受理番号:請願第8号
安心、安全な産科医療について
請願要旨
滋賀県では、昨年、湖西地域の病院で産科が閉鎖されて以来、県内各地で産科医の不足が大きな問題になっている。
彦根市立病院は、彦根市だけでなく周辺の4町を含む湖東地域で唯一の中核病院であり、年間約600件に上る分娩を担っているが、平成19年1月9日に、産婦人科の医師2人が3月をもって退職し、現行の3人体制から1人体制になるため、診療を大幅に制限することを明らかにした。
これにより、彦根市やその近隣町で出産を控える女性が遠方の医療機関まで通わざるを得なくなり、時として出産は緊急を要する場合があるにもかかわらず、救命救急を担う施設が近隣からなくなれば、母子の生命の安全にかかわるといった深刻な問題が生じることになる。
産科医の不足の問題は、滋賀県だけでなく我が国全体の問題である。安心できる出産のためには、産科医に良好な職場環境の中で活躍してもらうことが大切であるが、特に病院勤務の産科医は、たび重なる夜勤等の劣悪な勤務実態の中にあり、高い訴訟リスクにさらされるなど、非常に過酷な状況に置かれている。私たちは、病院勤務医の働きやすい職場をつくるための改善策を含め、安心、安全な産科医療を求める。
医療における地域格差をなくし、住みなれた地域の中で安心して通院、出産できる環境を整え、産科医不足への早急な対策と安心、安全な周産期医療の確立を望み、下記の事項を内容とする「産科医、小児科医等の招聘対策の推進を求める意見書」を国会および関係行政庁に提出されるよう請願する。
記
1 医師の地域偏在と診療科偏在を早急に解消するとともに、特に産科医および小児科医を充足させるための仕組みを整備すること。
2 過重労働や高い医療訴訟リスクが、医学生が産科、小児科を敬遠する一因になっているという状況にかんがみ、就業環境の改善や訴訟対応を初めとする病院勤務医の負担軽減のための対策を早急に講ずるとともに、労働条件の厳しさや訴訟リスクの高さに見合う診療報酬上の適切な配慮を行うこと。