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意見書第11号 原発に固執せず抜本的な再生可能エネルギーの導入と大規模な省エネの推進を求める意見書(案)

番号
意見書第11号
(令和04年)
議決年月日
令和4年10月14日
結果
否決

本文

 岸田文雄首相は、令和4年8月24日、次世代革新炉の開発・建設を推進するとともに、原子力発電所( 以下「原発」という。) 7基の再稼働、既存原発の稼働期間の延長など原発推進方針を表明した。政府は、昨年策定した第6次エネルギー基本計画では原発の新増設を明記せず、「再生可能エネルギーの拡大を図るなかで、可能な限り原発依存度を低減する」ことを記述していた。今回の表明は、この立場を投げ捨て将来にわたり原発に依存する姿勢を打ち出したものである。東京電力福島第一原発は、事故から11年経過したが溶融した燃料(デブリ)の取出しすらできず、放射能汚染水が増え続け、事故収束も廃炉も困難である。一方で、避難者への支援は相次いで打ち切られ、多くの福島県民が元の暮らしを取り戻せていない。重大事故を引き起こした痛苦の教訓を踏まえず、安全性を無視し、原発回帰を表明したことは、重大な問題である。
 政府は、再稼働済の10基に加え、本県高島市をUPZの範囲内とする関西電力高浜原発1号機、2号機を含む原子力規制委員会の審査が終了した7基の原発について、来夏以降に再稼働させるとした。「新基準」は、福島原発事故の原因究明もないまま、再稼働を急ぐために「スケジュール先にありき」で決定したものであり、重大事故(炉心の著しい損傷)への対策は部分的で、EUで義務付けているコアキャッチャー(溶融炉心を受け止めて冷やす装置)は設置しなくてもよいとしている。また、活断層があっても、その真上に原子炉など重要な設備でなければ建設してもよいなど、極めてずさんなものである。事故が起きた場合の避難対策は自治体任せで、実効性の保障もなく、「世界で最も厳しい水準の規制基準」という言明は完全に破たんしている。
 9月に時事通信が実施した世論調査では、原発の新増設や建替え(リプレース)を進めることに「反対」が41.5% で、「賛成」の30.9% を上回っており、世論調査では一貫して、「再稼働反対」、「原発ゼロ」が多数である。
 政府は、電力・エネルギーの安定供給や脱炭素を原発活用の理由にあげるが、これらの課題は省エネの推進と再生可能エネルギー導入を真剣に追求してこそ打開の道が開ける。環境省の再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査によると、2020年度の日本の発電電力の総量は約1兆kW時である一方、太陽光や風力など再生可能エネルギーの潜在能力は約7兆5000億kW時であるとしており、日本の豊富な再生可能エネルギー資源を最大限活用すべきである。
 よって、国会および政府におかれては、原発に固執せず抜本的な再生可能エネルギーの導入と大規模な省エネの推進に取り組むことを強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   令和4年10月14日

                        滋賀県議会議長 岩 佐 弘 明

(宛先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、経済産業大臣

会議録

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