請願第4号 滋賀県立大学学費の無償化を求めることについて
請願第4号
令和6年6月27日
中山和行
節木三千代
現在、日本は世界でも異常な高学費であるのに加えて、奨学金は貸与=借金が中心、その半数が有利子となっている(奨学金の貸与総残高は約10兆円に上る)。そのため学生は非常に厳しい生活を強いられ、アルバイトを幾つも掛け持ちし十分な休息や研究の時間が取れない、食費を削り学費やその他の生活費に充てているといった学生が珍しくない。また、奨学金の返済で月2〜3万円近くもの支出が何十年も続くという実情に、当事者は生活に余裕が持てず困窮し、現在奨学金を借りている学生にも大きな不安と閉塞感を与えている。このような現状から進路を変更したり、大学進学そのものを諦めざるを得なくなっていることも大きな問題である。
北欧をはじめ、多くの国では学費の無償化、給付型奨学金と、その中で学生の生活費を保障する政策が主流になっている。これは国民の教育を受ける権利を保障するものであり、社会の発展の基礎となるという理論に立っているからである。対して日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、高等教育への公的財政支出が最低水準にとどまっている。つまり、同程度の経済発展にある国と比べても、学生に強いる学費の負担が非常に大きいことを表している。学費値上げを進めてきた政治の責任は重大であり、緊急の対策が求められている。また、高学費の一因となっている入学金については徴収の合理的な理由さえなく、世界でも例がない。
滋賀県立大学の初年度納付金は1,018,800円(県内877,800円)に上り、1971年(当時は県立短期大学12,000円)と比べると、85倍の激増である。さらに、困窮世帯の学生のための給付型奨学金制度は、成績要件で取り消された学生が県内で719人(過去3年間)にも上っており、「理不尽だ」という声が起こっている。
物価高騰が家計を圧迫し、実質賃金の低下が続く中で、子育て世代からも「教育費がかかり過ぎる。子どもたちが自由に進路を選べるように学費の無償化を」、「シングルマザーで、子どもの大学奨学金返済が始まり大変な負担」と切実な声が寄せられている。
こうした中でも、兵庫県立大学や東京都立大学が今年度から授業料の無償化に踏み出し、また大阪公立大学・公立高専も授業料支援制度を実施するなど、県独自の政策に多くの喜びの声が上がっている。こうした地方自治の努力によって、より根本的に高等教育無償化への道も開かれると思う。その先頭に滋賀県も立つべく、次の事項を実現するよう強く要請する。
1.県の責任で県立大学に通っている学生の授業料を無償化すること。
2.学生の生活費の保障を含めた本格的な給付型奨学金を県独自につくること。
3.県が拠出して、県立大学の卒業生(県内生県外生ともに)の貸与奨学金の返済を半額免除
すること。