放課後児童クラブでは、労働等により保護者が昼間家庭にいない児童に対して、放課後に適切な遊びや生活の場を提供し、児童の健全な育成を図っているところであるが、女性の就労拡大等により、児童が安全に安心して放課後を過ごせる放課後児童クラブのニーズはますます高まっている。
一方、放課後児童クラブの従事者およびその員数については、厚生労働省令で定める基準に従い市町村が条例で基準を定めることとされており、具体的には、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」という。)において、放課後児童クラブには放課後児童支援員を配置すること、放課後児童支援員は都道府県知事が行う研修を修了したものでなければならないこと、などが定められている。
こうした中、政府においては、放課後児童クラブの従事者およびその員数に係る基準について、現行の「従うべき基準」から「参酌すべき基準」に変更する方向で検討が進められている。しかしながら、参酌すべき基準とされれば、放課後児童クラブに専門的な知識および技能を有した放課後児童支援員が全く配置されないことも起こり得る。また、これは、素養があり、適切な訓練を受けた職員の支援により、児童が心身ともに健やかに育成されることを保障するとの設備運営基準の趣旨にも反しかねない。
放課後児童クラブでは、年齢や発達の状況が異なる児童を同時に、かつ継続的に育成することや、安全面の管理が必要であることから、専門職である放課後児童支援員の適正な配置により、全国的に一定水準の質が確保されることが必要不可欠である。
よって、国会および政府におかれては、設備運営基準の趣旨を踏まえ、放課後児童支援員が適正に配置されるよう、「従うべき基準」を堅持し、放課後児童クラブの質を確保されるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年12月21日
滋賀県議会議長 川 島 隆 二
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣