受理番号:請願第12号
「国際刑事裁判所(ICC)の独立性を脅かす米国の制裁措置に毅然と対応することを求める意見書」の提出を求めることについて
【請願の趣旨】
国際刑事裁判所(ICC)は、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪など、国際社会全体の関心事である重大な犯罪について、責任を問うために設立された世界初の常設国際刑事裁判所である。我が国は2007年にICCに加盟して以来、その活動を一貫して支持し、財政面においても最大の拠出国としてICCの運営を支えてきた。また、日本人の赤根智子氏がICC所長を務めるなど、我が国は国際社会における法の支配と国際司法の発展に重要な役割を果たしてきた。
しかし、米国政府は、ICCが米国およびイスラエルの関係者を捜査・訴追することなどを問題視し、ICCの裁判官、検察官等に対する制裁措置を相次いで発動している。2026年8月には、我が国の赤根智子ICC所長も制裁対象とされた。こうした措置は、ICCの裁判官や職員が、政治的圧力を受けることなく、国際法に基づいて職務を遂行することを困難にするものであり、ICCの司法的独立性を損なうだけでなく、国際社会が長年にわたり築いてきた「法の支配」に基づく国際秩序そのものを揺るがしかねない。国際刑事司法は、国家間の政治的立場や同盟関係によって、その適用の是非が左右されるものであってはならない。重大な国際犯罪について、誰であっても法の下で責任を問われるという原則を維持することは、将来の紛争や人権侵害を抑止し、被害者の救済を図る上でも極めて重要である。
我が国政府は、国際法と法の支配を尊重する立場を明確にし、国際司法機関の独立性を守るために、必要な主張を毅然として行う責任がある。
以上の趣旨から、下記について、政府への意見書を提出するよう請願する。
記
1 米国政府によるICCの裁判官、検察官その他の職員に対する制裁措置について、ICCの司法的独立性および国際法に基づく法の支配を損なうものとして、毅然とした立場を示すこと。
2 米国政府に対し、ICCの裁判官、検察官その他の関係者に対する制裁措置の撤回・停止を求めるとともに、ICCの独立した司法活動を尊重するよう働きかけること。
3 我が国の赤根智子ICC所長をはじめ、米国の制裁対象となったICC関係者に対し、必要な外交的支援を行い、その職務遂行が妨げられることのないよう対応すること。
4 ICC加盟国および国際社会と連携し、米国によるICCへの圧力によって、各国が国際刑事司法から離脱することのないよう、ICCの普遍性と実効性を維持するための外交努力を強化すること。
5 我が国がICC最大の財政拠出国の一つとして果たしてきた役割を踏まえ、ICCの財政基盤、司法的独立性および活動の実効性を維持するため、必要な支援をいっそう強化すること。
6 国際法、国際人権および法の支配を重視する我が国の立場を明確にし、国際社会に対して責任ある外交を展開すること。