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議会だより

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議会だより 音声版

第21号(平成14年9月定例会) 平成14年11月17日発行

9月定例会の概要

 滋賀県議会は、9月定例会を9月25日から10月16日までの22日間の会期で開きました。
 今回の定例会には、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例案」をはじめとする知事提出議案24件と、議員定数を改正する条例案など議員提出議案5件の合計29議案が上程され、審査を行った結果、決算特別委員会を設置し、閉会中に審査されることとなった「平成13年度滋賀県一般会計および各特別会計歳入歳出決算の認定を求めることについて」を除いて、いずれも原案のとおり可決または同意しました。
 また、本会議における代表質問、一般質問、関連質問および討論には、延べ37人の議員が登壇し、県政全般にわたって論議を展開しました。

議会トピックス

琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例案を可決

 9月定例会において、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」が可決成立しました。
 この条例は、マザーレイク21計画の一環として、レジャー利用の面からも、琵琶湖の自然環境やその周辺の生活環境への影響をできる限り少なくすることを基本理念としており、レジャー利用者の責務を明確にするほか、県が基本計画を策定し、総合的な施策を実施していくこととしています。
 レジャー利用に当たっての具体的な行為規制としては、集落等に面した一定の範囲を航行規制水域とし、プレジャーボートの航行を禁止することをはじめ、一定期間経過後の2サイクルエンジンの使用を禁止すること、消音器に改造を加えたプレジャーボートの航行を禁止すること、また、釣り上げた外来魚の再放流を禁止すること、などとされています。なお、来年度のレジャーシーズンから対応できるよう、平成15年4月から施行されます。

9月定例会の主な質問と答弁の要旨(代表・一般質問から)

琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例

外来魚のリリース禁止
問 外来魚は琵琶湖の生態系にどのような影響を与えているのか。また、外来魚のリリース禁止の実効性をどのように確保されるのか伺います。

答 外来魚は魚食性が強く、ブラックバスの胃からは、ニゴロブナ等の固有種をはじめ在来の魚類やエビ類が、ブルーギルの胃からは、稚魚やエビ類の他に魚の卵などが確認されています。さらに、ブラックバスが1kg成長するのに約10kgの魚介類を必要とすることから、外来魚の食害による在来魚介類の減少は著しく、琵琶湖の生態系に大きな歪みが生じています。
 なお、平成13年時点で、ブラックバスとブルーギルによって魚介類が年間5900トン程度捕食されたと推定され、その量は琵琶湖漁業による漁獲量の約3倍に相当します。
 また、リリース禁止の実効性を確保するために、レジャー利用監視員による指導や釣り人への啓発活動を実施するとともに、外来魚の回収方法やその有効利用を図る仕組みについて検討しているところです。


プレジャーボートの航行規制区域
問 プレジャーボートの航行規制区域設定の考え方とその実効性の確保について伺います。また、水道取水口やえり周辺を航行規制区域としない理由を伺います。

答 航行規制水域は、住民の生活環境をプレジャーボートの騒音から守るために指定するもので、住居が多く集まる地域や学校、病院等がある地域に近接する琵琶湖の水域を指定することにしています。指定したあと、湖面のブイや湖辺の看板を利用して規制水域を明らかにします。また、マリーナ等に規制水域図を備え付けたり専門誌等を活用して、県内外に啓発・広報を行うとともに、レジャー利用監視員が区域内の航行規制の指導を行い、実効性を確保することにしています。
 また、プレジャーボートについては水道取水施設やえりなどの工作物との間に安全な距離を保って航行することを遵守義務規定としていますので、今後の指導・啓発を通じ燃料の流出や排気ガスによる影響をなくしていく効果を見込むことができます。


2サイクルエンジンの使用禁止
問 2サイクルエンジンは、なぜ琵琶湖においてはダメなのか、5年の経過措置の間に大きな影響がないのか伺います。

答 プレジャーボートは、通常、排気ガスを水中に排出するため、水質への影響が懸念されています。特に、従来型の2サイクルエンジンは、構造上、排気ガスには未燃焼の燃料が多く混入しているため、4サイクルエンジンや環境対策型の2サイクルエンジンと比較して、排気ガス中の炭化水素や窒素酸化物の量が5〜10倍となり、琵琶湖の水質に与える負荷がより大きいものです。これらのことを踏まえ、水質への負荷を低減していくため、従来型の2サイクルエンジンの使用を禁止しようとするものです。
 また、5年間という経過措置期間は、所有者の財産としての側面に配慮したものであり、この期間を設けることで、プレジャーボートの耐用年数(5年)や利用者の買い換えに応じ、代替エンジンへの転換が進んでいくので、水質への影響は少なくなっていくと考えています。


教 育


不登校
問 不登校児童生徒に関して、本県の現状をどのように認識し、また、未然防止対策も含め、どのような対策を講じるべきと考えるか伺います。

答 県内の公立の小中学校で、平成13年度に不登校を理由として年間30日以上欠席した児童生徒は、中学校では1414人で3%、小学校では628人で0.7%の割合となっており、誠に残念な状況です。様々な子どもの状況に対応するために、学校での取り組みをはじめ、心の教育相談センターを設置するほか、メンタルフレンド派遣事業、森のオアシスセミナー事業などを実施してきました。また、スクールカウンセラーや心のオアシス相談員を配置するなど、教育相談体制の充実も図ってきました。今後、本県の不登校の実態とその要因をさらに細かく分析し、個に応じた効果的な対策を検討していきます。


くらし


支援費制度
問 障害者福祉の分野でも、来年4月から支援費制度※1へ移行します。利用者本位のサービスを提供するには、多様な事業者による多彩なサービスの提供が必要と考えますが、事業者の新規参入促進などサービス基盤の整備に向けての取り組みを伺います。

答 これまでからも障害者福祉サービス事業者はもとより介護保険事業者に対し、指定基準などの情報を提供してきました。今後も非営利法人を含めた新たな事業者の参入を一層促進するため、事業者向けの手引き等の資料を提供するなど具体的な方策を講じていきます。
 また、市町村における事業の共同実施についての検討を進めるなど、県と市町村とが連携を密にして、障害者の地域での自立生活の実現に必要となる基盤の整備を図っていきたいと考えています。

※1 支援費制度とは、障害のある方自らがサービスを選択し、サービスを提供する施設・事業者との間で契約を結びサービスを利用するという新たな制度のことです。これに対し、行政がサービス提供事業者やサービス内容を決定している現在の制度を「措置制度」といいます。


介護保険
問 来年4月、介護保険料が改定されると、保険料がアップし、低所得者や高齢者にとって大きな不安を引き起こすことになるため、国へ制度改善を求めることが必要と考えますが所見を伺います。

答 要介護者の増加や制度の浸透、定着によって保険料の上昇は避けられないものと思われますが、高齢者をはじめ誰もが納得できる合理的な範囲にしていく努力が必要と考えています。
 こうしたことから、低所得者に対する配慮として制度上認められている保険料の6段階設定等について勉強の場を設けるなど、市町村への支援に努めています。今後も、制度改善についての国の動向を十分に踏まえ、必要に応じて要望していきたいと考えています。


琵琶湖環状線
問 約144億円の琵琶湖環状線整備経費を滋賀・福井両県で負担することについて、10月15日の福井県知事との会談へはどのような決意で臨まれるのか。また、琵琶湖環状線の実現に伴い、駅舎のバリアフリー化も含めた改築について、基本的プロセスと県の役割・支援策を伺います。

答 来る10月15日の福井県知事との会談※2では、滋賀県約73億円、福井県約71億円とするJRが示した負担案をもとに、両県が納得できる形で合意を図りたいと考えています。駅舎の改築については、米原駅、長浜駅および高月駅については橋上化改築の中で、また、近江今津駅についてもエレベーターなどの設置によるバリアフリー化を図るべく、JRとの間で基本的に合意していますので、今後は関係市町との調整を進め、必要な支援を行っていきます。

※2 10月15日に行われた会談では、概算で滋賀県74.95億円、福井県68.39億円の費用負担とすることで合意されました。今後は、平成15年度工事着手、平成18年度開業のスケジュールで進められます。


新幹線(仮称)びわこ栗東駅
問 県と栗東市をはじめとする関係市町との費用負担割合の調整を、今後どう解決しようと考えておられるのか伺います。

答 費用負担割合の調整については、本年4月に開催された関係市町長会議において、「公平性確保の観点から負担と受益の関係を明確にするとともに、負担のあり方を含め十分協議する」との確認がされています。これを受け、8月に開催された「東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置促進協議会」において、構成市町ごとの費用対効果について調査を実施することが決定されました。今後は、この調査結果を踏まえ、公平性が確保された費用負担割合の調整が進められるよう、必要な取り組みを行っていきます。


産 業


県内産農産物の流通
問 県内産農産物を県内で消費する地産地消の流通システムへの取り組みについて伺います。

答 今後の農産物の流通では、「食卓から農場へ」生産者の顔が見える流通ルートの確立がキーワードになります。具体的には、卸売市場等を通じ県内の消費者に県内の農産物を提供する県域流通ルートと、市町村などで学校給食や直売所等を通じて供給する地域流通ルートの確立が必要です。
 県域流通ルートでは、県内量販店での販売コーナーの設置を進めていますが、さらに農場から店舗に並ぶまでの時間を短縮し、新鮮さで売る流通システムの構築や、栽培履歴の整備・公開により消費者が知りたい情報を発信できるような産地づくりを進めていきます。
 また、地域流通ルートでは、学校給食で近江米や地場野菜が利用されていますが、今後、環境こだわり農産物など地場の農産物がより一層構造改革特区※3利用されるよう関係団体等に働きかけます。さらに、生産者の顔が見える直売所の拡充も図ります。

※3 構造改革特区とは、地域の経済活性化や構造改革を図るため、法律等による各種の規制を地方公共団体の限定された地域で特例的に緩和しようと国で検討されているものです。地域の成功事例を全国的な規制改革へ波及させようとするねらいもあります。


構造改革特区
問 県は、大津・草津両市とともに、「琵琶湖南部エリア大学発新産業創出特区」構想を国に対して提案したところですが、この提案のねらいとこれからの展開を伺います。

答 大津・草津両市にまたがる瀬田地区・野路地区は、産学官が連携して積極的に取り組みを行っている大学と優れた工場や研究所群が集積しています。これまでに培われた大学の研究開発機能等を活かし、大学を核として産業界、地元両市と県、さらには産業支援プラザが一体となり、新しい産業の創出を促進し、地域経済の活性化に向けて先導していくことをねらいとしています。
 今後は、特区の制度化に向けた国の取り組み状況にも注視しながら本申請に向けた準備を進めていきます。


行 政


市町村合併
問 市町村の合併のあり方は、近未来の県のあり方にも直結する大きな政治課題でもあることから、県自らの問題として、より積極的な関与や調整が必要ではないか。また、県独自の新たな支援策の策定が早い時期に必要ではないか、見解を伺います。

答 市町村合併は、関係市町村だけの問題ではなく、地域全体、さらには県全体の自治のあり方にも関わることから、今後も引き続き情報提供や必要な助言を行うなど、新しい地方の時代をともに創り上げていくため、県としての役割を精一杯果たしていきたいと考えています。また、県独自の合併支援プランについては、今年度内のできるだけ早い時期の策定に向けて取り組んでいきたいと考えています。

財政構造改革
問 「財政構造改革の第2次指針(案)」に対する県民政策コメントの結果を、これからどのような考え方で整理されるのか。また、長期にわたって財源不足が予想される中で、財源不足解消に向けた具体的方策について伺います。

答 財政のあり方や今後の方向等について、県民の皆さんから貴重なご意見等をいただき、特に意見の中にありました「PFIの活用だけでなく広く民間資金による整備や運営を検討すること」、「県税等の未納金の発生を抑制すること」などの項目を指針に追加する方向で、現在検討を進めています。また、具体的な方策は、ゼロベースですべての事務事業を精査し、見直す中で、投資的経費については、全体的に事業のスピードを調整することや、重点化、コスト縮減などにより、一般財源ベースで3割程度の削減による調整を行います。なお、現在延期している警察本部庁舎の整備や、具体化してきた琵琶湖環状線や東海道新幹線新駅の整備をはじめ、本県にとって急がなければならない社会資本の整備は、可能な限り計画的に進めていきたいと考えています。

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