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知事提案説明(平成14年 2月定例会)

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平成14年 2月議会定例会 知事提案説明から

平成14年 2月議会定例会 知事提案説明から

 本日、2月県議会定例会を開会し、提出いたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明いたしますとともに、新しい年度に向けた県政運営方針について私の所信を申し述べたいと存じます。

 去る9日から、米国のソルトレイクシティーにおきまして冬季オリンピックが開催されています。日本人選手の健闘をはじめ、世界の選手の活躍が連日伝えられておりますが、華やかな開会式を報じる新聞の片隅で、ある記事が目にとまりました。アフガニスタンの子どもたちにオリンピックの話をしたら「オリンピックがあるなんて知らない」という返事が帰ってきたという記事であります。また、テレビのニュースでも、「アフガニスタンの子ども達は「平和」という言葉を知らない。「希望」という言葉も知らない。」ということが放送されておりました。

 こうした話に出会うたびに、アフガニスタンの子ども達がおかれている過酷な状況に思いをいたし、何ともやるせない気持ちになります。

 翻って、日本の子どもたちの現状を見ると、どうでありましょう。現在の日本は、アフガニスタンのような戦闘もなく、平和を謳歌しています。食べ物は豊富にあり、快適な暮らしをし、立派な学校で学べる豊かな国であります。にもかかわらず、いわゆる「学級崩壊」や校内暴力の問題、さらには相次ぐ少年による凶悪犯罪など、誠に憂うべき状況にあります。こうした状況になるのはなぜなのか。

 私は、昨年、この議場で、21世紀は「人間の世紀」から「自然の世紀」へ、「大人の世紀」から「子どもの世紀」へ、「物の世紀」から「心の世紀」へ、「戦争の世紀」から「平和の世紀」へと変えていかなければならないと申し上げましたが、今一度、我々大人一人ひとりが真剣に考えなければなければならない時期にあると思います。

 比叡山で、二度の千日回峯行を達成された酒井雄哉大阿闍梨が、昨年出されたご本の中に、「世界の子どもたちは、生きるために目をかがやかせている」と書かれた1枚の絵があります。実に印象的でしたが、21世紀は間違いなしに、今の子どもたちが主役の時代です。全ての子ども達が、平和な世界で生き生きと育つ社会が一日も早く到来することを願いつつ、具体の説明に入ります。

 まず、平成14年度予算でありますが、今回の予算編成は、かつてない厳しい環境の中での編成となりました。今月13日に政府が発表されました2月の月例経済報告によりますと、わが国の経済は「対外経済環境の改善や生産の減少テンポの鈍化など一部に明るい材料が出てきたものの、個人消費の低迷や設備投資の減少が続くことから、景気は、悪化を続けている状態」と判断されております。また、雇用情勢につきましても、先月29日に発表されました12月の完全失業率が5.6%と、4ヵ月連続して過去最悪を記録し、雇用情勢が深刻化している実態が裏付けられました。

 このような情勢の中、今回の予算編成で、最大の課題となりましたのは、なんと申しましても、500億円に上る財源不足への対応でありました。

 そもそも来年度予算につきましては、早い段階から、最近の景気動向などを踏まえ、県税収入の落ち込みが一定予想されましたので、昨年秋の予算編成方針におきまして、各部局に対し、一般財源ベースで平成13年度当初予算のマイナス10%のシーリングを指示したところでありました。

 その後、11月から12月にかけて主要法人からの聞き取り調査等をもとに、来年度県税収入を見込みましたところ、IT関連企業等の収益の急激な落ち込みが、予想を遙かに超え、法人二税が大幅に減少することが判明いたしました。
 さらに、これまで、県税収入が減少した場合、一定それを補うという形になっておりました地方交付税が、来年度は、国の構造改革の影響による減少に加えまして、平成13年度の本県の税収、特に年度前半の税収が比較的堅調であったことから、今年度に比べ減少することが見込まれるなど、歳入の確保が極めて厳しい状況になりました。

 一方で、教員や警察官の増員を急がねばならないといったこと等歳出増の要因もあり、正月早々、各部局の要求額と照らし合わせてみますと500億円という非常に大きな財源不足が見込まれることとなったのであります。
 このため、それ以降の編成作業におきましては、この財源不足にいかに対応し、収支の均衡をとるかが大きな課題となり、全庁挙げてこの事態を乗り越えるべく、あらゆる努力を行ったところであります。

 そこで、まずは、歳出を徹底して切り詰めることとし、各部局の要求のあった事業について、重要性や緊急性の観点から、厳しく審査するとともに、必要であっても後年度に繰り延べできるものは思い切って遅らせることといたしました。具体的には、今年度、既に実施設計に取りかかっております(仮称)琵琶湖・環境科学研究センターの工事着工や警察本部庁舎の実施設計につきましては、これらは主に私ども行政が使用する施設であるということもありまして、来年度の実施を見送ることといたしました。また、どうしても来年度取り組まなければならないものでも、例えば、第3回世界水フォーラムや「アジア太平洋障害者の十年」終了政府間会議などの事業につきましては、最少の経費で最大の効果が得られるよう、内容を厳しく精査して、全体の事業費を大幅に減額をいたしました。さらに、ハード事業であります公共事業につきましても、補助事業、単独事業とも平成13年度の90%以下とするなど徹底した削減を行ったところであります。
 こうした取り組みにより、歳出総額につきましては、要求額から、およそ230億円を削減いたしました。

 一方、歳入につきましては、福祉や教育、あるいは現下の厳しい雇用情勢や治安への対応など、どうしても取り組まなければならない事業について、支障なく取り組めるよう様々な方法で財源確保に努めたところであります。

 まず、このような財源不足に対処するため積み立てております財政調整基金や県債管理基金について210億円余を取り崩しますとともに、滋賀県福祉・教育振興基金について、現下の低金利情勢に鑑み、運用益のみでは、その設置目的を果たし切れていないことから、条例改正をさせていただき、原資を取り崩して事業に充当することといたしました。
 また、後年度の負担となります県債の発行につきましては、極力抑制することといたしましたが、法人二税について大幅な減少が見込まれますことから、緊急避難措置として、70億円の減収補填債を発行することといたしました。
 こうしたことによりまして、全体として見積もりベースより、およそ270億円の増を確保し、緊急かつ不可欠な施策の推進に支障が生じないよう財源を確保し、何とか収支を均衡させることが出来たところであります。 しかし、一方で、県民の皆さんには一部事業を遅らせたり、取りやめたりと一定の我慢を強いることとなり、お詫びを申し上げたいと存じます。

 さて、この結果、平成14年度一般会計当初予算の総額は、5,648億9千万円となり、平成13年度当初予算に比べ、率にして2.5%、金額で147億4千万円の減となりました。平成13年度当初予算は、4年ぶりに何とかマイナス予算を脱したところでありましたが、残念ながら、来年度は、再びマイナス予算となり、それも昭和34年度当初予算に次ぐ、戦後2番目の大きなマイナス幅となったところであります。

 以下、主な歳入につきまして申し上げますと、まず、県税でありますが、先程も申し上げましたように、法人二税がIT関連産業の収益の落ち込み等の影響により、前年度に比べ160億3千万円、率にしますと28.1%の大幅な減となるほか、県民税利子割も満期利子の支払いの減少により、前年度に比べ40億1千万円、51.5%の減となるなど、県税全体として1,298億円、前年度に比べますと235億円、15.3%の減を見込んでおります。

 次に、地方交付税は、地方財政計画や本県独自の事情等を勘案いたしまして、1,341億円を見込んでおります。これは前年度に比べ102億円、7.1%の減であります。

 また、県債につきましては、極力抑制に努めましたが、地方財政対策の一環として平成13年度から発行することとなりました臨時財政対策債が228億円、前年度に比べ123億円の増となりますことや、法人二税の減少を見込んで、減収補填債を当初段階から70億円発行することによりまして、総額で785億4,400万円となり、前年度に比べ、123億4千万円余、18.6%の増となりました。
 ただ、県債の発行にあたりましては、公債費という形で後年度の負担となるだけに、できるだけ財源措置のあるものを発行するよう努めました結果、発行額のうち98.3%は地方交付税等財源措置のあるものとなったところであります。

 基金繰り入れにつきましては、例年行っております特定目的基金の繰り入れのほか、先程も申し上げました、福祉・教育振興基金につきまして、条例改正し、通常の運用益分とあわせまして67億円の取り崩しを行い、また、今まで運用益のみを事業に充当しておりました環境保全基金につきましても原資を取り崩すことといたしましたほか、財政調整基金と県債管理基金合わせて212億円を取り崩すことといたしました。

 その他、歳出に見合った国庫補助負担金や分担金及び負担金、使用料等を見込みまして計上いたしております。

 県におきましては、将来にわたり本県の持続的発展を図っていくためには、財政の健全性の確保が不可欠との観点から、平成10年度から財政構造改革に積極的に取り組んできたところであります。仮に、こうした、これまでの財政構造改革に対する取り組みがなければ、今回の事態を乗り切ることは、最早、困難な状況ではなかったかと考えております。しかし、今般の予想を遙かに超える税収の落ち込み等により、本県財政は、再び非常に厳しい状況におかれることとなりました。

 昨年の秋以来、来年度予算編成におきましては、取りうる措置として、要求段階から、歳出の徹底したスクラップ・アンド・ビルドを行い、件数にして425件、金額にして38億円余の見直しを行いましたほか、このような異常事態を受け、県自らが痛みを感じながら努力することが肝要であるとの考えから、私をはじめ特別職は期末手当を、管理職員につきましても管理職手当を一定カットすることといたしたところであります。また、職員の超過勤務手当につきましても一定縮減することとしたところではありますが、現下の状況からは、景気の急速な回復は望めず、本県の財政状況は当面、好転することは難しいと判断されます。今後は、全事業について、改めてそのあり方や実施方法について抜本的に見直すとともに、県と国、市町村、民間等との役割分担の見直しや、負担の適正化を求めますほか、外形標準課税の早期実現や税財源の国から地方への移譲を強く働きかけるなど、あらゆる努力が必要であると考えております。

 さて、来年度予算のキャッチフレーズは、「厳しさに挑む『協働と創造』」といたしました。
 我が国経済は、最早、右肩上がりの成長を期待することは出来ません。いな、むしろ、マイナス成長を前提とする時代になってまいりました。そんな社会情勢の変化に伴いまして、今までの常識や価値観が通用しなくなってまいりました。
 非常に厳しい、また、混沌とした時代であります。だからこそ、このようなピンチの状況をむしろチャンスと捉え、今までの価値観や常識に囚われず、これからはこうした厳しい経済状況が当分の間は続くという前提に立って、企業やNPO、さらに県民の皆さんと協働して、新しい滋賀の個性や魅力を創造し、21世紀の新しい文化と常識を国の内外に発信してまいりたいとの思いからこのキャッチフレーズに決めさせていただきました。

 それでは、以下、平成14年度当初予算に計上いたしました主な施策につきまして、4本の柱に沿ってご説明いたします。

 第一の柱は、「誰もが暮らしに安心できる『くらし安心県』づくり」であります。

 世界に類を見ない少子・高齢社会を目前に控え、これまでの社会保障のあり方が大きく転換するなど社会が大きな変革の時期を迎えております。 こうした中、県民の皆さんと行政とが共に築き上げてきた数々の先駆的な取り組みとその精神を受け継ぎ、いかにして将来にわたって持続可能な、そして安定的かつ効率的な社会の仕組みを再構築していくかが問われています。
 このため、人と地域の活動を原動力とする各種施策を実施し、21世紀という新しい世紀に通用する「くらし安心県」づくりを推進してまいります。

 そこで、まず、健康福祉社会のセーフティネットの構築に向けては、従来のバリアフリーという考え方を一歩進めまして、ユニバーサルデザイン化を推進していきたいと考えております。

 高齢化対策では、介護保険制度がスタートから3年目に入り、第1期事業計画期間の最終年を迎えますことから、より一層、県民の皆さんから信頼され、安心して利用していただける制度として定着していくよう、市町村と協力して、取り組みを進めてまいります。

 具体的には、介護支援専門員や訪問介護員の資質の向上と、特別養護老人ホームなどの介護関連施設の整備を推進することによりまして、介護サービスの質・量両面の確保を図ってまいります。

 また、昨年実施いたしました実態調査の結果を踏まえまして、介護サービスの利用促進を図るため、「在宅介護サービス緊急利用体験事業」を実施してまいります。

 一方、介護保険制度がスタートする中で、特に重要な課題となってきております痴呆性高齢者の対策につきまして、総合的に取り組むため、新たに(仮称)痴呆性高齢者介護研修・支援センターを設置し、ここを核といたしまして、痴呆に関する県民の理解の促進、痴呆介護に関する専門的人材の養成、ならびに介護に関する技術や方法の情報提供等を進めてまいります。

 少子化対策につきましては、今日、大きな社会問題となっております保育所入所待機児童の解消を図りますとともに、「子どもの権利条約」の趣旨の具体化を図っていくため、子どもの権利擁護のための取り組みを進めてまいります。

 また、深刻な社会問題となっている児童への虐待につきましては、子ども家庭相談センターを中心に、地域や関係機関・団体との連携を図りながら、虐待の未然防止、早期発見から、早期対応、施設等での適切な処遇など総合的な児童虐待防止対策に、全力で取り組んでまいります。特に、被虐待児の入所が増加している児童養護施設におきまして職員の加配に対し助成を行い、被虐待児への適切な処遇が行えるようにしてまいります。

 障害者福祉につきましては、本年度策定しました「滋賀県障害者施策長期構想2010」により、「地域をあらゆる中心に」据えますと共に「それぞれの夢の実現を」図りますため「当事者参画」、「利用者主体」、「豊かさ実感」の3つを基本視点として障害者の自立と社会参加の促進を図ってまいります。

 また、精神保健福祉施策では、他の障害者に比べ遅れがちでありました精神障害者の福祉施策といたしまして、財政状況が厳しい時ではありますが、通院医療費の助成制度を創設いたします。これにより、精神障害者が地域で安心して自立と社会参加のための治療や訓練に励んでいただけるようにいたします。

 さらに、本年10月に大津市で開催されます「アジア太平洋障害者の十年」終了政府間会議を機会に、これからの障害者福祉の方向を滋賀から全国へ、そして、世界へ発信し、県民参加による共に生きる滋賀らしい障害者福祉の実現を目指していきたいと考えます。

 健康づくりでは、「健康しが推進プラン」に基づき、生活習慣病の発症を予防し、痴呆や寝たきりにならないで生活できるよう、健康寿命の延伸や、生活の質の向上をめざした健康づくり運動を展開してまいります。

 次に、安全で快適な質の高い生活環境の整備でありますが、まず、治安対策については、昨年に続いて警察官の大幅増員を行いますとともに、大津署の整備や交番の整備に努めますほか、交通安全対策の推進につきましては、交通事故総量の抑制に向けて、過去の事故データの分析により、事故の実態を踏まえた効果的な対策を検討する交通事故削減緊急対策事業調査を実施するほか、特に増加している高齢者事故の抑止対策として、シルバー無事故運動を充実するなど、県民総参加の交通安全運動を推進してまいります。

 また、現下の厳しい雇用情勢のなか、雇用不安は、本人のみならず、家族にとりましてもまさに生活の不安であるとの認識に立ちまして、昨年9月、12月に続く第3弾といたしまして、本県の実情に即しました独自の雇用創出に取り組むこととし、緊急雇用創出対策特別基金を活用するなどによりまして、環境、福祉、教育といった県政の目指す4つの柱を推進する上で有効な分野を中心に2,222人の雇用を創出してまいります。また、県庁におけるワークシェアリングの取り組みとして、県の職員の超過勤務を縮減し、臨時的任用職員の枠を30人確保いたしますほか、年齢層の中で特に雇用環境の厳しい中高年齢者等離職者に対しまして、再就職を支援するなど、雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、第二の柱は、「次の世代に責任を持つ『環境こだわり県』づくり」であります。

 環境問題は、人間活動が地球の環境に与える影響の大きさが広く認識されつつある今日、廃棄物問題などの地域的な問題から、地球温暖化や生物多様性の喪失など空間的、時間的広がりを持つ問題にまで、取り組むべき範囲が拡大・深刻化してきております。

 私たちは、「自然の世紀」たる21世紀、さらにはその先の未来を生きる子孫や、地球上に生きとし生けるものも視野に、英知を集め、力を合わせ、可能な限りの努力を続ける責務があります。

 とりわけ、「環境こだわり県」づくりをめざす本県といたしましては、琵琶湖の総合保全をはじめ、もう一つの生き方を実践する「循環型社会の構築」、環境こだわり県の担い手の育成、そして地域から世界へ、世界から地域への交流など、課題解決に向けて着実な取り組みを進めてまいりたいと考えます。

 そこで、まず、琵琶湖の総合保全の取り組みでありますが、琵琶湖は本県の象徴であり、琵琶湖の保全なくしては本県の未来はあり得ないといえます。引き続き渾身の力で取り組んでまいります。

 その琵琶湖で、近年、漁網への付着物の増加やイオウ酸化細菌チオプローカの出現、さらには琵琶湖北湖の底層部での無酸素化傾向など、幾つかの新たな現象が報告されています。このような現象は琵琶湖の生態系の変化の兆候として見過ごすことのできないものであり、「琵琶湖北湖無酸素化対策手法の検討調査」や「北湖沿岸帯湖底泥質化実態調査」に着手してまいります。

 また、琵琶湖の水源かん養にとって重要な森林を守り育てるため、森林所有者の方々に計画的な森林施業を行っていただけるよう、地域活動に対し新たに「森林整備地域活動支援交付金」を交付し支援してまいります。

 一方、「マザーレイク21計画」の推進に重要な一翼を担っていただいております県民や事業者の皆さんによる流域協議会活動に対し引き続き支援してまいりますほか、新たに流域間の連携を図り、経験や情報を交換していただくための「琵琶湖ワークショップ」の設立を推進してまいります。

 次に、循環型社会の構築に向けた取り組みであります。
 今日の環境問題は、私たちの人間活動が自然界の許容限度を超えて拡大してきた結果、引き起こされたものであり、有限の世界である地球でしか生きることのできない私たちは、物質的な豊かさや便利さを追い求めてきたこれまでの生活とは異なる「もう一つの生き方」を探る必要があります。

 このため、県民や事業者の皆さんと手を携えて、「しがゼロエミッション社会」の実現を目指し取り組んでまいります。日々の生活の面では、大量消費型の生活スタイルを見直し「新しい環境習慣」の確立に向け、「マイバッグ持参キャンペーンの実施」や「家族ISOプログラムの普及」など、県民総ぐるみの運動を展開してまいります。

 また、本年4月からは、改正された滋賀県ごみの散乱防止に関する条例により、ポイ捨て行為に罰則が適用されることとなります。散在性ごみに対する意識は、まだ、未成熟であるため、啓発に力を入れるとともに、この条例をより実効あるものとするため、環境美化監視員を設置し、ポイ捨て行為への監視や指導を行いますほか、市町村とも一層連携を密にして、ポイ捨てごみのない湖国を実現してまいりたいと考えております。

 さらに、本年3月に策定予定であります滋賀県廃棄物処理計画に基づき、これまで以上に廃棄物の減量化や、再利用、適正処理に取り組み、平成22年度には資源化されない廃棄物を平成9年度の1/2の量にするという目標を掲げ、市町村ともども取り組んでまいります。

 次に、環境こだわり県づくりの担い手の育成についてでありますが、環境の保全には、一人ひとりが人と環境の関わりへの認識を深め、主体的な行動につなげていくことが重要でありますことから、幼児期から高齢層に至るまで、さまざまな機会に環境情報を入手し、体験的に学ぶことができる環境学習体制の体系だった整備・充実を図ってまいります。また、全国の子ども達と滋賀の子ども達が交流しながら、学習船「うみのこ」を活用して琵琶湖で環境学習を行う「こども環境特派員事業」実施してまいります。

 また、来年3月開催の「第3回世界水フォーラム」についてでありますが、このフォーラムは、世界の水問題が多彩に討議される場であり、世界100以上の国から8,000人を超える水関係者、また、600人を越えるジャーナリストの参加が見込まれる大規模で重要な国際会議であります。
 本県といたしましては、昨年の世界湖沼会議の経験を生かし、湖沼保全をはじめ滋賀の水への取り組みを発信し、世界の水問題の解決に貢献するとともに、世界の知恵や経験に学び、さらには、県民やNGOの皆さんがグローバルな視野を持ちながら地域の水環境保全に取り組んでいただく気運を盛り上げる機会にしていきたいと考えております。

 第三の柱は、「不況をはねかえす『たくましい経済県』づくり」であります。

 現在の景気低迷は、景気の循環的要因や昨年発生しました米国での同時多発テロ事件などの突発的事態の発生に加えまして、生産、流通、消費の各分野を貫く世界的な構造変革によって引き起こされているものでありまして、本県の産業構造が次の時代にふさわしいものにならなければ乗り越えられないものと認識いたしております。

 こうした観点に立ちまして、経済の動きをしっかりと踏まえ、特に、本県のポテンシャルを生かした新規成長産業の振興を中心に、中小企業について経営革新を支援し、新たな市場に果敢にチャレンジする中小企業者の育成に努めるなどによりまして、「たくましい経済県」づくりを着実に進めてまいりたいと考えます。

 具体的には、中小企業者の置かれております厳しい経済状況に対応し、その資金需要に応えるため、県の制度融資全般の利率の引き下げを行うことにより、金利負担の軽減を図ります。併せて、経済変動対策資金を拡充し、セーフティネットの整備を図ります。さらに、経営課題に直面する中小企業者が、新商品や新技術の開発、販路開拓等の経営革新を積極的に行えるような環境を整備することが極めて重要でありますことから、経営革新資金を創設し、経営革新計画に沿った中小企業者の取り組みに対しまして、補助と融資の両面から支援してまいります。

 21世紀における時代の要請に応える産業としては、3K産業、すなわち環境、健康福祉、観光産業と、それに、バイオやIT関連産業の振興に取り組むことだと考えます。

 環境分野につきましては、「びわ湖環境ビジネスメッセ」を、引き続き開催することとし、ビジネス交流と情報発信の場といたします。また、健康福祉ビジネスにつきましては、地域の自律的ネットワークの形成を図りつつ、ビジネスクリエーションフォーラムを開催するなどにより、新規創業・新分野進出をサポートしてまいります。
 観光分野につきましては、今年度策定いたしました「湖国観光交流ビジョン」に基づきまして、多様な魅力ある観光の創出や情報発信の強化、受入環境の整備に取り組んでまいります。

 また、ITを活用したSOHO型ビジネスの果たす役割が今後さらに重要になると認識いたしますことから、今年度の県立米原文化産業交流会館におけるSOHOビジネスオフィスの整備に続きまして、来年度は県南部地域において、同様の拠点整備を進めてまいります。

 また、産業振興および労働福祉の支援拠点となる「(仮称)滋賀21会館」につきましては、今年度から、PFIという手法を用いまして整備を進めておりますが、来年度は、いよいよ事業者と契約を締結し、建設に着手をしてまいります。

 厳しい環境下にある商店街につきましては、ソフト面、ハード面からの支援をさらに充実してまいりますとともに、近江商人の「三方よし」の理念を継承し、来年度設立予定のNPO法人と協働しながら、「三方よし」精神を受け継ぐ人材育成や人的ネットワークの構築に努めてまいります。

 次に、滋賀の特性を活かした魅力ある農林水産業の振興であります。
 まず、今年度から開始したしました環境こだわり農産物の生産振興と販売促進対策を強化してまいりますとともに、農薬の削減に伴う害虫による被害の影響で、米の等級が低下することを防ぐための設備整備を支援いたします。
 また、水田から濁水を流さない営農技術を確立するための取り組みを実施しますとともに、集落営農組織や認定農業者を環境こだわり農業の担い手として育成支援し、環境こだわり農産物の生産拡大と水田からの濁水流出防止の実践を進めてまいります。

 「安心・安全・新鮮な食づくり」では、県内で採れた新鮮な野菜を、県内の消費者に買っていただける体制づくりと、産地育成をめざしまして、「滋賀の野菜産地創生事業」を実施いたしますとともに、環境こだわり農産物を、安全・安心な滋賀ブランドとして普及推進してまいります。

 また、牛海綿状脳症の影響が続き、打撃を受けておられる大家畜経営者や食肉処理販売業者の経営に対しまして、引き続き支援するとともに、近江牛等の生産基盤の維持・強化を図ってまいります。

 次に、水産資源の培養と持続的な利用につきましては、まず琵琶湖に異常繁殖している外来魚駆除につきまして、これまでの計画を抜本的に見直し、今後3年間で総合的、集中的に外来魚駆除対策を行ってまいります。
 さらに、琵琶湖の最重要魚種でありますアユの冷水病を克服するため、国との共同プロジェクト研究に取り組んでまいります。

 また、農業を単に食料生産という面だけでなく、地域づくりに生かしていくための施策にも、地域振興局を中心に取り組んでまいります。

 次に、時代に即した広域的な交通・情報基盤等の整備についてであります。

 まず、びわこ空港につきましては、厳しい財政事情に鑑み、積極的な広報や啓発にかかる予算を全面的に削減し、空港について考えるための基礎調査として航空貨物流動実態調査の分析等、必要最小限の予算といたしました。もっとも、空港建設を断念するということは毛頭考えておりません。

 また、総合的な道路網や鉄道の整備では、豊かな生活を支え、活力ある地域づくりに必要不可欠な交通基盤整備を推進し、総合的な交通ネットワークを確立することといたします。

 具体的には、本県道路網の計画的・効率的な整備を図るため、今後の道路整備について、県民の皆さんとの協働により、「滋賀県道路整備マスタ−プラン」を策定してまいります。
 また、第二名神高速道路の整備推進に努めますほか、昨年12月、全線について調査区間の指定がなされました地域高規格道路「名神名阪連絡道路」について、概略ル−トの検討を行ってまいります。

 東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅の設置促進につきましては、経済波及効果の調査結果を踏まえ、新駅設置の合意形成に向けた取り組みを行ってまいります。

 さらに、21世紀記念事業で取り組みが始められました「湖上タクシー」によるネットワーク化については、その実現のため、北琵琶湖での実験に対し助成を行ってまいります。

 IT化県庁の推進につきましては、昨年8月に策定いたしました「IT化県庁重点3か年計画」に基づき、それぞれの柱の具体化を進め、県民サービスの向上、生活の安心や安全の確保、利便性や快適性の向上、地域経済の活性化など、豊かなIT社会の実現に向け取り組んでまいります。

 次に、第四の柱は「個性輝く『自治と教育・文化の創造県』づくり」であります。

 まず、21世紀は「子どもの世紀」にしたいとの思いから、子ども達がすくすく育ち、立派な大人になれる社会を構築していくため、「田んぼ」、「ひと」、「湖と森」、「まち」、「文化」の5つの分野で体験学習を進める「しが5つの教科書」づくりを推進してまいります。また、公民館や学校を中心とする身近な地域で子どもを育てる環境づくりを集中的に整備することとし、子ども達の体験活動をコーディネートする人材を主な公民館に配置し、地域における子育て学習を促進いたしますほか、虐待防止対策を推進するなど子ども達の権利が守られる社会づくりに取り組んでまいります。

 次に、学校教育においては、基礎・基本の徹底が大切でありますので、国の「教職員定数改善計画」に沿って、基礎学力の向上ときめ細かな指導を図るための少人数授業などを引き続き推進してまいります。

 また、子どもたちが知徳体の調和がとれ、心豊かにたくましく成長していくためには、先程も申しましたように、幼児期からの様々な体験の積み重ねが大切であります。こうしたことから、小・中学校では、人とのふれあい、菜の花栽培や農業体験、文化芸術体験などに取り組む「ふれあい瞳かがやく体験事業」を、高校では就業体験やボランティア体験を行う「高校生・自分さがし体験事業」を実施するなど、児童生徒の発達段階に応じた体験学習を体系的に実施してまいります。

 また、懸案でありました県立高校の改築につきましては、まず、膳所高校の改築工事に着手いたしますとともに、老朽化の進んでおります学校につきまして順次、耐力度調査等を実施してまいります。また、経済的理由によって高等学校等で学ぶことが困難な生徒のため、県の奨学金貸付制度を拡充してまいります

 次に、高等教育機関の整備でありますが、県立大学につきましては来年4月の看護学部の開設をめざしまして本格的に準備に取り組んでまいりますほか、(仮称)長浜バイオ大学の整備に対してまして、今年度に引き続き、支援を行ってまいりますとともに、生涯スポーツの普及・振興や競技力の向上等に従事する人材の育成を目的に志賀町地先で計画が進められております、(仮称)びわこ成蹊スポーツ大学の整備に対しても、支援を行ってまいります。

 21世紀は、何としても「平和の世紀」にしなければなりませんが、平和について県民の皆さんに改めて考えていただく施設となる(仮称)平和祈念館の整備につきましては、周知のため、県内各地でPR展を開催いたしますとともに、今年度の立地条件等の調査結果をもとに、来年度は専門家や県民等で構成する候補地検討委員会を設置し、用地を決定することとし、今後の施設整備を円滑に行うための基金を設置いたします。

 次に、人権の尊重と男女共同参画社会の実現についてであります。
 人権施策の総合的な推進につきましては、昨年施行いたしました「滋賀県人権尊重の社会づくり条例」に基づき人権施策基本方針を策定いたします。
 また、人権問題の重要な柱の一つであります同和問題は、これまで30有余年にわたって講じられてきた特別対策は、特別措置法がこの3月末をもって失効することに伴い、基本的に終了することから、本県の同和行政は歴史的転換期を迎えます。今後はこれまでの成果が損なわれないよう一般施策を活用しながら、なお残された課題の解決に向けて取り組んでまいります。

 男女共同参画社会づくりにつきましては、滋賀県男女共同参画推進条例が、いよいよ本年4月から施行になりますことから、男女共同参画の視点を県施策全般に浸透させるための体制づくりを行ってまいります。
 また、条例の制定を契機といたしまして、地域振興局ごとに管内の市町村と連携を図りながら、県民参加による議論、交流の場としていただく「地域男女共同参画ひろば」を開催いたします。

 ドメスティック・バイオレンスへの対策といたしましては、いわゆるDV法に基づく配偶者暴力相談支援センターの設置をはじめとして、DV防止キャンペーンなどの啓発や、民間団体とも連携してDV被害者に対しての総合的な支援に努めてまいります。

 次に、新しい時代にふさわしい創造的な地方自治の構築についてでありますが、今後、NPOなどと行政との協働による県政をさらに推進していくためには、湖国21世紀記念事業で芽生えたような様々な活動がムーブメントとして定着し、行政のパートナーとして活力に満ちた活動を展開していただく必要があり、そのためNPO等の活動に必要な資金や人的支援を行ってまいります。

 また、今年度、新たに設置いたしました地域振興局が、地域の課題に主体的に取り組んでいくための予算として、新たに「地域予算制度」を創設し、個性を活かした魅力ある地域づくりのために、総合的な地域経営に取り組むことといたします。

 市町村合併につきましては、現在、県内のほとんどの地域で協議会や研究会が設置され、真剣な議論が行われております。
 平成16年度末の合併特例法の法期限を踏まえ、来年度は、法定合併協議会の設置など、より具体的な協議が進められようとしている重要な時期を迎えますので、県としましても、引き続き、それぞれの地域の実情に応じた的確な助言に努めますとともに、合併後の新しいまちづくりをも視野に入れた総合的な支援を行ってまいります。

 次に本県独自の法定外税の創設についてでありますが、法定外税は、県民の皆さんが自らのご判断により、その責任と負担によって豊かで住みよい県土を築いていこうとするもので、分権の推進や県民の皆さんとの協働という意味から大変重要であると考えます。来年度におきましては、かねてから申し上げております小型船舶の湖面利用に関する税や産業廃棄物に関する税等について、県民の皆さんのご理解をいただき、実現の運びとなるよう取り組んでまいります。

 次に、「個性ある地域文化の構築」についてであります。
 21世紀は「心の世紀」でもあります。今は、経済的に非常に厳しい時ではありますが、それだけに、県民の皆さんが芸術や文化を通して少しでも心豊かな暮らしをしていただけるよう、本県の持ちます優れた施設や資源を活用した各種芸術、文化施策を推進してまいります。

 また、本県に数多く存在する豊かな自然と悠久の歴史の中で育まれてきた、優れた文化財や伝統文化の適正な保存と一層の活用についても努力をしてまいります。

 さらに、体育・スポーツの振興につきましても、健康で活力に満ちた「スポーツ県・滋賀」を目指し、「誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも」生涯を通じてスポーツに親しめるよう、その環境づくりに積極的に取り組んでまいります。

 以上、一般会計に係る主な施策の概要を申し上げましたが、この他、特別会計は、13会計で1,785億5,326万円、企業会計は3会計で
 418億1,200万円を計上いたしております。

 以下、条例案件およびその他の案件について申し上げます。

 議第18号、41号および50号は、職員の定数に関するものでありまして、行政委員会事務局などの定数を削減するとともに、成人病センターの新病棟の開設に伴う医療体制の充実や、学生、生徒数の増減、また、政令による地方警察職員の定員基準の改正などに対応した職員定数に改めようとするものであります。

 議第19号は、国家公務員の一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正に準じて、職員の勤務条件を改善するための改正を行おうとするものであり、議第20号は、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正により、育児休業等の対象となる子の年齢が1歳未満から3歳未満へ引き上げられたこと等に伴い、所要の改正を行おうとするものであり、議第21号および22号は、関係法律の一部改正に伴い、所要の規定の整備等を行おうとするものであります。

 議第23号は、先に申し述べましたように、福祉および教育の振興に資するため、滋賀県福祉・教育振興基金の効果的な活用を図ることとし、予算の定めるところにより基金を処分することができるよう、改正を行おうとするものであり、議第24号は、滋賀県ふるさと・水と土保全基金についても、同様の改正を行おうとするものであります。

 議第25号は、先に申し述べましたように、平和祈念施設の整備を円滑に行うため、新たに滋賀県平和祈念施設整備基金を設置しようとするものであり、議第26号は、森林の多面的機能の発揮を図る観点から、森林の現況の調査等の活動を支援することを目的として行う交付金の交付の円滑な推進を図るため、新たに、滋賀県森林整備地域活動支援基金を設置しようとするものであります。

 議第27号は、地方税法の一部改正に伴い、個人県民税において、上場株式等の譲渡所得等に係る税率の引き下げなどを行おうとするものであり、議第28号は、温泉法の一部改正に伴う事務手数料の追加など、所要の改正を行おうとするものであり、議第29号は、関係法律の制定などに伴い、新たに、自動車運転代行業の認定の申請に対する審査の手数料などを定めようとするもの、議第30号は、工業技術総合センター等の開放機器の更新等に伴い、設備使用料の改正を行おうとするものであります。

 議第31号は、住民基本台帳法の一部改正に伴い、法に規定する本人確認情報の保護に関する審議会を、滋賀県個人情報保護審議会とすることなどを定めようとするものであり、議第32号は、県立老人福祉センター碧水荘を、平成14年度から水口町へ移管することに伴い、必要な改正を行おうとするものであり、議第33号は、関係法律の改正に伴い、県立精神保健総合センターの業務等に関し、必要な改正を行おうとするものであります。

 議第34号は、湖東地域農業改良普及センターの位置を、愛知川町から彦根市に変更しようとするものであり、議第35号は、土地収用法の一部改正に伴い、事業の認定に関する処分を行う場合において、諮問に応じて調査審議する機関として、新たに滋賀県土地収用事業認定審議会を置くこととしようとするものであります。

 議第36号および37号は、関係法律の一部改正に伴い、条例に引用している法律の名称を改めるなど、所要の改正を行おうとするものであり、議第38号は、県立芸術劇場びわ湖ホールの収入確保に向け、びわ湖ホールの業務に新たに研修室の提供を追加するとともに、これまで大ホールや中ホールと併せて使用料を徴収しておりましたホワイエについて、ホワイエのみを使用する場合においても、使用料を徴収することとするための改正を行おうとするものであります。

 議第39号は、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の確保等に関する法律の施行に伴い、また、議第40号は、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正に伴い、それぞれ、必要な規定の整備を行おうとするものであります。

 議第42号は、経済的な理由により高等学校等への修学が困難な者に対し、奨学資金の貸与を行い、有為な人材を育成するため、滋賀県奨学資金貸与条例の全部を改正し、
 奨学資金制度の拡充整備を行おうとするものであり、議第43号は、関係法律の廃止に伴う経過措置に基づく奨学金の貸与が、平成14年3月末に終了することに伴い、滋賀県地域改善対策修学奨励資金貸与条例を廃止することとしようとするものであります。

 議第44号は、学校教育法の一部改正に伴い、寮母の名称を寄宿舎指導員に改めようとするものであり、議第45号は、教員の特殊業務手当の額の改正等を行おうとするものであり、議第46号は、関係法律の一部改正に伴い、必要な規定の整備を行おうとするものであります。

 議第47号は、新たな事業の創出および地域産業の活性化を図ることを目的として、県立文化産業交流会館において、スモールオフィス・ホームオフィスにより事業を行う者に、ビジネスオフィス施設の提供を行うため、必要な改正を行おうとするものであり、議第48号は、男女共同参画の取組を支援する総合的な拠点施設とするため、県立女性センターの名称を県立男女共同参画センターに改めるとともに、施設の設置の目的について、男女共同参画の推進を図ることに改める、などの改正を行おうとするものであります。

 議第49号は、警察法施行令の一部改正に伴い、警務部の事務分掌に情報公開に関する事務を新たに加えるための改正を行おうとするものであり、議第51号は、保健婦助産婦看護婦法の一部改正により、保健婦および看護婦等の名称が、保健師および看護師などに改められることに伴い、関係条例の文言整理を行おうとするものであります。

 議第52号は、先に申し述べましたように、県財政が極めて厳しい状況にありますことから、平成14年度において、私の期末手当を30%、特別職の職員の期末手当を20%、それぞれカットするとともに、一般職の職員の管理職手当について、参事級以上の職員等は10%、その他の職員は5%、それぞれカットしようとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第53号から55号までは、契約の締結について、議第56号は、権利放棄について、議第57号は、損害賠償請求調停事件の調停の合意および損害賠償の額を定めることについて、議第58号は、彦根市と甲良町との境界変更について、議第59号は、県営土地改良事業の計画変更を適当とする旨決定することについて、議第60号は、包括外部監査契約の締結について、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 さて、21世紀の幕開けとなった昨年来、私は、20世紀の反省の上に立って、「もう一つの生き方」を探し出していこうと、県民の皆さんに呼びかけてまいりました。
 今日、私たちは、大変豊かで便利な社会を創り上げてきた一方で、いろんな面で反省すべき点があるとの思いからであります。

 先日も、ある方がこんな話をされていました。
 「今、私たちが目指すべきは、結局、日本の風土が育んできた「茶道」の、『お茶室』のような世界ではないか」とおっしゃるのです。
 千利休によって大成された茶道は、信長や秀吉の活躍した戦国時代に広まりましたが、ものの豊かな時代に豪華絢爛を極めた中で生まれた「わび」、「さび」の文化でありました。ものはみな成熟すると肥大化するといわれます。動物も植物も、家族も企業も、政党も宗教も、いずれも成長、成熟するとともに大きくなるものであります。それだけに、大きくなることが成長や成熟と見なされます。
 そんな中で、日本文化の一つである茶道のお茶室は、広い書院の茶室から成熟するごとに、だんだん小さくなり、最後にはわずか一坪の待庵という茶室にまで凝縮されます。躙り口から入るこの小さな空間の中で静かに至福を味わう、いわば芸術にまで高められたのでありました。
 今、私たちが求めなければならない社会のイメージの一つとして、大変興味を感じます。
 これからも、科学や技術は、ますます進歩することでしょう。そして、人々はもっといい物がほしい、もっと便利で楽がしたいと思うことでしょう。しかし、今こそ、簡素で小さいものの中に本当の美しさや心の豊かさを求めることが大切なのではと考えさせられたのであります。

 湖と山など豊かな自然に恵まれ、様々な時代に生きた人々の歴史を持つこの滋賀の地で、そんな自然と人を大切にする「もう一つの生き方」を、私たちのライフスタイルの中で、また、そういうライフスタイルづくりに貢献する産業の中で、さらには、それらを誇りや楽しみとする地域づくりとして、求め続けていきたいと思うのです。

 そしてこれらを、国内外に発信できるものにまで高め、この滋賀の地全体をそんなことを考えることのできる一つの博物館にする、それも「湖国まるごとエコ・ミュージアム」と呼べるような空間にできないのかと考えたりします。

 以上、何卒、御審議の程、よろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、このたび滋賀県議会議員として15年余にわたり県勢の発展に御尽力を賜っております石田幸雄議員には、県議会から表彰を受けられましたことを、心からお喜び申し上げます。
 石田議員におかれては、昭和61年7月20日に県議会議員に就任され、以来、15年余の長きにわたり、地方自治の伸展、県民福祉の向上のために御尽力いただき、この間に県政の発展に尽くされた御功績は、誠に大なるものがございます。ここに深く敬意と感謝の意を表す次第でございます。
 私からも、本日、本会議開会に先立ちまして表彰させていただきました。
 この上は、何とぞ御自愛いただき、県勢のさらなる発展のため格別の御指導とお力添えを賜りますようお願い申し上げまして、一言お祝いの言葉とさせていただきます。
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