本文へ移動

現在位置 :トップページ本会議の開催状況 › 知事提案説明(平成16年 9月定例会)

知事提案説明(平成16年 9月定例会)

知事提案説明をPDFファイルで掲載しています。

平成16年9月県議会定例会 知事提案説明

平成16年9月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員各位のご参集をいただき、9月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うに当たりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸問題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 その前に、去る8月25日にご逝去されました故大谷元太郎議員に対し、執行部を代表いたしまして、謹んで哀悼の誠を捧げたいと存じます。昭和42年から連続10期37年にわたり県議会議員を務められ、さまざまな委員長等の要職をはじめ正副議長の重責を担われるなど、まさに我が滋賀県議会の大黒柱として大変なご活躍をいただきました。地方分権改革が本格化する中にありまして、いよいよその豊かな経験を生かし、これからの難局にお力添えを賜りたいと願っておりましただけに、誠に残念であります。ここに改めて、長年県政へ多大なご貢献をいただきましたことに対しまして深く感謝を申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、本議会に提案いたしました案件のうち、9月補正予算について申し上げます。
 今回の補正予算は、国庫補助負担金の内定に伴いますものや、不用となるもの等につきまして現時点で精査をし減額する一方で、緊急に処理を要する事業等に対処するなど、所要の予算措置を講じようとするものであります。

 主な事業について申し上げますと、一般会計では、7月に認定を行いました経済振興特区計画に対する支援として、特区における産業振興策を資金面から支援するため、中小企業を対象とした経済振興特区資金を創設いたしますほか、大津市、草津市が共同で実施いたします「びわ湖南部エリア新産業創出特区」について、産学連携研究開発や試作開発に対して助成を行うなど、所要の額を計上いたしました。

 また、守山市が、日本サッカー協会から助成金を受けて整備をいたします、(仮称)野洲川歴史公園サッカー場につきまして、本県におけるサッカーの中核的施設として、広く県民に利用され、青少年の健全育成とサッカーの発展に大いに貢献するものと判断いたしまして、その整備に要する経費の一部を助成することといたしております。

 さらに、このところ被害が多発しております架空請求にかかる対策を強化するための相談員の設置等を行いますほか、順調に推移しています環境こだわり農業を推進するための経費の追加や琵琶湖環状線関連の鉄軌道関連施設の整備に対する助成などについて所要の額を計上いたしました。

 特別会計では、琵琶湖流域下水道事業で、国庫補助金の内定等に伴います事業費の調整を行うことといたしました。

 この結果、一般会計の補正予算額は、46億7,049万3千円の減額となり、流域下水道事業特別会計は693万7千円の増額となったところであります。

 次に、行財政改革について申し上げます。
 私は、先の7月県議会において、本県財政が平成17年度に約280億円、平成18年度に約500億円、平成19年度に約560億円という巨額の財源不足が生じるとの収支見通しの試算を明らかにしますとともに、このような事態に対処して、速やかに抜本的な対策を講じなければ、近々にも極めて危機的な状況に陥るおそれがあるということを申し上げました。

 三位一体の改革をはじめとする昨今の地方自治体を取り巻く諸情勢から考えますと、現行のままで推移すれば、早晩財政再建団体に転落することも視野に入れながら、全庁一丸となって更なる行財政改革を断行し、迫りくる財政危機を何としても回避していかなければなりません。と同時に、この非常事態とも言うべき状況にも決して後ろ向きになることなく、むしろ地域の自立のチャンスととらえ、県中期計画の戦略プログラムに基づき、重点的、計画的な取り組みを進めていくことこそが、これからの時代に即して、本県の特性を生かし、持続的な発展を可能にし、「地域主権」に基づく真に自立した滋賀を築くことにつながるものと考えております。

 県では、このような観点から、現在、今後の本県の行財政改革に関する基本方針の策定を急いでいるところでありまして、今議会中にもその内容について明らかにしてまいりたいと考えております。そこで、現時点で私が考えていることの一端を申し上げますと、今回の改革には、これまでとは違ったアプローチが欠かせないということであります。即ち、従来からのどちらかと言えば「量」に重きを置いた改革に加えまして、県のあり方そのもの、県の行政スタイルそのものを大胆に見直すといった「質」的転換を図る思い切った改革が今こそ求められると思います。

 そこで、私は今回の改革を次の四つの視点から進める必要があると考えております。まず一つ目は、言うまでもありませんが県行政のより一層のスリム化と効率化の追求であります。

 二つ目は、市町村合併が大きく進む新しい時代を迎えまして、県と市町村の新たな役割分担と協力関係をいかに構築するかであります。

 三つ目は、県と県民やNPOなど地域の多様な主体との協働をより積極的に進めることであります。

 四つ目は、限られた財源や人的資源から緊急度や重要度を見極め、施策の選択と集中を徹底することであります。

 以上のような視点を踏まえまして改革の基本方針を定めますとともに、県が平成17年度以降3年間にわたって全庁的に取り組むべき財政収支改善のための数値目標を明確にすることとしております。また、これと併せまして、市町村合併の進展や事務事業全般にわたる見直しを踏まえまして、組織、体制の見直し方向についても盛り込みたいと考えております。

 いずれにいたしましても、改革の成否は、いかに県が一丸となってこれに取り組むか、そしていかに県民の皆さんをはじめ市町村や関係団体等のご理解、ご協力をいただけるかにかかっております。そのために、私はその先頭に立ち、この課題に真正面から立ち向かっていく決意であります。議員各位におかれましても、何とぞ格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 さて、今定例会の会期中の来る10月1日には、本県内におきまして、いよいよ、甲賀市、野洲市ならびに湖南市の、3つの新しい市が誕生いたします。
 またさらに、今定例会には、来年1月1日の高島市、2月11日の東近江市ならびに2月14日の米原市の設置にかかる廃置分合案件につきまして、それぞれ提案をいたしております。

 これらを含めますと、来年早々までに、本県内に新しく6つの市が誕生することになり、本県の市町村の数は、8市42町村から13市20町となります。また、これら以外の各地域におきましても、現行の合併特例期限である来年3月を控えまして、真剣な取り組みが重ねられているところであります。

 現在の本県の市町村は、昭和30年前後の「昭和の大合併」を経る中で、160の市町村から53の市町村へと再編され、ほぼ現在の姿となったところであります。以来、約半世紀の永きにわたりまして、本県の発展を支え、また、県民の皆さんの生活に密着しつつ、その歴史が刻まれてきたところでありますが、こうした本県の市町村の姿が、今大きく変わろうとしております。

 「平成の大合併」と言われております今回の市町村合併は、住民の皆さんに最も身近な基礎的自治体であります市町村の、自主性、自立性のもとに、個性豊かで、活力に満ちた地域社会を築いていこうとする取り組みであります。こうした意味で、本県の地方自治が新たな歴史を紡ぎ出そうとしている時を迎えておりますが、合併による新しい市の誕生は、当然のことながら、決してゴールではなく、新しい力で、新しい時代そのものを切り拓いていくというまちづくりのスタートであります。

 県といたしましても、市町村合併を県自らの課題として位置付けまして、各地域での取り組みに対しまして、これまでも積極的な支援に努めてきたところでありますが、新たな3市の誕生という節目の時を迎え、また、これを大きな契機といたしまして、新市における合併後のまちづくりをはじめ、現行合併特例法の期限を控えて、現在各地域で協議が進められております合併に向けた取り組みにつきまして、しっかりと支援に努めてまいりたいと考えております。

 次に、今一つ、10月ということで申し上げますと、この4月に、琵琶湖の水をはぐくみ、私たちの暮らしに欠かすことのできない大切な森林を県民協働で守り育てていくための「琵琶湖森林づくり条例」を施行したところでありますが、この条例の中で、10月1日を「びわ湖水源のもりの日」、また10月を「びわ湖水源のもりづくり月間」と定めております。

 そして、この期間、県民や下流域の多くの人々が森林のもたらす恵みについての理解と関心を深め、もりづくりに関する活動に積極的に参加していただけるような取り組みを進めていきたいと考えております。

 10月1日の「びわこ水源のもりの日」には、びわこ地球市民の森で植樹を行いますほか、もりづくりボランティア活動を県下6地域で一斉に実施いたしますのを皮切りに、10月31日までの1か月間、もりづくりに関する多彩な催しや、活動を展開してまいりたいと考えております。

 このように、森林の恵みに感謝し、県民一人ひとりが主体的に森林づくりに関わっていただくことは非常に重要であると考えておりますが、森林づくりの費用を県民みんなで負担いただくことも極めて大事ではないかと考えておりまして、森林づくりの費用負担のあり方について、有識者による懇話会を設置し、県民の皆さんのご意見も伺いながら議論をいただいているところであります。

 また、現在、条例に基づきまして、これからの森林づくりに関する施策を総合的、計画的に推進するための基本計画を策定しているところでもありますが、今後とも、琵琶湖と私たちの暮らしを支えるかけがえのない滋賀の森林を、県民の皆さんや下流域の皆さんとともに守り育て、健全な姿で未来へ引き継いでいくため、精一杯取り組んでまいりたいと存じます。

 さて、昨日および一昨日の2日間、清子内親王殿下のご臨席を仰ぎ、全国各地からボランティア活動に取り組んでおられる方々や関心をお持ちの方々多数お迎えして、「第13回全国ボランティアフェスティバルびわこ」が開催されたところであります。

 私も、世古県議会議長とともに、両日とも参加させていただきましたが、実施団体やスタッフとして関わっていただいた多くの県民の皆さんや学生、企業のボランティアの皆さん、そしてまた全国各地から集われました参加者の皆さんの熱気を直接肌で感じることができました。

 また、福祉はもとより環境、国際交流、教育、まちづくりなど実に幅広い分野で本当に多くの皆さんがいきいきと活動されておられましてご臨席を賜りました殿下からも、「各会場において、人々のボランティアに携わる喜びと、より多くを学びたいという真摯な思いが伝わってきて、心強い思いがいたしました」とのご感想をいただいたところでありますが、私も全く同じ思いをしたところであります。

 このフェスティバルは、滋賀県はもとより全国からのボランティア、市民活動等に関心のある方や実践活動をしておられる方々が延べ約4万人が集われ、語り合い、ふれあいながら交流を深めるとともに、開催地としては、これを契機にボランティア活動の活性化を促し、人と地域がともに輝く「くらし安心県」滋賀の推進を目指したところであります。

 今日、私たちは物質的には大変豊かで快適な暮らしを享受しておりますが、一方で、核家族化や急激な少子高齢化が進むなどの社会の変化の中で、地域での日々の暮らしを通じた人と人とのつながりが希薄になりつつあります。

 このような中、誰もが住み慣れた地域で自分らしく、安心して生活できる地域社会を築いていくためには、人を思いやる心を持って、自らの問題意識に基づき自ら行動するボランティア活動の存在がますます重要となってきております。

 このフェスティバルの準備および開催・運営を通じて全国のボランティア活動とのネットワークがさらに広がり、本県のボランティア活動がさらに活発になることを期待したいと思います。

 ところで、私は、去る15日から19日まで、ドイツのバイエルン州を訪問してまいりました。

 昨年11月に、バイエルン州と環境分野における経済交流の推進を目的に、両県州の企業関連組織とともに「環境相互協定」を締結いたしましたが、これに基づく初めての具体的な活動として、滋賀県から経済ミッションを派遣することとなり、県内環境関連企業の皆さんとともにバイエルン州を訪問したものであります。

 バイエルン州は、環境先進国ドイツの中でも、特に環境問題に熱心に取り組んでいる州でありまして、1970年に世界で初めて環境省を設置したのもバイエルン州でありますし、また、アウクスブルク・シュヴァーベン地域を州の環境拠点と位置付け、環境関連産業や研究機関等を集積させ、環境産業の育成・振興を図るなどの取り組みを進めておられます。

 まず、私は、環境大臣と会談をいたしまして、両県州の間で結ばれました「環境相互協定」の意義をお互いに確認するとともに、今後の環境分野における経済交流の推進について意見交換を行いました。この話し合いでは、2005年の春から2006年春にかけまして日本国内におきまして開催が予定されています「日本におけるドイツ年」を活用いたしまして、本県におきまして環境はもとより経済、文化など幅広くバイエルン州を紹介していくことを確認したところであります。
 また、それぞれの地域で開催されます環境ビジネスメッセへの相互参加について具体的な検討を行うこととなりました。

 これらの交流を通じ、両県州が、環境問題での良きパートナーとして、より多くの人々や企業に相互理解と認識を深めてもらい、今後の環境面での経済交流と世界貢献にはずみをつけたいと考えています。

 滋賀県から参加された企業の皆さんは、バイエルン州企業と熱心に情報交換を行い、今後の事業展開に有益な情報が得られたところでありまして、これからも継続して情報交換をしていこうとする企業も出てきており、今後の経済交流につながる大きな一歩を踏み出したものと考えております。

 本県は、これまでヨーロッパとの間に恒常的なパイプがありませんでしたが、今回のバイエルン州訪問により、新たな交流の枠組みができたということを実感することができました。
 今後、この枠組みを効果的に活用し、本県の環境産業振興の一助としてまいりたいと考えております。

 次に、青写真焼き付け単価契約の不正請求に関連いたしまして、ご報告とお詫びを申し上げます。

 まず、これまでの経過を申し上げますと、去る6月に湖南地域振興局、7月に甲賀および東近江地域振興局ならびに湖南中部流域下水道事務所に対し、青写真焼き付けの契約について請求明細と原図の公文書公開請求が提出されたことなどを受けまして、事実関係について全庁的な調査を実施してきたところであります。

 その結果、県の少なからぬ機関におきまして、県側の不適切な事務処理による規格外の発注や、枚数の改ざん等業者の不正請求が明らかとなってまいりました。このことは、基本的な事務処理がおろそかになっていたということでもあり誠に遺憾に存じ、県民の皆さんの県政への信頼を揺るがす結果に申し訳なく思っております。去る17日には、この不適正な事務処理に関わった職員に対しまして、必要な処分を行ったところであります。

 今回の事件は、事務の基本にかかわることだけに、職員全員が猛省し、職員一人ひとりが「県民の皆さんの大切な税金によって仕事をしているんだ」という意識を徹底するとともに、納品時の確認の方法など、改めるべきは改め、このようなことが二度と起こらないよう、県民の皆さんの信頼回復に向け、最大限の努力をしてまいる所存であります。

 以下、今議会に提案いたしております案件の概要について、ご説明申し上げます。

 まず、条例案件でありますが、議第114号は、高島市を平成17年1月1日に設置することに伴いまして、関係条例の整備をしようとするものであります。
 議第115号は、二級建築士試験および木造建築士試験の手数料について改定するとともに、薬事法の一部改正に伴い、高度管理医療機器等の販売業または賃貸業の許可の申請に対する審査の手数料を追加するなど、所要の改正を行おうとするものであります。
 議第116号は、建築基準法施行令の一部改正に伴い、土砂災害特別警戒区域内において建築することができる建築物の構造が定められたことから、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 議第117号は、電車内での痴漢行為や迷惑ビラの無差別配布など、県民に著しく迷惑をかけ、不安を覚えさせる街頭迷惑行為を規制するため、所要の改正を行うとともに、条例の名称を「滋賀県迷惑行為等防止条例」に変更しようとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第118号は、一般会計および各特別会計の平成15年度決算について、認定を求めようとするものであります。
 議第119号から121号までは、契約の締結について、議第122号および123号は、権利放棄について、議第124号は、県営住宅の明渡しおよび滞納家賃等の請求事件に関する和解について、議第125号は、損害賠償請求調停事件の調停の合意および損害賠償の額を定めることについて、議第126号は、損害賠償の額を定めることについて、議第127号から129号までは、市町村の廃置分合について、議第130号から132号までは、平成16年度において、県が行う建設事業等に要する経費につき、関係市町村が負担すべき金額を定めようとすることについて、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 次に、人事案件でありますが、議第133号は、滋賀県公安委員会委員に森美和子氏を任命することについて、議第134号から140号までは、滋賀県土地利用審査会委員に、大住元肇氏、小坂育子氏、柴田いづみ氏、中川幸雄氏、西村久子氏、三木義一氏および山極元信氏をそれぞれ任命することについて、同意を求めようとするものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますよう、お願い申し上げます。
Copyright © Shiga Prefecture. All rights reserved.