従来の公立高等学校に係る授業料の不徴収制度と私立高等学校等に係る就学支援金制度という2本立ての制度を改め、平成26年4月から所得制限を導入し、制度を一本化した高等学校等就学支援金制度が創設されたところである。
所得制限は高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を適正に行うために導入され、当該所得制限により捻出された財源の一部は、実質的な給付型奨学金である高校生等奨学給付金に充てられているが、これは高校生等の学びを社会全体で支えるという制度の理念を大きく後退させるとともに、修学機会や負担の公平性などの点において問題があるとされている。
また、日本の教育費に占める公費負担割合は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも最低の水準であり、依然として教科書代、教材費、通学費等には多額の費用がかかり、保護者の大きな負担となっている。
現行の高校生等奨学給付金は、全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費負担を軽減するために導入されたものであるが、高校生等がいる低所得世帯には十分な金額とはいえず、学業を断念することが危惧されるところである。
よって、国会および政府におかれては、憲法で規定されている教育を受ける権利を保障するため、教育予算を増額した上で、下記の措置を講じられるよう強く求める。
記
1 高等学校等就学支援金制度における所得制限を廃止し、高校授業料無償制度を復活すること。
2 高校生等奨学給付金を拡充し、高校生への給付型奨学金を創設すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年6月22日
滋賀県議会議長 野 田 藤 雄
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、文部科学大臣