意見書第8号
昭和63年度米穀政策および牛肉輸入自由化に伴う畜産施策の確立に関する意見書
農業は、国家の基本であり、食糧を国民に安定供給することが我が国農政にとって最も重要な政策である。
しかしながら、我が国農業は、円高に伴う農産物の内外価格差の拡大、国内農産物価格の低迷、水田転作面積の拡大、さらに牛肉、オレンジ輸入自由化の日米交渉合意に見られるように、諸外国による農産物の市場開放要求の一層の高まりなど、極めて厳しい状況下に置かれている。
このような中にあって、農業の将来展望を明らかにし、我が国農業、農村の発展の基盤を確立するとともに、食糧の安定供給を図るため、将来展望に立った米穀政策および畜産施策を確立することが急務となっている。
よって政府におかれては、下記事項について特段の措置をとられるよう強く要望する。
記
1、昭和63年度米穀政策の確立について
(1)農業、農村の役割とその機能を我が国経済の中で明確に位置づけること。
(2)農業生産基盤の整備拡充と農家負担の軽減措置を講じること。
(3)水田農業の生産規模拡大によるコストの低減対策および営農集団の育成対策を強化すること。
(4)水田農業確立対策については、伝統ある良質米産地としての本県の生産構造に配慮され、転作等目標面積を最小限にとどめ、現行配分方式を継続するとともに、水田農業確立助成補助金の基本額および加算額の現行を維持すること。
(5)良質米安定生産のための良質米奨励金の現行を維持すること。
(6)品質向上と物流合理化を図る流通施設の整備を抜本的に強化すること。
(7)米飯学校給食の週5日完全実施を早急に実現し、米を中心とする食生活と国内農畜産物の消費拡大策をさらに進めること。
(8)麦および大豆の優良品種の育成、生産性の向上、流通の合理化等の施策を拡充強化し、転作の定着と土地利用の高度化を図ること。
2、牛肉輸入自由化に伴う畜産施策の確立について
(1)国境措置、国内対策に万全を期し、国内肉牛経営の存立条件を確立すること。
(2)指定食肉安定価格制度を堅持すること。
(3)肉用牛生産の合理化、振興を推進するため、肉用子牛価格安定制度の強化を具体化し、飼料価格の安定、長期資金融資制度の充実等、肥育農家経営の安定方策を講じること。
(4)租税特別措置法による肉用牛売却所得の特別免税措置の期間延長を図ること。
(5)低コスト生産および新技術開発の促進のための助成強化を図ること。
以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
昭和63年7月14日
滋賀県議会議長 酒 井 研 一
(宛先) 内閣総理大臣 大蔵大臣 文部大臣 農林水産大臣 経済企画庁長官