意見書第15号
悉皆方式による全国学力・学習状況調査の継続を求める意見書
今般、川端達夫文部科学大臣は、全国学力・学習状況調査について、来年度より「悉皆方式」から「抽出方式」に変更する方針を表明し、来年度予算概算要求も、それを踏まえた形に減額修正されている。さらには、政府の行政刷新会議が全国学力・学習状況調査の実施を「事業仕分け」の対象としたため、調査規模がさらに縮小される可能性が出てきており、各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において自らの教育および教育施策の成果と課題を把握することが難しくなると考えられる。
来年は、3年前に小学6年生だった生徒が、中学3年生となり全国学力・学習状況調査に参加することになる。3年間の学習の成果を、定点観測により検証できる初めての機会であるにもかかわらず、あえて抽出方式に切りかえる合理的な理由がない。何よりも、保護者から、子供の相対的な学力を知ることができるので、全国学力・学習状況調査に参加したいという声が数多くある。
抽出調査の対象外であっても、設置者が希望すれば利用できる「希望利用方式」も併用するとのことであるが、その実施に関しては非常にあいまいであり、多大な費用、事務処理負担等が発生し、抽出調査の対象となった者と比べて、著しく不公平を生じることになる。悉皆調査であるからこそ、子供一人一人の課題などが把握でき、高度な分析、検証に関する調査研究も可能となることから、悉皆調査として継続すべきである。
よって、政府ならびに国会におかれては、世界最高水準の義務教育を実現するために、小学校6年生および中学校3年生の全児童生徒を対象とする全国学力・学習状況調査を継続して実施するとともに、その調査結果を最大限活用するなど、さらなる充実を図られるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年12月18日
滋賀県議会議長 辻 村 克
(宛先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣