会期: 令和6年6月20日 〜 令和6年7月12日
会期:令和6年6月20日〜7月12日の23日間
6月定例会議では、「米原駅東口周辺まちづくり事業」における県土地開発公社からの土地取得やアユ不漁に伴う対策に要する経費のほか、国の内示を受けた公共事業費の追加等に係る経費など43億516万3千円を追加する「令和6年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)」や、県立高等専門学校の施設整備に向けて、設計業務に要する経費3億7,909万3千円を追加する「令和6年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)」など、知事提出議案17件と議員提出議案5件が上程されました。
これらを審議した結果、いずれも原案のとおり可決または同意しました。
また、各委員会では、付託された各議案、請願その他所管事項について審議等を行いました。
【財政健全化】
(問)
本県経済は、円安等の影響による物価高や人手不足などにより、全体としては持ち直しの動きが弱まっています。そのような中、将来にわたって安定的な歳入確保を図りつつ、新たな行政需要にも的確に対応しながら歳出の見直しを進める必要があると思いますが、どのような方針で取り組むのか伺います。
また、財政規律を維持しつつ、県民への必要なサービスを質・量の両面で維持するためには、県を挙げて財政健全化に取り組むべきであると考えますが、知事の決意を伺います。
(答)
安定的な歳入確保については、産業誘致の推進など地域経済の活性化による県税収入の確保や、国費の獲得に最大限取り組むとともに、地方交付税の総額確保・拡充にも努めていきます。
歳出の見直しについては、全ての施策・事業について不断の見直しを徹底し、新しい行政需要にヒト・財源を振り向けていく「ヒト・財源の配分のシフト」を進め、限られた財源の中で、施策の重点化を図りつつ、最少の経費で最大の効果が挙げられるよう取り組んでいきます。
また、社会保障関係費をはじめとした義務的経費や物価高騰等による諸経費の増加などにより、将来に向けた財政負担が高まると認識しています。このような中においても、本県の持続的な発展のためには、人づくりや地域振興、経済の活性化など、滋賀の将来に向けた投資による好循環を生み出していくことが重要です。このため、定期的に財政収支見通しを更新し、物価高騰等の影響を的確に反映するとともに、安定的な歳入の更なる確保に加え、事業見直しや業務の効率化に向けた不断の取組を強化していきます。
【高等専門学校】
(問)
滋賀の産業を支える人材の育成を図る県立高等専門学校の整備について、膨れ上がる巨額予算を投じての設置の必要性および事業費増額に対する認識を伺います。
また、令和10年4月開校に向けた知事の意気込みや、開校時に入学する子どもに向けた決意を伺います。
(答)
県立高専の設置には、これまでから、産業界等から大きな期待をいただいています。競争力のある産業の創出・育成や雇用の維持・拡大のほか、地域社会の持続的発展のためには「専門的技術を用いて価値創造ができる実践的な高度専門人材の育成」が必要であり、未来に対する重要な投資であることからも、設置は必要と認識しています。
事業費については、県内類似施設の整備実績に物価上昇等を加味して算定した単価を基礎としたものですが、妥当性の検証が不十分であったことなどの要因により、結果として、当初より大幅に増額したものです。
有為な高度人材の輩出に向けて、早期の開校が重要だと考えており、スケジュールが厳しく、事業費も増加していますが、令和10年4月の開校時期を堅持するべく取り組みます。県立高専は、子どもたちに新たな学びの選択肢を提供し、人生の可能性を大きく広げるものだと考えており、様々な主体との共創により、本県の将来における持続的発展の光となる県立高専を創っていきます。
【水環境】
(問)
本年5月にインドネシアで開催された第10回世界水フォーラム(※)で、知事が「世界湖沼デー」の制定の提起をされ、成果文書に盛り込まれましたが、今後の国連総会での決議の見込みをどのように考えているのか伺います。
また、「世界湖沼デー」の制定が実現した場合、県民と共有するための広報啓発について、どのようなことを考えているのか伺います。
(答)
今回の会議に参加し、世界での水問題への注目や関心の高まりを強く実感したところです。「世界湖沼デー」の制定については、今回のフォーラムを主催したインドネシア政府の提案により、国連総会に諮られる見込みであり、その実現に向けて関係省庁と情報共有し、緊密に連携していきます。
また、広報啓発については、国際湖沼環境委員会等と連携し、「琵琶湖を愛し、琵琶湖とともに生きてきた私たちの暮らしが、世界から見ても大きな価値を持つ」ことを国内外に発信することで、県民だけでなく、世界の人々の新たな気付きと更なる自発的な行動へとつなげていきます。
※ 「世界水フォーラム」
国際NGOである世界水会議(WWC)が開催国と共に3年に一度開催する水に関する世界最大級の国際会議。世界中の水に関する関係者が一堂に集い、水と衛生に関わる様々な問題への対処について議論する。第3回(2003年)の日本開催(滋賀、京都、大阪の琵琶湖淀川流域での開催)を契機に参加国数、参加者数が増え、注目度が高まった。
【健康医療】
(問)
県立総合病院と小児保健医療センターの病院統合にあたって、センターの専門性をどのように維持・強化されるのか伺います。
また、全国でもあまり類を見ない子ども専門の医療が後退することのないよう、今後、県民の理解を得ながらどのように良い方向に進めようとされるのか、見解を伺います。
(答)
統合後の総合病院においても、重症心身障害児等に対する包括的かつ専門的な医療や福祉サービスを提供することができるよう「こども医療センター」を設置します。また、専門性の高いチーム医療を提供できる体制を構築するなど、病院の総合力を高めながら、対象疾患の拡大や、重症心身障害児の成人後の対応強化なども進めていきます。
病院統合後も、難治・慢性疾患の治療をはじめとする小児保健・医療・福祉サービスの中核としての役割を引き継ぎ、拡充していくことが必要だと考えています。引き続き、県民の皆様の不安の払拭に努めながら、子どもから大人まで切れ目なく医療を提供できる体制の構築に向け、丁寧に取組を進めていきます。
【子ども施策】
(問)
知事は、「(仮称)滋賀県子ども基本条例」の年内策定を目指すと表明されている中、子ども若者審議会から6月21日に答申を受けられましたが、答申のポイントと答申を受けてどのような方向性で新条例案を策定していくのか伺います。
また、今年度中に策定が予定されている「淡海子ども若者プラン」の次期プランについて、子ども、教育、福祉、医療、労働等の分野横断的な取組を推進するために、子ども・若者のニーズをより的確に反映した計画にする必要があると考えますが、次期プラン策定への決意について伺います。
(答)
答申のポイントについては、@子どもの権利を守ることを明確に位置付けて社会全体で取組を推進していくこと、A子どもの意見を尊重、反映し、意見聴取に当たっての配慮事項を盛り込んでいること、B子どもを権利侵害から守る個別救済や制度提案などを行う第三者機関「(仮称)滋賀県子どもの権利委員会」を設置することの三つが挙げられます。今後、これら三つのポイントを踏まえ、子どもを真ん中に置く取組が社会全体に広まることにつながる条例となるよう年内制定に向けて取り組みます。
また、次期「淡海子ども・若者プラン」策定について、「(仮称)滋賀県子ども基本条例」の理念を実現するための計画として、子どもの権利が守られる社会づくりに向けた推進力になるものと考えており、子どもや若者の意見を聴き、反映し、フィードバックできるよう全庁を挙げて検討を進め、次期プランが本県の子ども若者政策の礎となり、「子どもや若者の笑顔と幸せあふれる滋賀」につながるよう、県民の皆様とともに取組を進めていきます。
【交通施策】
(問)
利便性が高く効率的で、地域に最適化した地域交通ネットワークを具体化するための施策と必要な財源の在り方を検討するため、滋賀地域交通活性化協議会を設置し、本協議会において、「滋賀地域交通計画」をまとめることとされています。地域ごとの交通の在り方、地域の将来像について、どのように議論を進めていくのか伺います。
(答)
各地域で行うワークショップにおいて、高齢者や子育て世代、学生など幅広い層の県民や企業の皆様とともに、地域ごとの望ましい交通軸の姿を描き、その実現に必要な施策を積み上げるとともに、「その費用をどのように賄うべきか」という議論を進め、年明けの県民フォーラムにおける県域レベルでの議論につなげていきます。その中で、地域交通を支えるための財源の一つの選択肢として「交通税」を提起し、参加型税制の観点から、県民や企業等の皆様に議論いただきたいと考えています。これらの議論を踏まえ、年度内に策定を目指している「滋賀地域交通計画」骨子にも、必要な施策案とその財源、負担分担の在り方を盛り込めるよう取り組んでいきます。
【警察】
(問)
本県の治安をどのように認識し、地勢的な面から見て、どのような取組を推進しようとされているのか伺います。
また、「ぽけっとポリスしが」の導入は、県民と警察の距離がより身近に感じられるとともに、県民の安心の向上にもつながっていると思いますが、導入の意図と運用状況、今後の展開について伺います。
(答)
近年、減少傾向にあった刑法犯認知件数が2年連続で増加に転じ、犯罪率が同規模県に比べて高くなっていることに加えて、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害が大幅に増加傾向にあるなど、その治安情勢は、憂慮すべき状況にあると認識しています。
本県は、近畿・東海・北陸地方を結ぶ交通の要衝にあり、人の流動が激しいことが、犯罪率が高い要因の一つではないかと考えられます。また、県中央に琵琶湖が位置するという大きな地勢的特徴も有していることから、各警察署だけではなく、広域的な対応が可能な警察本部からの支援も重要であり、引き続き、警察本部と警察署が一体となって効果的・効率的な警察力の運用に努めていきます。
また、「ぽけっとポリスしが」については、県民の皆様に安心・安全情報を常に持ち歩いていただきたいという願いを込め、本年3月1日から運用を開始しています。これまで、特殊詐欺の予兆電話や、子どもに対する不審者情報といった注意情報を、アプリの機能を生かしてタイムリーに発信しています。
今後は、一層の利用者数の増加を図るとともに、交通安全など更に幅広い分野での発信・活用を行い、県民の安心・安全のための総合的な情報発信ツールとしての運用を目指していきます