せん妄は、身体的な負荷や薬剤の使用を原因として急性に発症する意識障害のことをいい、入院患者では15%から50%の人に発症し、例えば、集中治療室などの慣れない場所にいることや手術後のストレス、手術後に使用される薬剤などがきっかけとなって起こりやすいと言われている。
せん妄の症状は人によって様々であるが、自分や他人が誰であるか分からなくなったり、睡眠と覚醒のサイクルが昼夜逆転したり、興奮状態で慌ただしく動き回ったりする人もおり、転倒や転落などの大きな要因となる。また、せん妄の状態が長く続くと認知症の発症リスクが高まるとの報告がある。加えて、せん妄を発症した本人だけではなく、家族や医療関係者に対しても心身ともに強い疲労を感じさせ、過大な負担となっている。
発症した患者への対応だけではなく予防が特に重要とされているが、そのためには患者を継続して観察し、医師だけではなく作業療法士など病院全体で情報共有を進めることが不可欠であるが、対処できる人材が不足しているなどせん妄の予防等に取り組むための体制を各病院で整備するのが困難な状況である。
せん妄対策に対する診療報酬の加算措置はあるものの、対策として決して十分とは言えない。
よって、政府におかれては、こうした状況に鑑み、せん妄の予防等に対する施策を推進するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年3月19日
滋賀県議会議長 奥 村 芳 正
(宛先)内閣総理大臣、厚生労働大臣