我が国固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島および択捉島の北方四島の返還の実現は、国民の長年にわたる悲願である。
しかし、戦後72年を経た今もなお、北方四島は返還されず、日露両国間に平和条約が締結されていないことは誠に遺憾である。
北方領土問題を解決し平和条約の締結に至るためには、日露両国間における政治対話を促進し、様々な分野での交流を拡大して相互理解を深めることが必要不可欠である。
こうした中、昨年5月の日露首脳会談では北方領土問題について今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を精力的に進めていくとの認識が両首脳で共有されるとともに、同年12月の首脳会談では北方領土における日本とロシアによる共同経済活動に関する協議の開始が平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るとの相互理解に達している。
一方、北方四島を追われた元島民は、既に6割を超える方々が亡くなられており、一刻も早い領土問題の解決が強く望まれている。
よって、国会および政府におかれては、北方四島の早期返還の実現を求める国民の総意と心情に応え、次の事項について適切な措置を講ずるよう強く求める。
記
1 日露両国間において今日までに達成された諸合意に基づき、早急に北方領土問題を解決し平和
条約を締結するための強力な外交交渉を進めること。
2 国民世論の結集と高揚、国際世論の喚起および学校現場等における青少年に対する北方領土教
育等の充実と強化を図るとともに、内閣総理大臣による北方領土隣接地域からの北方領土視察を
実現するなど、北方領土返還要求運動の一層の促進を図ること。
3 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律に基づく北方領土隣接地域の振興
対策等を促進すること。
4 北方四島交流事業、北方領土墓参事業および北方四島自由訪問事業の実施団体に対する支援措
置を強化するとともに、各事業の円滑な実施を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月21日
滋賀県議会議長 奥 村 芳 正
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣