受理番号:請願第4号
集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の制定を求める意見書の提出を求めることについて
消費生活相談の件数は、平成22年度で約89万件と依然として高い水準が続いているが、現在の訴訟制度では、事業者に比べて情報力や交渉力で劣位にある消費者が被害回復の行動をとることは困難である。そこで、消費者が有する法的請求権の実効性を確保する観点から、消費者の請求権を束ねて、訴訟追行を可能とすることを目的とした集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案が消費者庁で検討されている。
この制度案では、共通争点を有し多数発生している消費者被害を対象として、手続き追行主体は内閣総理大臣が認定する特定適格消費者団体に限定している。また、訴訟手続きを二段階に区分し、一段階目の訴訟で事業者側の法的責任が認められた場合には、二段階目の訴訟で簡易な手続きによって、被害額を確定し被害回復がはかられる仕組みとなっている。
被害者である消費者にとっては、労力面や費用面で負担が低減される画期的な制度であり、事業者にとっても、多数の消費者との間の紛争を効率的に解決できるメリットがある。
また、これまでの消費者団体訴訟制度は、適格消費者団体に損害金等の請求権を認めていないため、消費者の被害救済に必ずしも結びつかないという課題を有しているが、その課題にこたえる点からも、この制度案は評価できるものである。
ついては、地方自治法第99条の規定により、下記事項を内容とする意見書を国会および政府に対し提出されるよう請願する。
記
1 現在、消費者庁において法制化の作業が進められている同制度について、早期に制度の創設を図ること。
2 制度の実効性を確保する観点から、手続き追行主体となる特定適格消費者団体に対する支援策を具体化すること。