酒造りは、古くから日本に根差してきた食文化の一つである。中でも、日本酒をはじめとする伝統的酒造りは、長い歴史の中でしなやかな感性と優れた技術で磨き上げられてきた日本が誇る文化である。2024年にはユネスコの無形文化遺産にも登録され、ますます積極的な輸出展開も期待されている。
 日本酒の製造には、原料となる酒米(酒造好適米)が必要不可欠であるが、酒米は主食用米に比べると収量が低い傾向にあるところ、近年の異常気象によりさらに収量が低下し、栽培意欲が減じることになりかねない状況にあることから、高温に強く収量性が高い品種の開発や栽培方法の改良を進めていくことが必要である。
 また、近年は、主食用米価格の高騰に伴い酒米の価格も高騰しており、日本酒の生産に深刻な影響を与えている。酒米から主食用米に転換する動きもあり、酒米の供給が今後ますます不足することが懸念されている。現在、国においては酒米をコメ新市場開拓等促進事業の対象に加えることが検討されているが、酒米を生産する農業者に対する支援を本格化させるためには、水田活用の直接支払交付金における戦略作物助成の対象作物に位置付けるなど抜本的な対応が求められる。
 よって、政府におかれては、日本酒が将来にわたって安定的に製造され、酒造りの文化の継承を図るためにも、酒米の生産を継続的に支援するため、必要な措置を早急に検討し講じられるよう強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  令和7年10月17日
                滋賀県議会議長  目  片  信  悟
  (宛先)内閣総理大臣、農林水産大臣