみのこ」を使った宿泊体験型の教育を展開するとともに、子どもが勤労観・職業観をはぐくみ、自らの将来の生き方を見いだしていく力を養うため、中学2年生による5日間の職場体験学習、いわゆる「中学生チャレンジウィーク」を実施してまいります。

 特に、琵琶湖をいだく本県の環境教育の、まさにシンボルともいえる学習船「うみのこ」につきましては、昭和58年から今日まで、累計で39万人を超える小学校5年生が乗船し、学習航海を体験してきました。就航から既に24年が経過し、船体や各設備には老朽化が目立ち始めております。
 そこで、いずれは必要となる新船建造に向けて、今から備えておく必要があり、次の世代のために、また本県の環境へのこだわりとして、新船建造に向けた基金を設置いたします。

 次に、退職シニアの居場所づくりや仲間づくり、女性の社会参加などを通じて、地域に密着した活動を展開するため、『力を発揮できる多様で柔軟な活躍の場』づくりを進めてまいります。

 年齢にかかわりなく『健康でいきいきと暮らせる』ことが重要でありますことから、健康や食生活に関心を持ち、「何を」「どれだけ」「どのように」食べたらよいかを具体的に知り、生活習慣として実行できるよう、乳幼児期からの食育を推進します。

 また、本県の乳児死亡率、新生児死亡率が、全国平均に比べて高率となっていることが明らかになっています。次代を担う子どもを、「生まれる前、生まれるとき、生まれてからの危機」から切れ目なく守ることが求められています。

 そこで男女ともに思春期の時代から命の生まれる学びを始まりとして、マタニティーマークの普及や、妊婦健診の受診を呼びかけるなど、妊婦自身の健康管理と周囲の理解を促すような学びの場づくりを行います。あわせて周産期の連携システムの検討や緊急搬送にかかるコーディネーターの設置など医療体制の充実・強化を行い、死亡率の改善を図ってまいります。

 さらに、休日夜間に小児救急医療を行う医療機関への支援強化や、小児救急医療電話相談事業などを実施し、小児救急医療体制の確保を図ります。

 また、年々深刻さを増してきている医師不足対策のため、琵琶湖マザーホスピタル事業として県立病院に新たに医師養成機能や医師派遣・研修機能を整備し、県民の皆さんへの良質な医療の提供を図ってまいります。

 生涯にわたり健康で明るく活力に満ちた暮らしができるよう、スポーツの振興にも一層取り組んでまいります。だれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめる生涯スポーツの充実と定着を図るため、「第21回全国スポーツ・レクリエーション祭」を10月に本県全域で開催し、健康で生きがいにあふれた地域社会の実現と、全国に向けた滋賀の魅力の発信に努めます。

 次に、多様化する地域の課題やニーズに対応できる地域総合力の向上を図るため『地域での多様な支え合いの輪を広げる』施策をすすめます。そのため、NPOや地域団体等と行政がともに主体的に地域を支え合う協働型の社会づくりを目指し、NPO等からの現場視点による提案に基づき、ともに公共政策を創り上げていく「協働提案制度」の創設に向けて検討を行ってまいります。
 また、河川や道路の維持管理についても、市町や地域との連携を強化するとともに、県民の皆さんの活動参加や活性化につながる支援を充実し、公共事業における協働を広げてまいります。

 また、『多文化共生』でございますが、近年の外国籍住民の増加は、言葉や文化・習慣などの違いから地域社会において様々な課題が生じています。このような課題を解消し、外国人と日本人が互いに理解を深めながら、外国籍の子どもたち自身の未来にむけての教育的支援も含め、ともに暮らしやすい社会を実現していくため、関係行政機関やNPO団体等と連携して多面的な支援策を講じてまいります。

 戦略2は「自然の力を活かす」です。
 自然本来の力を再生可能な範囲で活かしながら損なわない持続可能な社会づくりを進めるとともに、損なった自然の力を再生させて、琵琶湖をはじめとする豊かな自然を次世代に継承できる人と自然との新たな関係を築いてまいります。

 『自然本来の力を保全し再生する』ため、琵琶湖に関しては、内湖のもつ自然本来の力を活かし琵琶湖全体の生態系保全、ひいては水質保全の実現を目指して早崎内湖の再生を推進するとともに、外来魚の徹底した駆除により生態系の修復を進めます。
 山や森に関しては、外来植物の侵入や多数の観光客の集中利用などにより自然環境の劣化が懸念されます伊吹山の自然再生に取り組みます。

 また、『自然を活用した産業を活性化させる』ため、環境こだわり農業をさらに発展させるとともに、地場農産物の地域における流通・消費拡大の方策や、県産材生産の強化と流通の拡大を目的に滋賀にふさわしい木材生産流通システムの調査検討を進めてまいります。

 次に、環境、経済、社会がともに『持続的に発展する社会を目指す』ため、経済界と県が共同で、地球環境に負荷を与えることなく経済を活性化させる新しい市場経済、いわゆる環境成長経済の実現に向けた新しい発展モデルを構築してまいります。

 県の地球温暖化対策推進計画では、2010年で温室効果ガス排出量を1990年比9%の削減をすることを目標にしております。このため、ライフスタイルや産業活動の見直しが重要であり、新たな仕組みによる家庭部門の二酸化炭素排出量の削減に取り組むとともに、渋滞交差点の解消やエコ交通の推進など自動車交通分野におけるハード、ソフト両面の地球温暖化対策や地産地消の推奨、再生可能エネルギーの導入などの取り組みを進めます。また、温暖化の影響を受けやすい農業・水産業の分野において、その適応策等の試験研究に取り組みます。

 さらに、滋賀の子どもたちの生きる力づくりの支援をめざして、湖、田んぼ、山という流域につらなる『自然の力を憩いや学びに活用する』施策をすすめます。同時に子ども達の環境体験学習に国際的な視野をもってもらうために、本年、韓国で開催される第10回ラムサール条約締約国会議(COP10)および韓国の登録湿地等を訪れ学びと交流を図ります。

 戦略3は「地と知の力を活かす」です。
 「地と知の利点」を活かして、滋賀県産業の競争力を高めるとともに、豊かな自然や歴史資源、文化・芸術が息づく美しい魅力あるまちづくりを進めてまいります。

 『新規成長産業の創造や新たな事業活動への挑戦を支援する』ため、県版経済振興特区計画を推進するとともに、産学官連携の積極的な推進や時代をリードする企業の誘致を進めます。
 また、地域資源を活かして新たな事業に取り組む中小企業などに対して積極的な支援を行うため設置する「しが新事業応援ファンド」に必要な資金を貸し付けます。
 資金運用による助成にあたっては、競争的要素を盛り込むことで、当事者の知恵と工夫が生きる仕組みを埋め込んでまいります。

 『滋賀県の特性を活かした産業を育成・支援する』ため、「環境関連産業の創出や育成、集積」、「感動」や「共感」などによる価値の創出に取り組むとともに、スマートインターチェンジの整備をはじめ産業育成の基盤となる社会資本整備を進めてまいります。

 さらに、本県の地域イメージの構築や価値を高めるため、滋賀・琵琶湖の持つ本質的価値の再認識と県内外への発信に向け「滋賀・琵琶湖ブランド」の構築に取り組むとともに、「滋賀ファン」「琵琶湖ファン」づくりを進めながら、本県ブランドの積極的な発信を行います。

 また、『安全で美しいやすらぎのあるまちづくりを進める』ため、中心市街地や地元商店街の活性化に向け、地域特性を活かした商店街の魅力向上や地域のふれあい創出等の取り組みに対して支援をしてまいります。

 災害に強い安全な県土づくりとしいたしましては、集中豪雨などによる水害や土砂災害に対処するため、道路災害防除や河川改修、砂防事業などに取り組みます。洪水から県民の皆さんの生命を守ることを第一に、そして住民生活への壊滅的な被害を回避するため、従来の治水対策にくわえて、いわゆる超過洪水に対する減災対策を組み合わせ、行政による「公助」と、住民の皆さんによる「自助」「共助」がともに機能する「協働型治水」を目指し、「滋賀県流域治水基本方針」の策定を目指して、流域治水対策事業に引き続き取り組みます。

 また、これまで整備された社会資本の管理について、道路施設の計画的な維持管理に着手するとともに、県有建築施設の中長期保全計画を策定し、施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減に取り組んでまいります。

 さらに、個人木造住宅の耐震化を促進するため、主要道路沿いや高齢者世帯の住宅への支援を行うなど、公共性や高齢者へも十分配慮しながら、災害への備えのある安全な地域社会づくりを目指してまいります。

 『文化・芸術が息づく魅力的なまちをつくる』ため、子ども達の文化芸術体験のサポートや文化ボランティアの育成等のための活動や、地域の特色ある伝統行事や生活文化の映像を県民の皆さん自らが発信する住民ディレクター活動等に対して支援を行い、魅力的なまちづくりを推進してまいります。

 また、琵琶湖やその周辺の水に関わる文化遺産を、子どもたちにも加わってもらい調査をし、その価値を評価しながら観光資源、地域づくりの資源として積極的に活用し、次の世代へしっかりと継承してまいります。

 以上、一般会計に係る主な施策の概要を申し上げましたが、このほか、特別会計は、13会計で2,115億5,062万1千円、企業会計は3会計で296億3,680万円を計上いたしております。

 以上、申し上げましたように、厳しい財政環境の中ではございますが、次の時代を見据え、子や孫にツケを残さないように、また、経済的活力を維持、発展させ、滋賀の未来を可能にするような、「次世代育成型の県政を実現する」という県民の皆さんとのお約束の実現に向けまして、引き続きその「芽」をしっかりと出し、育ててまいりたいと考えております。

 その方法としては、住民協働でございます。県行政の役割としては、これまではともすれば、住民サービスを生み出す主体というところに力点がおかれましたが、これからの行政の役割としましては、市町と協力をしながら県民の皆さんの主体的活動を育て、支援をさせていただくという間接的役割に重点をおくことが重要と考えております。そのような意味で、「対話と共感」が働く県民恊働というメッセージを埋め込んだ予算でもあります。

 次に、当面する諸課題について、2点申し上げます。

 一つは新幹線新駅問題についてでございます。
 昨年10月末の協定類の終了に伴い、今後解決すべき課題であります「栗東新都心土地区画整理事業への対応」と「県南部地域の振興」に対しまして、栗東市をはじめ関係市と鋭意協議を重ねているところでございます。
 まず、「栗東新都心土地区画整理事業への対応」につきましては、協定類の終了に伴います土地区画整理事業への影響に対応するため、栗東市と協議を続けておりますが、現在、副知事、副市長をトップとした県と栗東市の協議・調整を行う対策会議の設置に向けて調整しているところでございます。

 また、「県南部地域の振興」につきましては、去る2月14日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会の正・副会長会議におきまして、関係市の皆さんとともに南部地域の振興について検討する(仮称)南部地域振興会議の設置について、賛同をいただきましたので、県と関係市により今年度中に設置したいと考えております。

 今後とも、諸課題の解決に向けまして、精一杯取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 次に、大津市栗原地先における「県南部広域処理システム施設整備計画」について申し上げます。

 この計画は、資源循環型社会の推進をねらいとして、平成13年から県が公共関与により財団法人滋賀県環境事業公社を事業主体として進めてきたものでございます。
 しかしながら、昨今のエネルギー情勢の変化により可燃性廃棄物のエネルギー利用が進んできたため、当施設で処理を予定していた可燃性の産業廃棄物は、当初計画時の10万トンが、現在では7割程度に減少し、現時点では、その全てが排出者責任に基づき適正に処理されており、当施設の必要性は薄らいでいるものと考えております。

 一方、この施設で併せて処理を予定しておりました一般廃棄物については、循環型社会づくりを推進する方針に基づき、市町がごみ減量、資源化の取組を進められたとしても、なお、一般廃棄物処理施設の必要性は残るものと考えております。今後は、一般廃棄物処理広域化計画に基づき各市町の課題解決に向けて協議調整を行うなど、県としての役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えており、関係市の一定のご理解をいただいているところでございます。

 このようなことを踏まえまして、「県南部広域処理システム施設整備計画」につきましては中止することといたします。
 これまで、当計画をめぐり、建設予定地の地元をはじめ、県民の皆さんに多くの混乱が生じましたことを、県政をお預かりする立場として大変心苦しく受け止めるとともに、あわせて議員の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、今議会に提出しております案件の概要についてご説明いたします。
 まず、新規条例を制定するものについてでございます。

 議第18号は、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、後期高齢者医療の財政の安定化に資するため、基金を設置しようとするものでございます。

 議第19号は、昭和58年に就航した学習船うみのこにつきまして、先程申し上げましたように、老朽化が進行しており、今後新しい学習船の建造が必要な状況にありますことから、計画的な建造経費の確保を行うため、基金を設置しようとするものでございます。

 議第20号は、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の制定により、法人の公益性の認定を行うための機関として、「滋賀県公益認定等委員会」を設置することに伴い、必要な事項を定めようとするものでございます。

 議第21号は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」および「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の制定に伴い、関係条例を整理しようとするものでございます。

 次に、条例改正を行うものについてでございますが、議第22号は、多様な行政課題に総合的かつ機動的に対応するため、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第23号、44号および45号は、職員の定数に関するものでございまして、知事の事務部局や警察職員などの定数を削減するとともに、県立学校等の生徒数の増減などに対応した定数に改めようとするものでございます。

 議第24号は、職員の特別休暇の期間を短縮するため、必要な改正を行おうとするものでございますし、議第25号は、老人保健法の改正により、後期高齢者医療審査会が設置されることに伴い、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第26号は、農林漁業普及指導手当の上限を引き下げるため、また、議第27号は、職員の旅費について日当を廃止するなど、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第28号は、機関の名称変更に伴い、必要な改正を行おうとするものでございますし、議第29号は、地方自治法の改正に伴い、普通財産に準じて行政財産についても無償貸付け等ができるよう、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第30号は建築基準法の改正により、審査等に要する事務量が大幅に増加したことに伴い、事務手数料の額を改定するなど、必要な改正を行おうするものでございます。

 議第31号は、社会福祉士及び介護福祉士法の改正に伴い、養成施設の規定から職業能力開発校を削除するなど、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第32号は、青少年の健全育成のために、インターネット利用環境を整備するとともに、深夜営業施設への入場制限等を行うため、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第33号は、むれやま荘を障害者自立支援法に基づく障害者支援施設に移行させるため、必要な改正を行おうとするものでございますし、議第34号は、国の準則等の改正に伴い、心身障害者扶養共済制度の掛金や弔慰金の金額等の改正を行おうとするものでございます。

 議第35号は、しゃくなげ園の閉園に伴い、条例を廃止しようとするものでございますし、議第36号は、国民健康保険法の改正により、被保険者の区分が統一されること等に伴い、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第37号は、長浜港の駐車施設等の一般使用を有料とすること等に伴い、また、議第38号は、しが県民芸術創造館にリハーサル室を設置することに伴い、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第39号は、景観行政の一層の推進のため、景観法に基づく景観計画を策定することに伴い必要な改正を行おうとするものでございますし、議第40号は、湖沼水質保全特別措置法に基づく汚濁負荷量規制をすべての湖沼特定事業場に適用することに伴い、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第41号は、国の省令による排水基準の改正に伴い、必要な改正を行おうとするものでございますし、議第42号は、関係法令の改正に伴い、条例の文言整理を行おうとするものでございます。

 議第43号は、モータボート競走法の改正に伴い、競技関係事務の委託先を変更する等必要な改正を行おうとするものでございます。

 次に、その他の案件でございますが、議第46号、47号および48号は契約の締結について、議第49号は契約の変更について、議第50号は財産の譲渡について、議第51号および52号は権利放棄について、議第53号および54号は国の行う土地改良事業に要する経費および流域下水道事業に要する経費についてそれぞれ関係市町が負担すべき金額を定めることについて、議第55号は包括外部監査契約の締結について、議第56号は専決処分の承認について、それぞれ議決を求めようとするものでございます。

 以上、何とぞよろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

平成20年2月県議会定例会 知事提案説明(3月13日追加)

平成20年2月県議会定例会 知事提案説明(3月13日追加)

 ただいま提出いたしました議案の概要についてご説明申し上げます。

 議第57号の一般会計補正予算につきましては、国の補正予算への対応や、年度内における各事業の執行状況および最終的な財源見通しに基づき所要の調整を行い、総額で87億2,806万8千円の減額補正をしようとするものでございます。

 まず、歳入についてでございますが、県税は、企業収益が引き続き堅調に推移したことなどから、総額で105億6千万円の増額となりました。その主な内訳は、法人二税が92億9千万円余、個人県民税が12億5千万円余の増となっております。

 また、地方交付税は、決定状況等を踏まえ減額するものであり、県債は、国の補正予算に伴う補正予算債など許可予定額等にもとづき、所要の調整をしようとするものでございます。

 次に、歳出についてでございますが、国の補正予算に係るものとして、補助広域河川改修事業など災害関係事業などに19億6千万円余を措置することといたしました。

 このほか、中小企業関係の貸付金の不用をはじめ、人件費や一般行政経費につきまして、執行残等を精査するなど所要の調整を行うことといたしております。

 このような歳入、歳出の調整を図った上で、本年度予定しておりました財政調整基金と県債管理基金の取り崩し予定額について、両基金合わせて70億円、また、福祉・教育振興基金の取り崩し予定額について8億5千万円、それぞれ圧縮することといたしております。こうした措置によりまして、より一層厳しさを増すことが見込まれる後年度の財政運営に備えてまいりたいと考えております。

 議第58号から72号までは、特別会計および企業会計につきまして、同様に所要の調整を行ったところでございます。

 次に、条例案件およびその他の案件について申し上げます。

 議第73号は、水環境等の分野の生態学研究の振興において一定の成果が得られたため、滋賀県生態学琵琶湖賞を廃止することに伴い、条例を廃止しようとするものでございます。

 議第74号は、学校教育法の改正により、主幹教諭等の新しい職を設置することに伴い、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第75号から80号までは、指定管理者の指定について、議第81号から83号までは、県の行う建設事業等に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることについて、それぞれ議決を求めようとするものでございます。

 議第84号は、診療報酬の算定方法が、平成20年3月5日付けの厚生労働省告示により、新たに定められたことに伴いまして、関係条例の整理を行おうとするものでございます。

 以上、何とぞよろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。
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