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知事提案説明(平成14年 9月定例会)

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平成14年9月県議会定例会知事提案説明要旨

平成14年9月県議会定例会知事提案説明要旨

 本日、議員各位のご参集をいただき、9月県議会定例会を開会し、提出いたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明申し上げますとともに、当面する課題等につきまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。

 まず、今議会に条例制定を提案いたしました、琵琶湖のレジャー利用の適正化について申し上げます。

 母なる湖琵琶湖は、世界屈指の古代湖であり、類のない固有の生態系を有する湖で、私たち人間に水産資源をはじめ豊かな自然の恵みを与えてくれるにとどまらず、湖国滋賀に独自の文化をも育ませてくれました。そして今も、私たち人間は、琵琶湖と接することで心が解き放たれる想いがいたします。

 しかしながら、近年、琵琶湖におけるレジャー活動の多様化などに伴いまして、琵琶湖の生態系や周辺の生活環境に著しい影響が生じており、レジャー活動に伴う環境への負荷の低減を図るための施策を、総合的に展開していくことが重要となってきております。こうしたことから、今議会に、かねてから検討いたしておりました、琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例案を提案し、未来からの預かりものであり、世界からの預かりものでもある琵琶湖の自然を、できる限り健やかな姿で次代に引き継いでいきたいと考えたところであります。

 この条例案の作成にあたりましては、県民政策コメント制度によりまして、その要綱案について、6月19日から7月18日までの1ヶ月間、これに対する意見等の募集を行ってきたところであります。この期間中に寄せられました意見等は、県内はもとより広く全国から2万2千件を超える多数におよびましたほか、外来魚のリリース禁止については、5万2千件余りの反対署名もいただいたところであります。また、募集期間が終了して以降も、県民の皆さんが自ら条例案を検討、作成され、ご提案をいただいたり、県の条例要綱案に賛同や反対の意見書、さらには公開質問をいただくなど、県民の皆さんをはじめ、全国的にも大変大きな関心が寄せられたところであります。

 いただきましたご意見等の約9割が県外からでありましたことから、9月5日には琵琶湖の下流の大阪で、ご意見等をいただいた団体の方々などから直接生の意見を聴く会を開催いたし、また6日には、琵琶湖からの問題提起として、東京でシンポジウムを開催し、それぞれの立場で、幅広くご意見を交換していただいたところであります。

 こうした取り組みを踏まえまして、私どもなりにこれらのご意見等を整理し、必要な修正を加えまして条例案を作成し、本日、提案をさせていただいたところであります。

 この条例案は、マザーレイク21計画の一環として、レジャー利用の面からも、琵琶湖の自然環境や生活環境にできる限り負荷をかけないことを基本理念といたしております。

 この基本理念に基づきまして、琵琶湖でレジャー活動を行うにあたりましては、自然環境や県民の皆さんの生活環境への負荷の低減に努めるよう、レジャー利用者の責務を明確にするほか、県は基本計画を策定し、総合的な施策を実施していくこととしているところであります。

 レジャー利用に当たりましての具体的な行為規制につきましては、集落等に面した一定の範囲を航行規制水域にし、プレジャーボートの航行を禁止することをはじめ、猶予期間をおいて2ストロークエンジンの使用を禁止すること、消音器に改造を加えたプレジャーボートの航行を禁止すること、また、外来魚を釣り上げた場合には再放流を禁止すること、などとしているところでありまして、来年度のレジャーシーズンから対応できるよう、施行については、平成15年4月からとしているところであります。

 次に、補正予算について申し上げます。
 緊急に処理を要するものや、現時点で見込み得る国庫補助事業の追加を行う一方で、厳しい財政状況を踏まえまして、4月以降の予算執行を通じて節減を図ってまいりましたものや、事業計画の変更あるいは国からの内示などに伴い不用となるもの等につきまして、現時点で精査をし、残った財源を新たな事業や施策に振り向けることといたしまして、所要の予算措置を講じたものであります。

 主な事業について申し上げますと、一般会計では、特に、雇用対策についてであります。昨年9月における第1次緊急対策以降、11月に第2次対策、本年2月には第3次対策を講じるなど、雇用・就業機会の創出や就職を支援する施策を進めてきておりますが、依然として厳しい状況が続いております雇用情勢を踏まえまして、追加の緊急雇用対策を講じることとし、総額2億5千8百万円余を計上いたしました。

 その主な内容につきましては、県単独の新たな取り組みとして、離職者を常用雇用につなぐため、事業主が緊急雇用創出事業による雇用期間の終了後、引き続き常用雇用する場合、また、未就職のまま高校を卒業した若者を常用雇用する場合に、事業主に奨励金を支給する制度を新たに創設いたします。また、「コミュニティ・ビジネス」の創設を支援することとし、就業機会の拡大を図るためのフォーラムの開催や、相談窓口の開設を行うとともに、離職者を対象とする技能講習や、若年の未就職者への情報提供を行ってまいります。

 さらに、緊急雇用創出事業では、35事業を追加し、高校生の実用的な英語力を高めるため、英語の授業などの指導補助を行う人材を県立高校へ配置することや、中学校での生徒指導をサポートするふれあい相談員、また、障害者の雇用を促進するための推進員の配置につきましても、新たに実施していくことといたしております。

 このほか、先に申し述べました琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例の推進にかかる経費を新たに計上するとともに、新産業の創出を目指しまして、企業や科学技術振興事業団、県立大学などが、産学官共同で環境調和型の産業システムの構築に取り組んでいくための経費や、有害外来魚駆除緊急対策費の追加などについて、所要の額を計上いたしました。

 特別会計では、琵琶湖流域下水道事業で、国庫補助金の内定等に伴いまして事業費の調整を、企業会計では、上水道供給事業で、発行済みの企業債を低利のものに借り換えを行うための経費を、それぞれ計上いたしております。

 この結果、一般会計の補正予算は、2億7,817万1千円、流域下水道事業特別会計は、11億5,976万6千円の、それぞれ減額となりましたし、上水道供給事業会計は、20億1,531万7千円の増額となったところであります。

 次に、財政構造改革について申し上げます。
 財政構造改革の取り組みにつきましては、現下の大変厳しい財政状況のもとで、自立的に運営することができる財政体質を早期に確立することによりまして、今後の新しい行政課題にも的確に対応し、県勢の持続的な発展を目指していく上で、避けては通れない喫緊の課題であります。

 このため、先に「財政構造改革の第2次指針(案)」を取りまとめ、7月31日から8月30日までの間、県民政策コメント制度に基づく県民の皆さんからのご意見等の募集を行ってきたところでありまして、お寄せいただきましたご意見等につきまして、現在、その整理・取りまとめを行っているところであります。今後、いただきましたご意見等を十分に考慮しながら、第2次の財政構造改革指針を策定していきたいと考えております。

 また、この「第2次指針(案)」に基づきます構造改革を計画的に進めるため、今後の具体的な取組方策について取りまとめます「財政構造改革プログラム」を策定することといたしているところでありまして、全庁的な検討を進めているところであります。

 本県の当面の財政収支の見通しにつきましては、「第2次指針(案)」の中で明らかにしておりますとおり、現在の財政構造のまま推移いたしますと、平成15年度からの3年間とも、毎年度、300億円程度の財源不足額が見込まれるところでありまして、財政調整基金等がほとんど底をつく状況の中で、急いで財政収支を均衡させるための取り組みを徹底していかなければなりません。

 そこで、「改革プログラム」の策定についてでありますが、現在、五つの柱に沿って、すべての予算について見直しを進めているところであります。

 まず一つ目は、「効率的な行政運営の徹底」であります。
 限られた財源を有効に活用して、新しい行政ニーズに応えていくという経営的視点を取り入れまして、県の内部努力の徹底による行政のスリム化や減量化などを進めてまいります。

 二つ目は、「施策の重点化」でありまして、
 すべての事務事業、補助金等について、ゼロベースの視点から見直し、優先順位の選択などを行うことにより、施策の絞り込みを図ってまいりたいと考えます。

 三つ目は、「投資的経費の重点化、効率化」であります。
 社会資本整備につきましては、今後も充実を図っていく必要がございますが、投資的経費の財源として活用した県債の償還が、今後とも大きな額で続く現状を踏まえまして、今後は、事業展開のスピードを全体としてゆるめることを基本に、事業進度の調整や事業毎の選択を行うほか、コストの縮減などを図ってまいります。

 四つ目の「歳入の確保等」につきましては、
 新たな税源の確保や、使用料・手数料の見直し、県有地の売却を進めますとともに、公債費の平準化や、県税等の収入未済額の縮減にも、積極的に取り組んでまいります。

 最後の五番目は、「地方税財政基盤の充実・強化」であります。
 地方分権にふさわしい財政構造を確立し、地方自治体が自立的な財政運営を行うことができるためには、やはり実態に即して、国から地方へ税源をしっかり移譲していただく必要があり、速やかに法人事業税の外形標準課税制度を全国的に導入することや、国税を地方税へ移譲することなどについて、国へ要請してまいりたいと考えます。

 こうした考えのもとに、向こう3ヵ年の「改革プログラム」を策定いたしまして、将来にわたる本県の県勢発展を確かなものとしていくために、財政構造改革の取り組みを進め、平成15年度からの3年間、集中的に推進していきたいと考えます。議員各位のご理解とご協力を、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ところで、私は、先月24日からの2日間にわたってフランス・パリ市で開催されました「第9回滋賀県人会世界大会」に、中村県議会議長とともに出席させていただきました。海外10ヵ国をはじめ、国内各地で活躍されている滋賀県人会の皆様とお会いし、交流を深めていく中で、改めて、本県出身の実に多くの方々が世界の各地で大変なご活躍をされている姿や、一人一人がふるさと滋賀を大切に思うとともに、その絆を大切にしていただいていることに、大変心強く、また、誇らしく思った次第であります。

 今回の大会は、ヨーロッパでは初めての開催でありまして、ちょうど今年からユーロへの切り替えが行われた時期のヨーロッパでありましたことから、新しい欧州連合づくりの取り組みを目の当たりにすることができました。そうした地域から日本を見る、そして、日本の将来について考えてみるという機会ともなりまして、日本にいては気づかないいくつかの視点から、多くを学ぶことができたと思っております。

 さらに、県人会の若者の集いにも参加いたしましたが、海外に在住されておられる、滋賀県に来たこともない、琵琶湖を見たこともない、といういわゆる2世、3世の皆さんの活発な意見交換や、言葉の壁についての率直なご意見を伺いながら、改めて若い彼らのふるさと滋賀への熱い思いに触れ、大変心強く思ったところであります。

 引き続き、南アフリカのヨハネスブルグで開催されました「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、いわゆる環境開発サミットにも出席して参りました。

 この会議では、政府代表団の顧問の一人として、水と衛生に関する本会議に出席するとともに、正式関連行事として、国連環境計画国際環境技術センター等と開催いたしました湖沼保全セッションにも参加し、琵琶湖での経験を踏まえ、世界各国からの参加者に対しまして、人間と湖との調和ある関係の構築に向けた枠組みとして「世界湖沼ビジョン」の策定について、呼びかけを行ってまいったところであります。幸いにも、多くの方々のご理解とご賛同をいただいたところであり、今後、さらに議論と検討が重ねられながら、来年3月の第3回世界水フォーラムにおいて、これが正式採択されることを期待しているところであります。

 今回のサミットの主題は、10年前のブラジル、リオでのサミットで採択されたアジェンダ21などの課題の達成状況の総括と、それを踏まえた今後の世界的な取り組みに関する合意づくりでありました。サミットに際して、国連のアナン事務総長によって、水と衛生、エネルギー、健康、農業、生物多様性と生態系管理の5つのキーワードが示されたわけでありますが、これを受け、それに沿って会議が進められましたが、先進国と開発途上国との間で、厳しい議論が戦わされる場面がありました。2日間という短期間の参加ではありましたが、これらの課題解決の前には、想像を絶する途上国の貧困問題が横たわっていること、また、私たち先進国の発展が、将来ともこれまでのようなかたちでは持続していけない、ということを、改めて痛感させられたところであります。

 以下、提案をいたしております案件につきまして、順を追って申し上げます。

 まず、条例案件でありますが、議第111号は、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴い、必要な規定の整備を行おうとするものであります。

 議第112号は、計量法施行令の規定により、現在県で実施しております計量器の検定の一部について、11月1日以降は経済産業大臣または指定検査機関が実施することとされたましたことから、当該検定に係る手数料の規定を削除する等、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第113号は、本条例の実施準則となる国の要綱改正に伴い、所要の改正を行おうとするものであり、議第114号は、クリーニング業法の改正により、営業者がクリーニング所において講じなければならない措置について、条例で定めることとされましたことから、当該措置の内容を定めようとするものであります。

 議第115号は、化製場等に関する法律の改正により、化製場等の管理者が講じなければならない衛生上必要な措置について、条例で定めることとされましたことから、当該措置の内容を定めようとするものであり、議第116号は、都市計画法および建築基準法の一部を改正する法律の施行により、新たに市街化調整区域の開発許可等の基準が追加されたことに伴い、県において開発許可等の基準を定めようとするものであります。

 議第117号は、湖沼水質保全特別措置法の改正により、指定施設等の設置者が遵守しなければならない構造等に関する基準について、条例で定めることとされましたことから、当該基準を定めようとするものであり、議第118号は、先に申し述べました琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例案であります。

 議第119号は、地方自治法の一部改正に伴い、所要の規定整備を行おうとするものであり、議第120号は、滋賀県立成人病センターの改築が完了し、平成15年1月より診療開始予定となっておりますが、改築に伴う病床数の増床など、所要の改正を行おうとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第121号は、平成13年度一般会計および各特別会計の決算の認定を求めようとするものであります。

 議第122号から124号までは、契約の締結について、議第125号は、財産の貸し付けについて、議第126号は、権利放棄について、議第127号は、損害賠償の額を定めることについて、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 議第128号から130号までは、いずれも平成14年度において、県が行う建設事業等に要する経費について、関係市町村が負担すべき金額を定めようとするものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますようお願い申しあげます。
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