保護司は、保護司法に基づき法務大臣から委嘱され、社会奉仕の精神をもって犯罪をした者および非行のある少年の改善更生を助けるとともに、社会生活上の助言や指導、帰住先や就職先の確保、地域社会の理解の促進および犯罪や非行の未然防止など、我が国の更生保護において重要な役割を担っている。
安全で安心して暮らせる地域社会を実現するために、誰かが担わなければならない役割を高い志を持って果たし続けている保護司の働きに対し、改めて敬意を表するところである。
そのような中、本県において、保護司として多大なる尽力をされてきた方が亡くなり、その方が担当する保護観察対象者が殺人の容疑で逮捕される事態が起きた。これは、我が国の更生保護制度・保護司制度の根幹を揺るがしかねない重大な事態である。
全国各地の保護司やその家族は強い不安を抱えており、その不安の解消がまずもって求められる。その上で、その活動の安全確保の徹底を図るとともに、安心して活動できるよう、必要な環境整備を進めることが必要である。
よって、国会および政府におかれては、保護司の安全を確保し地域社会の安全・安心の実現につなげるため、下記の措置を講じられるよう強く求める。
記
1 保護司およびその家族の不安に寄り添い、その不安の解消に向け万全の対策を講じること。
2 全国の保護司の活動の安全面に関する点検を早急に行い、自宅以外の面接場所の確保を進めるとともに、必要な場合は保護観察官が直接対応するなど、保護司の安全確保の徹底を図ること。
3 保護司の経済的な負担の軽減はもとより保護司の安全の確保の在り方などについて保護司自身の意見も聞きながら迅速に検討を進め、必要な環境の整備に取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年7月12日
滋賀県議会議長 有 村 國 俊
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣、厚生労働大臣