再審は「開かずの扉」と例えられるほど、極めて厳しい要件の下にしか認められず、再審無罪判決を勝ち取るまでには数十年を要する場合もあり、当事者とその家族には想像を絶する困難を伴うため、再審を諦める者もいる。
現在、再審手続は刑事訴訟法に規定があるが、条文数は19条のみで、極めて大雑把な規定のため、個々の再審では裁判所の解釈、運用に全て委ねられていることから、「再審格差」が生じているのが実態である。
再審手続の抱える問題点は、一つは、捜査段階で集めた全証拠を検察官が開示しないことである。国民の税金を使って集めた全ての証拠は、有罪立証に有利、不利を問わず、弁護団の開示請求に応じ、真実解明に役立てるべきである。
二つは、検察官の不服申立てである。裁判所が再審開始決定を出しても従わず、不服申立てを行い、いたずらに時間稼ぎをして、当事者とその家族を時間的にも金銭的にも、また心理的にも苦しめ続けることは許されない。再審開始決定に対する反論は、再審公判の中で主張立証する機会があるので、検察官による不服申立ては禁止すべきである。
三つは、刑事訴訟法の再審手続に関する規定が十分に整備されていないことである。再審手続に関する規定を通常審のように整備し、裁判所の裁量による「再審格差」が生じないようにすることや、再審の審理において、過去に当該事件に関与した裁判官が再び関与することがないようにすることが重要である。
よって、国会および政府におかれては、冤罪被害者を迅速に救済するため、刑事訴訟法の再審手続に関する規定を改正し、下記の措置を講じられるよう強く求める。
1 再審における検察官の手持ち証拠の全面的な開示を制度化すること。
2 再審開始決定に対する検察官による不服申立てを禁止すること。
3 刑事訴訟法の再審手続に関する規定を適切に整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月21日
滋賀県議会議長 細 江 正 人
(宛先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣