令和6年1月1日に起きた「令和6年能登半島地震」は、石川県を中心とする広い範囲に甚大な被害をもたらした。発災直後から、政府や自治体による支援により状況は改善しつつあるが、いまだにライフラインや道路が十分には回復しておらず、復旧には長い時間と取組が必要である。
こうした自然災害が起きても、被害を最小限にとどめ、迅速な回復を成し遂げるためには、災害の影響を適時かつ効果的に防護・吸収し、対応するとともに、しなやかに回復する能力、すなわちレジリエンスを高める施策を更に講じていく必要がある。
また、新型コロナウイルス感染症による未曾有の被害を目の当たりにした今、感染症に対しても自然災害に対する備えと同様の備えをしていくことが求められている。
災害に対する法制度の備えとして憲法に緊急事態条項を設けることについては、本県議会としてもかねてから審議の促進を求めてきたところである。人権が制約されるおそれ等の面から懸念を示す声もあるが、日本も批准する国際人権規約(B規約)にも緊急事態の際の措置について規定されており、緊急事態に備えた規範を定めておくことは、人権保障の観点にも適合するものである。
よって国会および政府におかれては、国民が安全安心を実感できる社会の実現に向けて、我が国のレジリエンスを高めるため、下記の措置を講じられるよう強く求める。
記
1 複合災害など様々な緊急事態に対処するため、災害や事態の種別にかかわらず総合的に指揮・監督する権限を持つ危機管理体制を整えること。
2 災害などの事態に応じて民間団体の能力と知見を活用するため、平時から連携体制を構築するとともに、民間団体が安心して活動できるよう、法整備や補償等の制度を確立すること。
3 緊急時において現行法では対応できない事態を回避するため、緊急事態条項の創設に向けた審議を促進するなど、国民の命と生活を守るための法制度を構築すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年3月19日
滋賀県議会議長 奥 村 芳 正
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、防衛大臣