高市首相は、物価高への対応を最優先で取り組み、継続的に賃上げできる環境を整えることを表明しており、物価上昇を上回る賃上げが期待される。しかしながら、公的制度により収入が決定される医療機関の医療従事者の給与は、経済成長や民間企業の賃上げに連動した仕組みになっていないことから、他分野と比較して給与の引上げが進まないことが懸念される。
昨年度、診療報酬の改定が行われたが、長引く物価高などにより医療機関の経営環境は依然として厳しい状況にある。とりわけ、自治体病院は、地域の民間医療機関では採算性の観点から担い難い救急、小児、周産期等の高度医療の実施、さらには感染症や災害対応など、地域の医療提供体制の維持に不可欠な役割を果たしているところ、経営環境が大きく悪化しており、地域の医療提供体制は崩壊の危機に直面している。
また、少子高齢化が急速に進行する中、県民が良質な医療サービスが受けられる体制を維持するためには人材の確保が不可欠であるが、そのためには医療従事者の給与の引上げによる処遇改善が必要となる。
よって、国会および政府におかれては、診療報酬の改定等を通じて地域医療の維持および安定を図るため、下記の措置を講じられるよう強く求める。
記
1 物価や賃金が上昇した場合に適時適切に診療報酬等へ反映する仕組みを導入すること。
2 令和8年度の診療報酬改定においては、入院基本料の大幅な引上げを行うこと。
3 次の診療報酬の定期的な改定を待たず、臨時的な改定や緊急的な財政支援を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月19日
滋賀県議会議長 目 片 信 悟
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣