意見書第2号
生活保護基準引下げの再考等を求める意見書(案)
政府は、生活保護の基準を引き下げ、3年間で生活保護費を740億円減額することを決定した。
生活保護基準の引下げは、最低賃金に影響を及ぼすなど、生活保護世帯のみならず、低所得者世帯、さらには、国民全体の生活にまで影響を及ぼすおそれがあり、その決定はより慎重でなければならないが、政府がその影響を十分に検討したとは言えない。特に、小中学生の6人に1人が対象となっている就学援助に多大な影響が出ることが想定され、子供たちの教育を受ける権利の侵害にまでつながることが懸念される。
また、政府は、引下げ理由の一つとして、生活保護世帯の受給額が生活保護を受給していない低所得者世帯の所得を上回るケースが一部に見られるなど、制度上の問題を挙げているが、これらについては、その実態把握と原因分析を十分に行い、最低賃金の引上げ、低所得者支援の強化等の方策をもって検討すべきである。生活保護に関する諸課題は、不正受給の防止、医療扶助の適正化、就労支援の充実強化、ケースワーカーの増員等によって、解決を図ることが先決である。
よって、国会および政府におかれては、生活保護基準の引下げによる影響、制度運用の実態把握等を十分検討の上、その適否を再考するとともに、生活保護に関する諸課題について速やかに取り組まれるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年3月22日
滋賀県議会議長 佐 野 高 典
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣