意見書第9号
インターネット上の個人情報の保護および人権擁護を求める意見書
近年、公道から撮影した道路周辺の画像を編集し、インターネット上で閲覧可能となるよう公開するサービスが、国内外で提供されている。
その映像には、駐車中の車、表札、洗濯物、自転車などが映っているため、家族構成がわかり、空き巣の下見やストーカー行為などの犯罪行為に利用されることも危惧される。同時に、これらの映像は撮影された当事者に何の承諾もなく公開されていることから、重大なプライバシーの侵害に当たる場合も考えられる。
また、映像データの削除要求は、インターネット上および電話で受け付けられているが、インターネットを利用しない人には、個人情報が世界中に公開されていることを知る方法がないという問題もある。
既に、他の地方自治体などからこうした問題点が指摘されているが、総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」では、「肖像権との関係でも、サービスを一律に停止すべき重大な問題があるとまではいいがたい」との見解が出される予定である。
しかし、上記で述べたような問題を多く含むサービスの提供に当たっては、個人情報の保護および人権擁護の観点から、十分な配慮がなされる必要がある。
よって、政府ならびに国会におかれては、下記の対策を講じられるよう強く要望する。
記
1.個人の住宅の撮影、公開については、住民の理解を得るよう事業者に要請すること。
2.インターネットを利用していない人に対して必要な広報活動を行うこと。
3.映像公開により発生する諸問題解決のために所要の法整備を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年7月16日
滋賀県議会議長 辻 村 克
(宛先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、経済産業大臣