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議会だより

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議会だより 音声版

第4号(平成11年2月定例会) 平成11年4月25日発行

2月定例会の概要

〜平成11年度県予算を可決〜

 滋賀県議会は、2月定例会を2月17日から3月12日までの24日間の会期で開きました。
 今回の定例会には、平成11年度滋賀県一般会計予算ならびに「びわこ空港」建設の是非を問う住民投票条例案をはじめ知事提出議案78件と、滋賀県公文書の公開等に関する条例の一部を改正する条例案をはじめ議員提出議案4件の合計82議案が上程され、審査を行った結果、住民投票条例案を除いて、いずれも原案のとおり可決または同意しました。
 また、本会議における代表質問、一般質問、部門質問、緊急質問および討論には、延べ54人の議員が登壇し、県政全般に渡って論議を展開しました。
 さらに、各委員会においては、付託された各議案ならびに請願、陳情、その他所管事項について審査および調査を行いました。

2月定例会の主な質問と答弁の要旨(代表・一般質問から)

直接請求
●住民投票制度
Q 住民投票については、まだまだ議論を重ね、制度としてうまく機能できるよう成熟化させていく必要があると考えるが、民意を県政へ反映するという観点から、住民投票のあり方についての所見を問う。
A 住民投票制度の導入については、どのようなテーマを、どのようなタイミングで実施するのが適切であるかを考える必要があり、間接民主主義を基本とした現行の地方自治制度の下での議会との関係や実施面で解決されなければならない課題が多くあることから、今後、慎重に議論を重ねる必要があると考えています。
 また、県民の皆さんの声を県政に反映する方法として、ほかにも様々な手法が考えられるところであり、県民の皆さんの生の声をお聴かせいただく取り組みを通じて、県民が主役の県政の実現を図っていきたいと考えています。

●条例案への知事意見
Q 去る2月15日に約12万人の署名を添えて、びわこ空港建設の是非を問う住民投票条例制定請求書が知事に提出されたが、これは県民の世論の大勢を反映していると見るべきではないか。
A 空港整備といったプロジェクトは、複雑な利害や意見の調整と、多様な観点からの検討に基づく総合的な判断が必要であり、県民の負託を受けた議会において十分意見を交わし、議論を重ねていただくのが最もふさわしく、住民投票という二者択一で賛否を問う手法はなじみにくいと考えますが、有権者の一割余の署名が集まったことは真摯に受け止め、今後とも県民の皆さんの疑問や不安とされる点について、県の考えをきっちり示しながら、県民の皆さんの大方の理解を得て進めていきたいと考えています。

●条例案の内容
Q 制定請求のあった条例案について、第4条に投票資格者、第11条に投票運動、第14条に住民投票に関する知事の義務の規定があるが、これらの条項についての見解を問う。
A 第4条の投票資格者のうち外国人登録者は、地方自治法に規定する直接請求ができる者ではなく、現在、国会に提出されている法案の審議の推移などを含め、なお検討を要するのではないかと考えています。
 また、第11条では、県民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるものを制限しているものの、罰則規定などはなく、違反行為が生じないか懸念するところです。
 第14条第1項については、地方自治法の知事の権限に制限を加えることになり、法の規定に抵触する恐れがあると考えています。
 条例制定の必要性の議論は別としても、本条例案には疑問点や慎重な検討を要する部分があると感じています。

新年度予算
●予算の総括
Q 「厳しさの中から新時代へのチャレンジ」という平成11年度当初予算のキャッチフレーズには、知事の姿勢が込められていると考えるが、予算に盛り込まれた思いと今後の財政運営の見通しについて所見を問う。
A 平成11年度の税収が戦後最大規模の減収になることが明らかになり、予算全体を厳しく引き締める中で、限られた財源を最大限、効果的・効率的に活用することに留意するとともに、喫緊の課題である経済対策関係予算には最大限配慮し、健康福祉や教育といった県民生活に関係の深い分野については、全体がマイナス予算となる中で、後退させることなく精一杯努力するなど、メリハリをつけたところです。
 今後の財政運営については、県財政の健全性、弾力性を保持するために、従来にも増して「歳入に見合った歳出」という財政運営の基本原則に徹し、財政構造改革を着実に推進していく必要があると考えています。

●県政重点化調整枠と特別枠
Q 県政の重要課題に重点的・体系的・部局横断的に対応するため、平成10年度に引き続き県政重点化調整枠事業に取り組み、さらに、知事自らがその中に財政当局が査定しない特別枠を設けたが、これらの事業にかけた思いと期待するところを問う。
A 県政重点化調整枠事業については、県民の皆さんにとって今何が一番重要な課題か、それに応えるには何をすべきか、といった視点に立って全庁的な議論を行い、重点課題の設定と対応の方針を決定し、施策化したものです。
 また、特別枠については、厳しい財政事情の中にあっても、県民の皆さんに元気を出していただけるような施策を打ち出して欲しいという思いで新たに設けたものであり、総じて、これまでと一味違う、斬新で意欲的な取り組みもできたと思っています。

環 境
●環境行政の基本
Q 21世紀に向かうには、個人のライフスタイルの変更も含め、環境重視型に政策転換し、県民・行政・事業者が環境への負荷を与える全ての元凶を断ち切るつもりで責務を果たさなければならないが、この点について、どのように認識しているのか尋ねる。
A 環境優先の理念のもとに県の諸施策を進めるという基本理念を「環境こだわり県」という表現でお示ししているところであり、環境負荷の元凶を断つということが、環境行政の不変の真理であると考えますが、私たちの生活が生み出す多様な環境負荷の集積が周辺環境へじわじわと影響をもたらしており、県民の皆さん一人ひとりが、例え小さな事柄であっても、日々の生活の中で実行していただくとともに、行政として環境にこだわる施策を進めることで、県民の皆さんの信頼を得ていきたいと考えています。
●廃棄物処理
Q 環境の世紀と言われる21世紀を前にして、環境教育の場ともなる夢のあるビジョンを持った廃棄物処分場を構想するなど、マイナスイメージからの転換を図る必要があるとともに、地域と共存できる施設づくりを目指すべきと考えるが、これからの施設整備の基本的な考えを問う。
A 人の営みや社会が持続的発展を続けるかぎり、一定の最終処分場の確保が必要になることから、処分場を建設するに当たっては、まず第一に安全性を確保するとともに、計画段階からの情報の共有化や住民参加を実現することで、住民の皆さんの不安などを解消していきたいと考えています。
 また、県民、関係事業者、市町村の方々と協調し、廃棄物の排出抑制による減量化・資源化とリサイクルの一層の推進を図り、滋賀県らしい資源循環型の処理システムを確立していきたいと思います。

くらし
●景気対策
Q バブル崩壊後の長引く不況で、民間企業は生き残るために人員とコスト削減を行ってきており、現在の先行見通しでは景気回復も悲観的で、さらに徹底したリストラをやるしかないとの声が大勢を占めているが、本県の経済状況ならびに雇用状況をどのように認識しているのか。
A 昨年からの三次にわたる補正予算によって、厳しい状況に置かれている中小企業の方々の経営を支える効果があったものと考えていますが、新年度においても、経済対策関連予算を大幅に充実するとともに、総合的な産業支援体制を整備し、新たな成長産業の創造に向けた施策の充実にも取り組むこととしています。
 また、雇用問題は、県民の皆さんにとって最も切実な問題でありますことから、今後とも、企業訪問や就職面接会など、県や国の各種施策を積極的に展開することにより、一人でも多くの雇用が確保できるよう、一層努めていきたいと考えています。
●介護保険制度
Q 今年10月からはじまる介護認定業務については、保険適用の認定を行う重要なものであり、住民の方から制度に対する信頼を得るためにも、各市町村において円滑適正に行われるよう、一層の周知徹底が重要であるが、どのように考えているのか。
 また、介護サービス基盤の整備や民間参入について、どのように取り組もうとしているのか。
A 介護認定業務は、制度運営の根幹となるもので、的確な調査や公正・公平な審査・判定がなされることが重要であり、調査事項や認定基準の適正な運用を指導するとともに、調査員や認定審査会委員の資質の向上をはかるための研修をより充実していきたいと考えています。
 介護保険のサービス基盤となる主な事業は、県全体としては概ね目標に達する見込みであり、圏域調整をさらに進めるとともに、平成11年度には、訪問介護員の養成研修を倍増するほか、研修修了者の就業を促進するため、実務研修への支援などを行うこととしています。
 民間参入については、圏域ごとに連絡調整の場を設定し、地域の要介護者のニーズなどの情報提供に努めるとともに、サービスの質の確保など、必要な協議調整を行い、サービスが適切に提供されるよう努めていきたいと考えています。

産  業
●新たな農林水産プラン
Q 食料の安定供給の確保、自給率の明示、多様な担い手の確保を骨子とする仮称「食料・農業・農村基本法」が国会に上程されるが、県の新しいプランでは、農業、農村をどのように位置付け、振興しようとしているのか。
A 新たなプランの策定に当たっては、まず、食料の自給率の向上が大きな課題であり、食やライフスタイルの見直しも視野に入れた取り組みを進める必要があると考えています。
 また、農業については、地域農業の担い手の確保・育成が重要であり、集落営農組織のレベルアップ等の取り組みを充実させるとともに、消費者の安全志向、健康志向に対応した環境調和型農業を一層充実する必要がありますし、農業・農村が果たす県土や環境の保全などの公益的な機能を正しく理解し、評価していただけるよう、あらゆる機会を活用して啓発に努めるとともに、総合的な地域活性化方策を検討する必要があると考えています。
●新産業振興
Q 本県が、今後とも経済の持続的な発展を遂げ続けるためには、足元の景気回復に加え、21世紀を展望した産業振興が大きな鍵であると考えるが、企業活動への支援について、どのように考えているのか。
A 「たくましい経済県」に向けて、本県の特性を生かした環境分野や福祉・健康分野などの新規成長産業の育成を加速させるための体制の整備と施策の充実が必要であり、研究開発の段階から販路開拓に至るまでの一貫した支援体制が求められることから、工業技術総合センターに技術開発室、いわゆるレンタルラボを整備し、入居企業を支援することとしているほか、今年4月に仮称「財団法人滋賀県産業支援プラザ」を設立することとし、本県経済の確固たる基盤の確立に寄与できるよう、準備を進めているところです。

プロジェクト
●びわこ空港
Q 航空法の改正によって、規制緩和による需給調整規制の撤廃と路線・運賃の自由化が進むことになり、びわこ空港の需要予測や空港開設の許可の審査に大きな影響を与えるものと考えるが、運輸大臣の許可の可能性、航空会社の路線開設の可能性について、どのような見通しを持っているのか問う。
A びわこ空港の需要予測は、実績のデータに基づき一定の手法で客観的に実施しているものであり、利用圏内の人口や産業の集積から見ても、路線開設は確実に見込めるものと思っています。
 また、利用者のある空港、路線にとっては、規制緩和はむしろ有利に働くことは言うまでもなく、びわこ空港においては、航空会社が路線開設するに十分な需要があるものと考えています。
Q 公聴会には多くの県民が参加され、賛否両論の多様な意見が交わされているが、これまでの結果や多くの県民の皆さんの声を、どのように分析し、反映していこうとしているのか尋ねる。
 また、空港の採算性や経済効果なども含め、県民の皆さんへの、より分かりやすい情報の提供が、より活発な議論を生むと考えるがどうか。
A 公聴会で出された意見や疑問等については、全ての公聴会が終了した後に論点を整理し、批判や疑問点については、県の考え方をきちっと示し、議論を深めていただくとともに、反映すべきものは今後の空港計画の中に積極的に取り入れていきたいと考えています。
 また、今後の情報提供については、シンポジウムの開催など、広く県民の皆さんに議論を重ねていただく機会を設けるほか、各種の広報媒体を活用した、より積極的な広報啓発活動を実施することとしています。

行 政
●入札契約制度の改善
Q 県発注工事の入札において、同額の入札くじ引きによる落札が増加していることから、入札・契約手続の透明性、客観性、競争性の確保のために、もう一歩踏み込んだ制度の改善が望まれるが、予定価格の事前公表および最低制限価格の撤廃についての見解を問う。
A 予定価格の事前公表については、不正な動きを防止する効果が期待できる反面、予定価格が目安となって競争が制限されるなどの弊害が懸念されることから、本県の実情を踏まえつつ、国や他府県の状況を見極めながら、今後、なお慎重に検討すべき課題であると認識しています。
 また、最低制限価格の撤廃については、既に19都県で制度の緩和または撤廃が行われており、今後、一定規模以上の工事について、この制度を拡充する方向で検討していきます。

●外部監査制度
Q 地方自治法が改正され、外部監査制度が導入されることになり、今議会で条例案が上程されているが、この導入により、従来の監査委員による監査に何らかの変化が求められるのか。
A 監査委員制度については、公正で合理的かつ効率的な行政の確保という観点から財務監査に加えて行政運営全般についても幅広く実施いただいており、包括外部監査は、監査委員が行う財務監査を補完するものであり、基本的には変化があるとは考えていません。
 また、個別外部監査については、請求・要求に基づき議会または監査委員が判断し、その都度、議会の議決を経ることとされており、現行の監査制度と連携、相互補完し合うことによって、監査機能の専門性・独立性の充実強化が図られ、県行政の透明性が一層確保されるものと思っています。

議会トピックス

●平成11年度県当初予算の概要
 今期定例会において、平成11年度滋賀県当初予算が成立しました。
 一般会計は、5,828億8千万円、これに特別会計と企業会計を合わせた総額では7,254億7千万円となっています。
 特に、一般会計では、県税収入の落ち込みが対前年比マイナス17.3%と大きく、不足分は基金の取り崩しや県債の発行等により対応しており、こうした厳しい財政状況を反映し、一般会計の伸び率も、対前年比マイナス0.7%と2年連続のマイナス予算になっています。
 こうした中、「歳入に見合った歳出」を基本として、行財政改革に取り組む一方で、「厳しさの中から新時代へチャレンジ」をキャッチフレーズに、
 ・「くらし安心県」
 ・「環境こだわり県」
 ・「たくましい経済県」
 ・「自治と文化の創造県」
を目指した各種施策を積極的に推進することとしています。

その他 議会運営委員会の活動/議会展望/他

○議会運営委員会の活動

 本委員会は、円滑で効率的な議会運営が図れるよう、議会運営全般について協議、決定する委員会です。
 委員会は、委員9名で構成され、主に次の事項が協議されています。
(1)会期・日程、質疑・質問、採決方法など議会運営に関する事項
(2)議会の会議規則、委員会に関する条例等の制定や改正に関する事項
(3)県の附属機関の委員の推薦など議長の諮問に関する事項

○議会展望

●住民投票条例案の審議経過
 びわこ空港建設の是非を問う住民投票条例の制定について、地方自治法第74条に基づき、12万3,814人の署名とともに、國松知事に対して直接請求され、本条例案が、2月19日に開かれた本会議に、知事の意見を付けて上程されました。
 県議会では、これら署名の重みを真摯に受け止め、本会議での代表質問および一般質問を経て、同月26日にびわこ空港・交通対策特別委員会に審査を付託しました。
 委員会では、3月9日、10日の二日間にわたり集中して審査を行い、9日には、本条例案を提出した請求代表者を参考人として招致し、条例制定請求の趣旨、条例案の内容等について意見聴取を行いました。
 また、翌10日には、県当局に対して住民投票制度や本条例案に付された知事意見に関する質疑のほか、びわこ空港の必要性、需要予測および県財政への影響等についても質疑を行うなど、慎重に審査を行った後、「びわこ空港については、県の将来を見据え、総合的に対応すべきで、二者択一の住民投票になじまないのではないか。」などの意見が出され、採決の結果、賛成少数で本条例案を否決すべきものと決しました。
 今期定例会最終日の3月12日には、本条例案を否決すべきとする委員長報告が行われ、その後、賛成・反対の立場から討論が展開された後、採決を行い、賛成多数で委員長報告のとおり同条例案は否決されました。

○望月由郎議員逝去

 平成11年2月1日、望月由郎議員が、逝去されました(享年65歳)。
 氏は、甲南町議会議員、同町議会議長を経て、平成7年滋賀県議会議員となり、同県議会企画県民土木常任委員長を務めるなど、地方自治発展に多大な貢献をされました。
 ここに故人のご冥福を祈り、謹んで哀悼の意を表します。

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