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知事提案説明(平成16年12月定例会)

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平成16年12月県議会定例会 知事提案説明

平成16年12月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員各位のご参集をいただき、12月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うに当たりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸問題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 その前に、先の県議会議員甲賀郡選挙区補欠選挙で新しく議員になられました福本庄三郎議員、西川勝彦議員には、ご当選、誠におめでとうございます。いよいよのご活躍を心からご期待申し上げます。

 さて、10月23日夕刻に発生いたしました新潟県中越地震では、これまでに40名の方の尊い命が失われたほか、負傷された方や家を失ったり、あるいは強い余震の連続で、今なお避難生活を余儀なくされている方が多数おられ、阪神・淡路大震災以来の惨事となりました。

 また、この地震の直前の10月20日から21日に日本列島を縦断しました台風23号では、本県でも88歳の女性が増水した川に転落して亡くなられたほか、京都府や兵庫県など全国各地で洪水や土砂災害などによって、死者・行方不明者96名という甚大な被害が発生し、今なお被災地では災害復旧の取り組みが続けられているところであります。

 137万県民の皆さんとともに、これらの災害でお亡くなりになられました方々とそのご遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々や避難生活を余儀なくされておられる方々に、心からお見舞いを申し上げ、一日も早い回復、復興をお祈り申し上げます。

 本県では、中越地震の被害に対しましては、被災者に対する支援や復興に向けた取り組みといたしまして、翌々日の10月25日に技術職員を中心に10名で構成する救援チームを現地に派遣し、土木・農林の現場での被害調査や災害対策本部での物資調達等に当たりましたほか、被災建築物の応急危険度判定や医療・保健、健康相談の業務にも関係職員36名を派遣をいたしました。

 また、台風23号による被害につきましても、近畿2府7県の応援協定に基づきまして、兵庫県に土木および農林技術職員を派遣し、被害報告書や設計書の作成に従事するなど、できる限りの対応をしているところであります。

 このように本年は、中越地震をはじめ、台風23号を含めた日本列島に10個の台風の上陸があったことや、集中豪雨などによりまして、各地で近年にない大きな被害が発生し、改めて自然災害の脅威を再認識いたしますとともに、県民の生命と財産を守る立場にある者として、災害への備えの重要さを痛切に感じた次第であります。

 これら全国各地の災害で課題となりました点や、支援に赴いた職員の経験を踏まえまして、避難体制や、情報の収集・伝達に関する事項などについて早急に検証し、必要な改善策を講じるなど、今後の防災対策の充実につなげてまいりたいと考えております。

 次に、平成17年度当初予算の編成についてであります。

 いよいよ来年度予算の編成時期になってまいりました。
 まず、予算編成の背景となります経済情勢についてでありますが、我が国の経済の動向は、先月の政府の月例経済報告によりますと、個人消費は堅調な動きを示しているものの、輸出が弱含みでありますことや、生産も横ばいとなっておりますことから、1年5カ月ぶりに景気の基調判断が下方修正されました。
 また、先行きにつきましても、原油価格の高騰や世界経済の減速などの懸念があり、不透明さを抱えている状況であります。

 一方、本県経済は、投資動向の水準が低下していますものの、生産動向や個人消費が持ち直していることなどから、回復傾向が続いているとしているところであります。
 しかしながら、こうした状況は業種や企業規模によりバラツキがありますし、中小企業を取り巻く環境は依然厳しく、輸出関連業種の比重が高い本県の産業構造を考えますと、景気の先行きについては十分注意を払う必要があると認識いたしております。

 こうした経済情勢のもとでの予算編成でありますが、政府においては、三位一体の改革の下に引き続き歳出改革の一層の推進を図り、一般歳出等を実質的に前年度水準以下に抑制することを目標とし、歳出全般の徹底した見直しにより、歳出の抑制と予算配分の重点化・効率化を実施する、とされております。

 そこで、本県の予算編成についてでありますが、気になる税収見通しにつきましては、このところ輸出に弱い動きが見られますことや、原油価格の影響や雇用環境、個人所得の動向なども考えますと、県税全体が大幅に回復する基調にはないと判断いたしております。また、地方交付税につきましても、国の総額抑制の方針もありますことから、減少傾向が続くものと予想されるところであります。

 6月に出されました「骨太の方針2004」に基づきまして、三位一体の改革の影響を踏まえて行った財政収支試算では、来年度に約280億円の財源不足を生じることが明らかになってまいりましたことから、この危機的な財政状況を直視し、その財源不足の縮減に取り組むことが喫緊の課題であると考えております。

 加えまして、先月26日に、平成18年度までの三位一体の改革の全体像が政府・与党から示されたところでありますが、国庫補助負担金の具体の廃止内容やそれに見合う税源移譲の内容、さらには地方財政計画が決定される中で地方交付税等の金額の詳細が今後明らかになってまいりますと、予算編成において種々影響を受けるということになりますことから、これに対しまして、適切に対処していかなければなりません。

 このため、さきにお示ししました「財政危機回避のための改革基本方針(案)」に基づきまして、市町村合併の進展や、県民・NPO等との協働の推進など、県を取り巻く諸情勢の変化を踏まえまして、県のあり方そのもの、県の行政スタイルそのものを抜本的に転換し、この厳しい状況を乗り越えられるよう、「歳入に見合った歳出」を徹底した予算編成に取り組んでいかなければならないと考えております。

 現在、平成14年度に策定いたしました財政構造改革プログラムの改定作業に取り組んでいるところでありますが、従来のようなスライス的な削減にとどまらず、県の果たすべき役割を踏まえまして、事業の存廃にまで踏み込んだ徹底した見直しをしていかなければならないと考えております。
 あわせて、一層スリムで効率的な組織となるよう、事務事業の見直しに伴います人員削減や職員給与の見直しなどに取り組みますほか、地域振興局につきましては、市町村合併の進展を見極めながら、地域ごとに段階的に機能や組織の見直しを進めたいと思っております。

 一方で、このような厳しい財政環境の中にありましても、本県の持続的発展を図るためには、昨年度策定いたしました「滋賀県中期計画」を基軸に、目的志向、成果重視の行政運営に徹底して取り組みますとともに、「10の戦略」等を重点的に推進してまいりますほか、地震防災対策につきましても、地震防災プログラムに基づきまして、県有施設の耐震化の推進や民間木造住宅の耐震化の促進など、必要な取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、今後明らかになってまいります国の予算編成や地方財政計画の動向が本県の財政に及ぼす影響、そしてまた、税収の見通しなども十分見極めながら、「地域の自立と協働の自治」への転換を達成できるよう、精一杯取り組んでまいる所存であります。

 次に、瀬田川洗堰の全閉操作の解消に向けての取り組みについて申し上げます。

 今からちょうど100年前、琵琶湖淀川をめぐる歴史的な出来事がありました。明治38年の南郷洗堰の設置であります。琵琶湖から下流淀川へとつながる自然の水の流れを洗堰が受け止め、治水そして利水を人の手で管理し、コントロールしようという、まさに画期的な発想でありました。

 しかし、この発想は、琵琶湖の治水にとって、暗い陰を落とすこととなりました。この洗堰が、琵琶湖の水位を調節する役割と同時に、下流の治水に対して大きすぎる役割を担うことになったからであります。すなわち、下流淀川が洪水になった時は洗堰をすべて締め切るという「全閉操作」であります。

 この操作は、昭和36年に設置されました今の瀬田川洗堰にも引き継がれておりまして、さらに平成4年には、国の操作規則において明文化されたところであります。例えば、淀川の枚方地点の水位が現に3mを超え、さらに、この川は、木津川、桂川および宇治川の三川が合流し、水位が急上昇しますので、今後5.3mを超えるおそれがある時には、洗堰を全閉するということが規定されております。

 この全閉操作は、下流の人々の生命や財産を守るという大きな役割を果たす一方で、琵琶湖の浸水被害の危険を増大させるという我々滋賀県民にとって重大な問題をはらんでいるわけであります。

 そこで、南郷洗堰の設置以来、100年の時を経た今、この間の下流淀川の改修や、木津川、桂川のダム群の整備といった、治水機能の飛躍的向上を踏まえてもなお洗堰の全閉操作が妥当な手段であるのかどうか、再検討すべきであると考えまして、全閉操作の歴史的経緯の確認や、治水計画の対象から外されてきた明治29年9月の洪水について、関係職員によるプロジェクトチームを組みまして、検証を進めてきたところであります。この明治29年の洪水は、死者・行方不明者あわせまして34名、浸水被害家屋58,391棟、浸水の水田は約30,000ヘクタールに及ぶなど、滋賀県の過去最大の洪水でありまして、琵琶湖水位も3.76mという想像を絶する大洪水であったという記録が残っております。

 こうした当時のできる限りの資料を集めまして、その時の淀川における流量を復元するなど、データに基づき検討してまいりました結果、今後、淀川水系における新たな河川整備基本方針および河川整備計画が策定されるに当たりましては、洗堰操作を根本的に見直すこととあわせまして、大戸川や、丹生ダムをはじめとする施設整備が全閉操作の解消に不可欠であることが判明したところであります。早速明日にもこの事実を国に向けまして申し入れ、確かな対応策を要請してまいりたいと考えております。

 そもそも、琵琶湖淀川の治水には、長年にわたり上下流の対立など、重く深い歴史がございます。それだけに21世紀に入って、大洪水という危険を思いめぐらす時、上下流が洗堰の操作をめぐって対立するのではなく、そうした危険にこそ、双方がお互いに助け合えるという新しい治水計画が予め樹立されなければならないと考えます。

 とりわけ、琵琶湖の治水に関しましては様々な課題に県議会あげて取り組んできていただいてきた歴史があります。ぜひとも議員各位のお力添えを、改めてお願いを申し上げる次第であります。

 次に、高校の通学区域について申し上げます。

 本県における県立高校全日制課程普通科の通学区域は、昭和24年の新制高校発足時、各通学区域1校ずつの小通学区域制として始まりました。昭和60年に、現在の6通学区域になったところであります。

 しかし、現行の通学区域となりましてから、既に19年余りが経過いたしておりますし、この間、県民生活圏の拡大や交通事情の改善などによりまして、高校選択を取り巻く状況は大きく変化いたしております。生徒の多様な学習ニーズや、より主体的な高校選択に対応することが求められるようになってきているところであります。

 こうした中、本県にふさわしい今後の通学区域のあり方について検討するため、学識経験者や教育関係者、公募委員からなる「県立高等学校通学区域制度検討委員会」におきまして、生徒の進路志望の動向や県民意識調査の結果なども踏まえ、1年間にわたり慎重に議論を進めてきていただいたところであります。

 そして、本年6月には検討委員会から、「全県一区が最も望ましい」との答申をいただきまして、これをもとにいたしまして、市町村教育委員会などと調整を図りながら、検討を進めてまいりました結果、平成18年4月の新入生から、通学区域を廃止し、全県一区としてまいりたいと考えております。

 全県一区の実施によりまして、学校選択の幅が格段に広がり、生徒の興味や関心をはじめ、能力や個性から進路希望にあった学校を、より広い範囲から選べることになります。これによりまして、個性や創造性を一層伸ばし、21世紀を担う心ゆたかでたくましい子どもたちを、育てていくことができるものと考えております。

 また、生徒や保護者がより主体的に学校選択を行うようになることから、各学校においては、目的意識をもって自ら学ぼうとする意欲に応えられるよう、魅力づくりがより一層進むものと、期待するものであります。

 本県教育行政におきましては、55年間続きました通学区域を廃止するという、戦後最大の教育改革の一つといえますが、これにあわせまして、学校の特色づくりや、情報提供等を積極的に進めまして、改革が着実に実を結び、生徒一人ひとりにとって実り多いものとなりますよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以下、今議会に提案いたしております案件の概要について、ご説明申し上げます。

 議第141号から145号までは、補正予算でありまして、県有施設の管理業務委託について、契約事務の競争性等を確保する観点から、複数年契約に係る債務負担行為を追加しようとするものでありまして、議第141号は一般会計に、議第142号は公営競技事業特別会計に、議第143号から145号までは企業会計に、それぞれ係るものであります。

 次に、条例案件およびその他の案件でありますが、議第146号は、東近江市を平成17年2月11日に、議第147号は、米原市を平成17年2月14日に、それぞれ設置することに伴いまして、関係条例の整備をしようとするものであります。

 議第148号は、個人情報の保護に関する法律および行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行に伴いまして、実施機関に議会や警察を加えるなど、より充実した個人情報保護制度となるよう、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第149号は、屋外広告物法の一部改正に伴い、除去した広告物の保管手続き等、条例で定めることとされた事項などについて、必要な規定を整備しようとするものであり、議第150号は、労働組合法の一部改正に伴い、県の条例で規定している地方労働委員会の名称を「労働委員会」に改めるなど、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第151号は、滋賀県知事の権限に属する事務のうち、都市計画法に基づく開発許可に関する事務等について、新たに守山市が処理できるよう、所要の改正を行おうとするものであり、議第152号は、薬事法の一部改正に伴い、医薬品の製造販売業の許可申請に対する審査手数料等を追加するなど、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第153号は、総合保健専門学校の保健学科、助産学科および看護第2学科を廃止するため、所要の改正を行おうとするものであり、議第154号は、普通河川が市町村に譲与されることから、条例を廃止しようとするものであります。

 議第155号は、都市公園法の一部改正に伴い、除去した工作物の保管手続きなど、条例で定めることとされた事項について、必要な規定を整備しようとするものであり、議第156号は、今申し上げた県立高等学校全日制普通科の通学区域を全県一区に改め、平成18年度入学者から適用するため、所要の改正をしようとするものであります。

 議第157号は、東近江市および米原市を設置することに伴い、関係警察署の名称、位置および管轄区域について、一部警察署を統合し、その名称を定めるなど、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第158号および159号は、契約の締結について、議第160号は、平成17年度に発売する宝くじの総額について議決を求めようとするものであり、議第161号は、専決処分について承認を得ようとするものでありまして、滋賀県議会議員甲賀郡選挙区補欠選挙の執行事務費等の一般会計補正予算に係るものであります。

 以上、何卒よろしくご審議を賜りますよう、お願い申し上げます。
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