政府は、過去3度に渡り、国会に提出し、いずれも廃案となった共謀罪を創設することを目的とする組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制に関する法律等を改正する法律案を今国会に提出することを予定している。
法律案は、一定の法定刑以上の犯罪のうち250以上について共謀罪を新設することを内容としており、今回、共謀罪の成立に係る要件として、対象を組織的犯罪集団に限定すること、共謀に関し、犯罪の合意に加え、犯罪の合意に基づき資金または物品の手配その他の準備行為が行われること等の修正が行われるようであるが、これらの定義等については曖昧であり、捜査機関等の判断により、処罰の範囲が限りなく拡大してしまうおそれがあるとされている。
また、日本弁護士連合会からは、現行法では法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、未遂や予備の処罰は例外とされていることから、予備よりもはるか以前の行為を処罰することは刑事法体系の基本原則に矛盾する等との指摘がされているところである。
よって、政府におかれては、処罰の範囲や恣意的な運用という懸念が払拭されない中で共謀罪を創設することを目的とする法律案を国会に提出されないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年3月21日
滋賀県議会議長 野 田 藤 雄
(宛先)内閣総理大臣、法務大臣