昨年12月に開催されたCOP25は、温室効果ガス削減目標の引上げを促す決議には合意したものの、パリ協定の運用ルールの決定が先送りにされ、世界の人々を失望させる結果となった。国連環境計画報告では、各国から出されている目標どおりに削減したとしても世界の平均気温は産業革命前に比べて今世紀中に3 . 2度上昇し、現在の排出ペースが続けば3.4度〜3.9度上昇すると予測され、地球は破局的事態に陥る。パリ協定で掲げる「1.5度以内」に抑制する目標を実現するためには、削減目標の緊急の大幅引上げが必要である。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしなければならない。
日本では台風、豪雨災害の大規模化、猛暑によるコメ生産の打撃、海水温上昇による不漁など気候変動の深刻な影響が出ており、気象災害の影響が大きかった国のランキングはワースト1位となっている。にもかかわらず、政府は温室効果ガス実質排出ゼロの期限を示さないばかりか、22基もの石炭火力発電所が建設・計画中であり、また輸出も行われるなど、削減目標の上乗せを拒んでいる。
地球規模の気候変動を巡って、もはや問題の先送りは許されない非常事態であり、文字どおりの「気候危機」に人類は直面している。
よって、政府におかれては、気候変動に対する温室効果ガス削減目標を緊急に大幅に引き上げ、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取組をされるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年3月23日
滋賀県議会議長 生 田 邦 夫
(宛先)内閣総理大臣、経済産業大臣、環境大臣