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知事提案説明(平成13年12月定例会)

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平成13年12月議会定例会 知事提案説明から

平成13年12月議会定例会 知事提案説明から

 本日、議員各位のご参集をいただき、12月県議会定例会を開会し、提出いたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸課題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 その前に、一昨日、皇太子妃殿下雅子様が無事ご出産になり、内親王殿下がご誕生されましたこと、誠におめでとうございます。
 日本国民こぞってこの日を心待ちにしておりましただけに、この上ない慶びであり、135万県民の皆さんとともに謹んでお祝い申し上げたいと存じます。それに夢と希望で迎えました21世紀幕開けの年でありましたが、何かと暗いニュースが多くありましたので、これほど明るいニュースはございません。
 どうぞ、母子ともどもにご健康で、内親王殿下の健やかなご成長を心からお祈り申し上げます。
 皇太子、同妃両殿下におかれましては、これまで2度、本県にお越しいただいておりますが、是非とも、ご一家お揃いでご来県賜り、湖国滋賀の豊かな自然や歴史、文化にお触れいただきますことを、今から楽しみにお待ち申しております。

 さて、最近の我が国経済の動向でありますが、IT関連産業の急激な業績の悪化や、米国の同時多発テロ事件、さらに牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病の発生などの影響により大変厳しい状況にあります。
 先月9日に内閣府より公表されました平成13年度政府経済見通しの見直し試算では、経済成長率は当初の実質1.7%程度からマイナス0.9%程度に大幅に下方修正されたところであり、また、来年度についてもマイナスの見通しをたてているなど、世界経済全体が減速する中で、日本経済の早期回復が難しい状況となっております。
 また、先月30日発表されました10月の全国の完全失業率は、前月より0.1ポイント高い5.4%となり、2カ月連続で過去最悪の記録を更新し、有効求人倍率も先月より低い0.55倍となっています。なかでも近畿二府四県の完全失業率は6.5%と全国平均より悪く8カ月連続6%台となっており、有効求人倍率も0.46倍と全国平均より低い状況となっています。

 一方、本県の経済情勢でありますが、生産動向では鉱工業生産指数が前年を7カ月連続で下回るなど総じて悪化傾向にあります。
 また、消費動向や投資動向はやや低調ながらも底堅い動きもうかがえる状況でありますが、今年に入り、やや沈静化しつつあるかと思われました企業倒産状況は、10月の倒産件数が22件と過去最悪を記録いたしました。産業別では建設業を中心に、ほぼ全ての業種にわたり倒産が発生するようになってきており、不況の長期化の影響が表れております。
 さらに、雇用情勢は、10月の有効求人倍率が0.47倍と4ヵ月連続で全国水準を下回り、とりわけ製造業の新規求人が前年同月と比べて42.4%減と大きく落ち込むなど、さらに悪化しつつあります。
 このようなことから、本県の経済情勢はさらに減速している状況であると判断しております。

 こうした経済・雇用情勢への緊急対応や、牛海綿状脳症の発生による影響に適時適切に対応するため、現在、補正予算として追加提案すべく準備を急いでいるところであります。取りまとめ次第、速やかに本議会にお諮りしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 ところで、いよいよ来年度予算の編成の時期になってまいりました。本県におきましては、平成10年度から3年間を財政構造改革の集中改革期間として財政の健全性の確保に努めてきたところでありますが、期間中の予想外の景気の落ち込みの影響や国の経済対策に呼応して県債を発行したこと等により、結果的に県債残高は過去最高額を更新することとなり、本県の財政状況は、なお、厳しい状況にあります。こうしたことから、昨年9月に「当面の財政運営方針」を策定し、引き続き、財政の健全性の確保に努めているところであります。
 来年度予算につきましては、現在、この「方針」に沿って編成作業を進めているところでありますが、その際、特に留意しなければならないと考えておりますことは、まず、県税収入の動向についてであります。昨年度はIT関連産業の好況に支えられ、法人二税を中心に決算ベースでは3年ぶりに増加したところでありますが、先程も申し上げましたとおりIT関連産業の業績は急速に悪化しており、その影響で法人二税は今年度を下回る見込みであります。また、県民税利子割も大幅に減少する見込みでありますことから、県税収入全体としても、今年度を下回ることは確実であると考えております。
 今一つは、国の「聖域なき構造改革」の影響であります。現在、国におきましては、各分野において、積極的に見直しを検討されていますが、中でも地方交付税につきましては、本県の歳入に占める割合も大きく、その結果如何では本県財政にも大きな影響が出ることが危惧されるところであります。現時点におきまして、留保財源率の引き上げや、事業費補正、段階補正といった項目を中心に見直しが検討されていると聞いております。
 県議会におかれましては、去る6月の定例県議会におきまして、地方税財政制度の充実に関する意見書を採択されたところであり、また、私も近畿ブロック知事会の会長としまして関係機関に要望してまいったところでありますが、今後とも、その動向につきましては、注意深く見守っていく必要があると考えております。

 次に、歳出についてでありますが、公債費や扶助費といった義務的経費につきましては、今年度に比べ増加することが確実であります。一方で、国の地方債計画案におきましては、地方単独事業につきまして、今年度に比べ10%の減で見込まれるとともに、地方債の元利償還金について、地方交付税における算入割合を引き下げることが検討されているところであります。こうしたことを判断いたしますと、今一度、施策全般について、ゼロからの見直しを積極的に行い、徹底した歳出の抑制に努めていく必要があると考えております。

 このように、厳しい財政状況でありますことから、まずは財政の健全性の確保に意を用いなければならないことは当然のことではありますが、その一方で、21世紀の本県の持続的発展を確固たるものにするために不可欠と判断する施策や、県民福祉の向上に資すると考える施策につきましては、その優先度、緊急度をしっかり見極めたうえで、着実に取り組んでまいる所存であります。

 次に、男女共同参画推進条例の制定についてであります。
 男女が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野に共に参画し、その持てる個性や能力を十分に発揮しながら、ゆとりと充実感を共有し、互いに生き生きと暮らすことのできる男女共同参画社会を実現することは、今や極めて重要な課題となっております。
 このため本県では、「新・湖国ストーリー2010」において、男女共同参画社会の実現を県政における重要政策課題の一つとして位置づけ、その実現に向けて、具体的な施策の方向を示した「パートナーしが2010プラン」を策定し、県民の皆さんとのパートナーシップのもと、様々な施策を積極的に展開してきたところであります。また、国においては、平成11年に、男女共同参画社会基本法が制定され、男女共同参画社会の実現に向けて大きく歩み出したところであります。
 しかしながら、今なお、いろいろと改善すべき課題がありますことから、更なる手立てとして、滋賀県男女共同参画懇話会の提言や、県民の皆さんからのご意見を直接お聴きしながら、本県における男女共同参画社会の実現を、総合的、計画的に推進していくための条例案を県民の皆さんとともに創り上げ、今議会に提案することとしたものであります。
 この条例は、男女共同参画社会の実現に寄与することを目的としておりまして、そのための基本理念を定め、県、県民および事業者の責務を明らかにしますとともに、男女共同参画を推進する施策の基本となる事項等を定め、それぞれが目的に向かって主体的に取り組んでいこうとするものであります。
 県といたしましては、この条例により男女共同参画社会の実現に向けた強い意思を明確にするとともに、県民の皆さんのご理解とご協力のもと、男女が共に輝いて生きることができる社会を築いて参りたいと考えております。

 さて、去る3月24日の「であい宣言」から開幕いたしました湖国21世紀記念事業は、先月の18日に彦根市文化プラザで開催されました「はじまり宣言」をもちまして、8カ月にわたる期間を事故もなく成功裏にその幕を閉じることができました。これは、この事業に参加、ご協力いただきました多くの皆さんのおかげであり、ここに、あらためまして議員各位をはじめ県民の皆さんに心から感謝のお礼を申し上げる次第であります。
 この期間中は、「水といのちの対話」をテーマに、県民の皆さんをはじめ、市町村、湖国21世紀記念事業協会、そして県などがそれぞれの想いを込めながら、いろいろな事業を県下各地で展開いただきました。その結果、150万人を超える多くの皆さんが、各種の活動やイベント、あるいはシンポジウムや会議・討論会等々の実に様々な事業に、ご家族で、 友達同士で、あるいは会社の仲間で、また、自治会や学校を通して参加をいただきました。そして、これらの事業を運営し、支えるために延べ2万人近い人々が、スタッフとしてご活躍をいただいたところであります。
 とりわけ、先月の12日から18日にかけまして、「第9回世界湖沼会議」や「びわ湖国際環境ビジネスメッセ」、「びわ湖男女駅伝大会」と、湖国21世紀記念事業の中でも特に大きな事業が集中的に開催されました。
 「世界湖沼会議」には、海外75の国や地域から3,600人余りの参加登録者があり、5つのテーマの分科会や議員セッション、学生セッションをはじめ50を超える自由会議などにおいて、世界の湖沼の環境のあり方について活発な議論が交わされ、最終日には、湖沼にかかわる全ての個人や組織のパートナーシップ構築と充実、情報の公開と共有、環境教育の推進などをうたった「琵琶湖宣言2001」が採択されたところであります。
 また、国際環境ビジネスメッセには、期間中、長浜会場、米原会場合わせて国内外267社の出展と63,600人の来場者があり、企業や消費者などがそれぞれの立場から環境に配慮した取り組みについて認識を深めていただいたところであります。
 さらに、第1回「びわ湖男女駅伝大会」には、湖南省からのチームを含め141チーム、1,621人が、秋の琵琶湖岸において健脚を競われたところであります。
 この記念事業は、大量生産、大量消費といった科学技術万能の物質的な豊かさや便利さを追求し続けた20世紀から、21世紀は自然と共生できるもう一つの新たな生き方を探っていこうとする多くの人々の心が結集し、そして、活動として鮮明に主張され、また、催しとしてもそれぞれが巧みに表現され、多くの人々に共感される記念事業になったのではないかと考えております。

 さて、この記念事業の終了はこれからの21世紀に向けて新たなムーブメントのスタートであるという趣旨で開催されました、クロージングイベント「はじまり宣言」におきまして、私も「三つのはじまり」アピールをいたしました。一つは「みんなでゴミを10年間で半分以下にし、ゼロエミッションによる地域づくりを目指そう」、二つは「琵琶湖の水質を、20年かけて昭和40年代前半の状態にするため、身近な河川流域でみんなで取り組もう」、そして、三つ「びわこ地球市民の森づくりを20年かけてみんなで完成させ、未来の人たちに引き継いでいこう」という目標を掲げたところであります。
 また、この記念事業の開催により、行政はいろいろ多くのことを学びました。これからの行政を改革する三つの視点を、今ほどのアピールと併せて、県政としての「三つのはじまり」アピールとして決意を述べさせていただきました。
 一つは、あらためて県民、NPOなどの皆さんとの協働を第一として、真のパートナーシップに基づく各種施策を推進していくことであります。これからの地域を創造していくためには、幅広い皆さんとの多様なパートナーシップを構築していくことが、最も重要であるということです。二つは、20世紀の常識や前例にとらわれることなく新しいルールや文化づくりに努めることであります。地域や生活者の立場から、失敗をおそれずにチャレンジしていこうということです。そして三つには、ゼロエミッションの実現を目指して、現場主義に徹し、いわゆる「出る杭」を応援することであります。進んで外に出る中で出会う、今までとは違った新しい取り組みやキラリと光る小さな取り組みなど、勇気を持った取り組みを応援したいということです。
 この記念事業の開催に当たり、今まで以上に、県民とのパートナーシップが進み、滋賀ならではのアイデンティティが発信できたと思っております。また、もう一つの生き方や文化の創造に向けたチャレンジがいろいろ始まったと思います。これを契機に、最初は小さな活動であっても、人々に大きな希望と活力を与えるムーヴメントをみんなで盛り上げ、3年後、5年後、そして10年後の大きな成果を目指し、多くの皆さんとともに、その第一歩を力強く歩み出してまいりたいと考えているところであります。

 以下、提出いたしました案件の概要について、ご説明いたします。
 まず、条例案件でありますが、議第147号は、住民に身近な市町村において地域課題の解決が完結して行えるよう、市町村への権限委譲を推進するため、滋賀県知事の権限に属する事務のうち市町村が処理することとする事務等を追加しようとするものであり、議第148号は、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律の施行に伴い、公益法人等への職員の派遣等の実施に関して、新たに条例により、必要な事項を定めようとするものであります。
 議第149号は、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保に関する法律の施行等に伴い、関係する手数料の額について新たに定めることとする等の改正を行おうとするものであり、議第150号は、商法の一部改正により額面株式の制度が廃止されたことに伴い、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 議第151号は、石部町の住居表示の実施に伴い、県立施設の位置の表示を変更しようとするものであり、議第152号は、ふぐ調理師の資格制度における障害者に係る欠格条項について、見直しを行おうとするものであり、議第153号は、職業能力開発促進法の一部改正に伴い、条例中に引用している法律の条項の整備を行おうとするものであります。
 議第154号は、先に申し述べましたように、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することにより、男女共同参画社会の実現に寄与するため、新たに、滋賀県男女共同参画推進条例を制定しようとするものであります。
 議第155号は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正に伴い、テレホンクラブの営業の禁止地域等について定めようとするものであり、議第156号は、青少年による性風俗関連特殊営業の利用を助長または誘発する行為を規制する等のため、新たに条例を定めようとするものであります。
 次に、その他の案件でありますが、議第157号から161号までは、契約の締結について、議第162号は、平成14年度に発売する宝くじの発売総額について、議第163号は、平成13年度に発売する宝くじの発売総額の変更について、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。
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