意見書第5号
「裁判抜き代執行」制度を導入する地方自治法改悪に反対する意見書
機関委任事務制度を初め、地方議会、監査委員について地方自治法の一部を「改正」する法案が現在開会されている第112通常国会に継続審議となっている。この法律案は、いわゆる「裁判抜き代執行」制度導入を中心に法改定をねらったものである。「裁判抜き代執行」制度導入は、憲法と地方自治法に定める地方自治の原則を否定するものである。
現行の地方自治法のもとでは、機関委任事務の執行について自治体と国の間に対立が生じたとき、事務を国が代執行するためには執行命令の訴訟と命令違反の確認の訴訟の2度の訴訟を経なければならない。これは、自治体の国からの自主、自律性を認め、その首長の自主的判断を尊重しなければならないからである。
この法律案は、事前の裁判を廃止して、国の意思だけで一方的に代執行できるようにする地方自治制度の根幹にかかわる制度改悪を行うもので認めることはできない。
よって、地方自治の基本を揺るがす地方自治法の一部を「改正」する法律案の撤回を求めるものである。
以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
昭和63年3月25日
滋賀県議会議長 相 井 義 男
(宛先) 内閣総理大臣 自治大臣