本文へ移動

現在位置 :トップページ意見書・決議一覧 › 意見書第7号 若者による市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)防止対策の強化を求める意見書

意見書・決議の詳細情報

意見書第7号 若者による市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)防止対策の強化を求める意見書

番号
意見書第7号
(令和06年)
議決年月日
令和6年3月19日
結果
可決

本文

 処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる医薬品、いわゆる市販薬の濫用が重大な社会問題となりつつある。市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)による救急搬送が、2018年から2020年にかけて2.3倍に増加したとの報告もある。
 とりわけ、若年層の状況が深刻である。厚生労働省の研究班が、2021年5月から2022年12月の間、市販薬を過剰に摂取して全国7救急医療機関に救急搬送された122人を調査したところ、10代が43人、20代が50人と全体の7割以上を占めている。また、全国の高校生を対象とした2021年の調査では、過去1年以内に、治療のためではなく濫用する目的で市販薬を使用した高校生の割合が、60人に1人となっている。
不安や葛藤、憂鬱な気分を和らげたい等、現実逃避や精神的苦痛の緩和のために若者がオーバードーズに陥るケースが多く、その背景には、社会的孤立や生きづらさがある。市販薬を過剰に摂取し疲労感や不快感が一時的に解消され、同じ効果を期待してより過剰な摂取を繰り返すことで、肝機能障害、重篤な意識障害や呼吸不全等を引き起こすことがある。また、心肺停止で死亡する事例も発生している。
 オーバードーズによる健康被害は、違法薬物と同様に深刻になり得るが、市販薬は違法薬物とは異なり、所持することが罪にはならないことから濫用が発見されにくい。濫用等のおそれがある成分を含む市販薬を高校生や中学生等の若年者に販売する際は、氏名や年齢、使用状況等を確認すること等とされているが、オーバードーズを防ぐ対策として十分とは言えない。
 よって、国会および政府におかれては、オーバードーズから一人でも多くの若者を守るため、下記の対策を講じられるよう強く求める。

                        記

1 濫用等のおそれがある成分を含む市販薬を若者に販売する際は、副作用等の説明を必須とすること。対面かオンライン通話での販売を義務づけ、適切な声掛けを行うとともに、必要に応じて相談窓口等を紹介できる体制を整えること。

2 濫用等のおそれのある医薬品の指定を的確に進めると同時に、若者への医薬品の販売において、その含有成分に応じて販売する容量を適切に制限すること。

3 購入の繰り返しによる過剰摂取を防止するため、身分証による本人確認により店舗における過去の販売記録を参照するほか、複数店舗の販売記録を一元管理する等、購入履歴が確認できる環境の整備を検討すること。

4 若者のオーバードーズを孤独・孤立の問題として位置づけ、若者の居場所づくり等の施策を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  令和6年3月19日

               滋賀県議会議長  奥 村 芳  正  

  (宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、孤独・孤立対策担当大臣

会議録

会議録は掲載されていません。
Copyright © Shiga Prefecture. All rights reserved.