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意見書・決議の詳細情報

意見書第36号 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)総合対策を求める意見書

番号
意見書第36号
(平成22年)
議決年月日
平成22年12月22日
結果
可決

本文

意見書第36号

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)総合対策を求める意見書

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)は、致死率が高い成人T細胞白血病(ATL)や、排尿、歩行障害を引き起こす脊髄疾患(HAM)の原因ウイルスである。ウイルスを体内に持っている人(キャリア)は全国で100万人以上と推定され、ATLで年間約1,000人が命を落とし、HAM発症者は激痛や麻ひ、歩行障害に苦しんでいるが、根本的な治療法はいまだに確立されていない。
 HTLV−1は、輸血や性交渉により、また母乳を介して母親から感染する。このうち、輸血による感染防止のために、献血時の抗体検査が1986年11月から導入され、新たな感染はほぼなくなった。
 ATLの特徴は、発症するまでに40年から60年と、期間が長いことである。そのため、自分自身がキャリアであると知らずに子供を産み育て、数年後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知らされるケースがあり、母親の苦悩は言葉では言い表せない。一部の地方自治体では、妊婦健康診査時に抗体検査を実施し、陽性の方には授乳指導を行い、感染拡大を抑制している。
 本年10月に厚生労働省は、HTLV−1抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し、妊婦健康診査臨時特例交付金に基づく公費負担の対象とされたが、今後、これにより感染の拡大防止対策が実施されることになる。そのためには、医療関係者のカウンセリング研修やキャリア妊婦等の相談体制の充実を図るとともに、診療拠点病院の整備、予防、治療法の研究開発、国民への正しい知識の普及啓発等の総合的な対策が不可欠である。
 よって、国会および政府におかれては、HTLV−1の感染の拡大防止を推進するため、下記の事項について早急に実現されるよう強く求める。
                 記
1 医療関係者や地域保健担当者を対象とした研修会を早期に実施すること。
2 HTLV−1母子感染対策協議会を全都道府県に設置し、検査体制、保健指導、カウンセリング体制の整備を図ること。
3 相談支援センターを設置し、感染者および発症者の相談支援体制の充実を図ること。
4 感染者および発症者のための診療拠点病院の整備を推進すること。
5 発症予防や治療法に関する研究開発を大幅に推進すること。
6 国民に対する正しい知識の普及と理解の促進を図ること。
7 発症者に対する支援、福祉対策を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成22年12月22日
                 滋賀県議会議長  吉 田 清 一

(宛先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣

会議録

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