受理番号:請願第18号
滋賀県の気候変動対策の強化と改善を求めることについて
2050年までにCO₂排出を実質ゼロにするための計画の中間見直しにあたり、県は目的を捉え直し、気候正義に基づいた目標の設定、緊急性と実効性のある計画へと改定するようここに求める。
熱波、豪雨などによる環境や生態系の破壊など気候変動は既に人々のあらゆる権利を奪っており、海洋循環などの環境システムが後戻りできない変化を始めているにもかかわらず、県の計画からはその危機感がうかがえない。
化石燃料に依存するシステムは資本主義社会のもと膨れ上がり、温室効果ガスを大量に排出し続けている。海面上昇で生活基盤を失う人々などは温室効果ガスの排出が少ないにもかかわらず、今日明日の危機にさらされている。温室効果ガス累積排出量世界6位の日本はこの温暖化に対して多くの責任を負っている。県は模範となって先進国の責任や義務を示す役割がある。憲法の平和的生存権の権利は全世界の国民にある。目標達成が目的ではなく、より多くの生存と生活を守る目標を設定することを要求する。
これは、より被害に遭いやすい地域の人々だけでなく、同時に私たち県民の安全と未来のための選択になる。日本は水災害が発生しやすい一方で、乾燥による山火事など極端な気候に変化しており、事態は一刻の猶予も許さないほど深刻である。気候変動が命の問題であるという危機感を目標や政策に反映させていただきたい。
気候変動対策として最も効果が高い太陽光発電導入や建物の断熱化が遅れている。多くの人は昨今の物価高で余裕がなく、導入にかかる負担をゼロにするなど、利用しやすい制度にした上で推進していただきたい。公共交通機関の不便さによって自動車を選択している人に向け、自動車に代わる公共交通手段の利用価格を下げ、自動車の利用を部分的に規制する仕組みが必要である。
また、カーボンオフセット政策の検討撤回を求める。カーボンオフセットは一定のCO₂排出を続けることへの免罪符として機能し、今排出されることで不可逆的な影響を受ける環境や人にとって全く意味をなさない。見せかけのCO₂削減とならないよう考え直していただきたい。
最後に、計画の見直しや進捗評価にあたり、民主的なプロセスを取ることを求める。計画策定時にもFridays For Future Shigaが県に計画の強化と改善を訴え、294人が賛同した請願が議会で採択されたが計画に十分に反映されなかった。今度こそ私たち市民の声を計画に盛り込むことを期待する。以上を踏まえた5項目を取り入れるよう心からお願いする。
記
1.2035年温室効果ガス削減目標80%(2019年比)を目指す努力をすること。
滋賀県は2035年に2013年度比で65%削減、2040年に79%削減を目標とし、政府目標を上回る数値ではあるが、これは高温や気候災害のリスクに直面する県民に対しての責任ある目標とは言えない。また世界でもとりわけ気候変動に脆弱なアフリカ大陸や小島嶼国の人々に対する非人道的な目標である。先進国の責任と排出削減できる能力を考慮して引き上げを求める。
2.2040年に再生可能エネルギー1,100万キロワットを目指す努力をすること。
県では日本政府のエネルギー計画に基づき、2040年に再エネを最大252.0万キロワットと目標を設定しているが、環境省のデータによると滋賀県は太陽光と風力だけでも目標値の4倍以上のポテンシャルがある。
3.太陽光発電の導入、公共交通機関の拡充や建物の断熱化を最優先事項として具体性のある施策を提示し実行すること。
4.計画見直しや進捗の評価を毎年市民が参加する民主的で透明性のあるプロセスで行うこと。
5.カーボンオフセット検討の撤回をすること。