高額療養費制度については、長期療養者の家計への影響の配慮を明確化した「健康保険法等の一部を改正する法律」が令和8年5月に成立した。その一方で、政府は令和8年8月、令和9年8月の2段階で、高額療養費の自己負担限度額を引き上げることを予定しており、自己負担限度額の上限が定められている「多数回該当」や「年間上限」の基準に該当しない患者の自己負担額が、現行より増加することが懸念される。
また、現在の高額療養費制度をもってしても、経済的な負担から治療を断念したり、治療に伴い生活の困窮に陥ったりする者も見受けられ、現在の高額療養費制度が憲法第25条の生存権の理念を十分に体現するものとは言い難い。現下の物価上昇などの経済社会情勢も踏まえ、的確に対応する必要がある。とりわけ、現役世代においては、がんや難病への罹患が収入減に直結し、教育費をはじめ扶養に要する費用の負担が重くなるなど家計への影響が大きいことから、十分な配慮が必要である。
よって、国会および政府におかれては、全ての国民が安心して医療を受けられる環境を整備するため、下記の措置を講じられるよう強く求める。
記
1 憲法第25条の生存権の趣旨を踏まえて、高額療養費制度が、公的医療保険制度において国民の生命および生活を守る上で欠くことのできない中核的な役割を果たすものとなるよう、支給要件、支給額等を定めるに当たって考慮すべき事項を、適宜適切に見直すこと。
2 高額療養費の支給を受ける患者の収入とその変動状況、教育費等の支出、生活の実態の調査を行うことや、高額療養費の支給を受ける患者等の意見を聴取することなどを基本的な方針として、全ての患者の負担を極力抑えるために十分な措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年8月10日
滋賀県議会議長 加 藤 誠 一
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣