新型コロナウイルス感染症は、長期に渡って全国に拡大し、大きな被害をもたらしてきた。この間、全国の9割を超える中小企業の経営に深刻な影響を及ぼし、我が国の経済に大きな打撃を与えている。
また、医療従事者や病床が不足し、医療崩壊の危機に直面するという、想定されなかった事態も生じた。
さらに、「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」が、今後30年以内に高い確率で発生することが予想されている。東日本大震災では、道路を塞ぐがれきの撤去に時間を要したために支援物資の輸送が遅れたほか、被災した地方公共団体の行政機能も甚大な被害を受けた。
国においては、これまでの緊急事態に際しては、災害対策基本法や新型インフルエンザ等対策特別措置法により対処してきたが、従来の法体系では限界がある。
感染症は、全国に影響を及ぼす可能性があり、大地震などの自然災害は、どこの地方公共団体も被災地になり得る。感染症や自然災害に強い社会をつくることは喫緊の課題であり、緊急時において国民の命と生活を守ることは、国の最大の責務である。緊急時に、国民の命と生活が守られるための施策と法整備、さらには憲法に根拠規定を設けることについて、国会で建設的な議論が行われることが期待される。
よって、国会におかれては、緊急事態条項の創設に向けた審議を促進するとともに、国民的議論を喚起するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年8月12日
滋賀県議会議長 岩 佐 弘 明
(宛先)衆議院議長、参議院議長