本文へ移動

現在位置 :トップページ意見書・決議一覧 › 意見書第8号 安全保障法制の整備について慎重な審議を求める意見書(案)

意見書・決議の詳細情報

意見書第8号 安全保障法制の整備について慎重な審議を求める意見書(案)

番号
意見書第8号
(平成27年)
議決年月日
平成27年7月16日
結果
否決

本文

 今般、政府は、国家安全保障会議および閣議において集団的自衛権の行使を容認する内容を含んだ平和安全保障法制に係る関連2法案(以下「関連法案」という。)を提出した。
 安倍首相は、関連法案の提出以前から今国会での成立を表明しているだけでなく、自衛隊法、国際平和協力法、周辺事態安全確保法など、本来はそれぞれ丁寧に審議すべき10本の法改正を「平和安全法制整備法」として1つに束ねて提出し、国民への丁寧な説明や国会での徹底審議を避け、結論ありきで法整備を強行しようとしている。
 このような政府の姿勢は、戦後70年間、平和憲法の下で我が国が貫いてきた海外で武力行使を行わないという原則を大きく転換しかねないものである。
 また、自衛の措置として武力の行使を認めるいわゆる「新三要件」は、我が国に対する直接的な武力攻撃がなくても、自衛隊による海外での武力行使を可能にするものであることから、歯止めがなく、立憲主義に反した解釈変更により行われるものである。とりわけ政府が示す集団的自衛権を行使して対応しなければならないとする事例は蓋然性や切迫性に疑義があり、専守防衛に徹する観点からも、容認することができない。加えて、去る6月4日には、衆議院憲法審査会の参考人質疑において、憲法学者3人全員が、関連法案について憲法違反であるとの認識を表明したところである。
 さらに、関連法案には、国際平和のために活動する他国軍の後方支援の拡大、「現に戦闘行為を行われていない現場」での活動の容認など、武力行使の一体化につながりかねない内容も盛り込まれている。このうち国際平和支援法案では、国際平和共同対処事態における協力支援活動等での自衛隊の海外派遣について、国会が承認する期限を努力義務としていることから、国会の審議を形骸化させかねないものとなっている。
 憲法の平和主義、専守防衛の原則を堅持した上で、国民の生命、財産、我が国の領土、領海等を確実に守る安全保障体制を構築するためには、安全保障法制に関する国民の疑問や不安を真摯に受け止める必要がある。
 よって、国会および政府におかれては、世論の把握に努め、これらの法案に関する国民の疑問や不安を解消するために、国民への丁寧な説明を行うとともに、今通常国会での改正法の成立にこだわらず、国会での審議を慎重かつ丁寧に進めるよう要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成27年7月16日

                    滋賀県議会議長  西  村  久  子

(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣

会議録

Copyright © Shiga Prefecture. All rights reserved.