受理番号:請願第20号
国に対して原発事故による避難者用無償住宅支援の継続を求める意見書の提出を求めることについて
福島原発事故から5年8ヶ月が経ったが、収束の見通しは全く立っていない。放射能汚染などのため、全国で14万1,000人(復興庁9月30日発表)の住民が避難を余儀なくされている。滋賀県防災危機管理局によると、9月23日現在、滋賀県には全体で212人、福島県から155人の方が避難しておられる。
これまで、避難指示がなく避難した「区域外避難者」への支援は、無償住宅支援がほとんど唯一のものだった。しかし、政府は住民の帰還する意思や条件にかかわらず、この支援を2017年3月に打ち切ろうとしている。
さらに昨年6月、政府は「居住制限区域」、「避難指示解除準備区域」を遅くとも2017年3月までに解除することを決め、今年6月より葛尾村、川内村、南相馬市の年間50ミリシーベルト未満の地域を解除した。避難区域指定が解除されても帰還できない人たちは、「区域外避難者」になり、早晩、無償住宅支援は打ち切られる。ウクライナでは、年間線量1ミリシーベルトを越える地域をチェルノブイリ原発事故による汚染地域と定めて、そこからの避難者には住宅などが保障されている。日本の法律も、公衆の通常の年間線量限度を1ミリシーベルトと定めている。政府は「1ミリシーベルト」を守るべきである。
無償住宅支援が打ち切られれば、今でも経済的に苦しい状態に置かれている避難者、特に母子避難者世帯は避難の継続が困難になる。福島県では小児甲状腺がん患者が174人も発見されており、子どもをこれ以上被ばくさせたくないと親が願うのは当然である。
事故を起こしたのは避難者ではない。事故の犠牲者である避難者に「被ばくか貧困か」を迫るような事態は避けなければならない。放射性セシウム137の半減期は30年と長く、命と健康を守り安心して避難生活を続けるためには、無償の住宅提供を続けることが必要である。
私たち滋賀県の住民は、隣の福井県に巨大な原発群を控えており、今の避難者の苦悩を他人事のように考えることはできない。
地域住民の暮らしと健康を守る滋賀県議会に、以下のことを請願する。
<請願事項>
国に対して、原発事故による避難者用無償住宅支援の継続を求める意見書を提出すること