意見書第36号
自衛隊の海外派兵につながる新規立法に反対する意見書
国連安保理事会は、11月末、来年1月15日以降イラクに対する米軍や多国籍軍の武力行使を容認する決議678を採択した。これは、国際紛争の平和的解決を最優先し、最大の努力を払うことを定めた国連憲章に反するものであり、かつ国連が軍事行動の内容にも結果にも責任を持たないというものであって容認できない。決議678を支持せず、政府も効果を認めている経済制裁を徹底して、あくまで平和的にイラク軍のクウェートからの撤退を実現することは、非戦を誓った我が国政府として当然の責務である。
また、先の臨時国会では国連平和協力法案が廃案となったが、これは自衛隊の海外派兵を強く否定する国民世論のあらわれである。
しかし、政府は、なお国連への協力を理由に、海外に軍事要員を派遣する新たな立法の作業を進めている。政府が対象とする国連平和維持活動は、軍事行動を前提にしており、これへの協力は我が国憲法の平和的原則に反する。非軍事部門での協力については、既に選挙監視団など実施しているところであって、新たな立法は必要ない。
よって政府におかれては、国民世論を踏まえ、イラク問題の平和的解決に全力を挙げるとともに、軍事協力につながる新規立法を一切断念するよう強く要求する。
以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
平成2年12月21日
滋賀県議会議長 岩 永 峯 一
(宛先) 内閣総理大臣 外務大臣