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知事提案説明(平成22年 2月定例会)

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平成22年2月県議会定例会 知事提案説明

平成22年2月県議会定例会 知事提案説明

 本日、2月県議会定例会を開会し、提出いたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、新しい年度に向けた県政の運営方針について申し上げますとともに、議案の概要についてご説明申し上げます。

 その前にまず、このたび、職員が刑事事件により起訴されたことについて、お詫びを申し上げます。

 去る1月12日に元商工観光労働部管理監が、平成17年に起きた農業協同組合のコンピュータシステム導入に絡む収賄容疑で逮捕され、今月2日に起訴されるという不祥事が発生いたしました。

 このことによりまして、県政に対する信頼を大きく損ねましたことは誠に遺憾であり、県民の皆さんに深くお詫び申し上げます。

 収賄については、言うまでもなく、公務員としてあるまじき行為で、絶対にあってはならないことであります。

 今後、司法の場において、事実関係が明らかとなり、判断が下されるものと思いますが、県としても起訴事実が確認できた場合には、厳正な処分を行いたいと考えております。

 また、職員一人ひとりにあらためて綱紀粛正と服務規律の確保を徹底し、二度とこのようなことがおきることのないように努め、県民の皆さんの県政に対する信頼を一日も早く回復できるよう全力をあげてまいります。

 さて、平成に入って22年、西暦で申しますと2010年を迎え、早いもので21世紀に入ってから既に10年目となりました。

 今年はオリンピックイヤーであり、カナダのバンクーバーからは、日本人の選手の活躍の様子が日々報じられています。
 その報道に胸をふくらませる一方で、中米のカリブからは連日大変悲しいニュースが届いています。

 先月12日にカリブ海の島国ハイチにおいて、マグニチュード7.0の大地震が発生し、直近の報道では、死者が20万人を超え、30万人以上が負傷し、被災者は100万人以上に上るという大惨事となる見込みです。

 災害被害は、生活困窮の方や生活弱者により強烈な壊滅的打撃となります。県民の皆さんとともに、このたびの地震災害でお亡くなりになられた方々と、そのご遺族に対して深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々や避難生活を余儀なくされておられる方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い、回復、復興をお祈り申し上げまして、以下、具体の説明に入ります。

 まず、最近のわが国の経済動向についてであります。

 先月20日に発表されました1月の政府の月例経済報告によりますと、「景気は、持ち直してはきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」との基調判断がなされております。

 先行きにつきましては、「当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある」とされております。

 こうした中で、本県の平成22年度の予算編成についてであります。
 予算編成に入ります前の財政収支見通しでは、一昨年後半からの景気の悪化による県税収入の大幅な減収などにより、平成22年度においては、230億円の財源不足額が見込まれました。
 加えて、財政調整基金、県債管理基金といった財源調整的な基金の残高が合わせて50億円程度しかないこともあって、極めて厳しい予算編成となりました。

 こうした状況を踏まえ、昨年10月に、財源不足の縮減に向けての事業見直し(案)を策定し、57億円の歳出削減について、市町等関係機関の皆さんとの意見交換も行わせていただきました。

 その後、国の地方財政対策が明らかになり、歳入面では、地方税収が景気の低迷の影響などにより、大幅に減少することが見込まれる一方で、地域活性化・雇用等臨時特例費の創設などにより、地方交付税の全国総額は約1.1兆円の増額、率にして6.8%の増となるなど、地方財政に一定配慮される形となりました。

 本県におきましても、県税収入が落ち込む一方で、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税が県税収入の減少以上に増加することとなりました。

 このような状況の中で、歳出面では、事業見直し(案)でお示ししていた項目の中で、県議会や市町の皆さん等からのご意見を踏まえ、国民健康保険給付対策費補助金について現行制度を維持するなど、見直し額を57億円から54億円に圧縮することといたしました。

 しかしながら、このような種々の取組を行いましても、なお133億円の財源不足額が残ることとなりました。

 これに対しましては、財政調整基金や県債管理基金など財源調整的な基金を合わせて29億円取り崩すとともに、財源不足のための県債についても、退職手当債55億円を含む60億円を発行することなどにより、対処することといたしました。

 この結果、平成22年度の一般会計当初予算の総額は、4,946億3,000万円となりました。
 前年度に比べますと、金額で94億5,000万円、率にして1.9%の増でございます。

 しかし、平成9年度が約5,900億円であったことを考慮しますと、この間に約1,000億円の圧縮となつており、財政規模が縮小していることはご理解いただけると思います。

 次に、主な歳入について申し上げます。

 まず、県税でございますが、総額は1,202億円で、前年度に比べて275億円、率にして18.6%の減となりました。

 この県税収入総額は、当初予算としては、平成に入ってから最低の金額であり、また、過去3番目の減収額となっております。

 項目別に申し上げますと、まず法人二税は、景気の低迷が続く中で、製造業を中心とした企業業績の悪化の影響を受けるとともに、法人事業税の一部が地方法人特別税として国税化された影響を受けることから、前年度に比べ174億2,000万円、率にしまして44.0%の減となる、221億8,100万円を計上しております。

 法人二税以外の税につきましては、個人県民税について、景気低迷に伴う所得の減少などにより56億2,100万円の減収を見込んでおり、その他の税目につきましても、景気の低迷を背景にほとんどの税目で減収を見込んでおります。

 次に、地方交付税は、法人二税が大幅に減収となることの影響や、地域活性化・雇用等臨時特例費の創設などにより、前年度に比べ、165億円、率にして18.2%の増となる、1,073億円を見込んでおります。

 また、県債につきましては、前年度より112億2,300万円増の
982億4,000万円を見込んでおります。

 これは、地方交付税の振替として発行します臨時財政対策債、つまり国に替わって行う身代わり借金でありまして、県が独自に判断できない義務的借金が、前年度より198億円増の656億円となったことが大きな要因でございます。

 一方、県独自の判断により発行します、いわゆる通常債については、投資的経費の重点化、効率化によりまして極力発行の抑制に努めた結果、前年度より86億円減の326億円となったところであります。

 この結果、県債残高そのものは増加いたしますものの、臨時財政対策債を除く県債残高は、平成22年度末残高見込みで188億円減少することとなりました。

 このほか、歳出に見合った分担金及び負担金や使用料等を見込みまして、それぞれ計上しております。

 それでは、以下、平成22年度予算に計上いたしました主な施策につきまして、基本構想の戦略的取組のための5つの重点テーマに沿ってご説明申し上げます。

 平成22年度の5つの重点テーマでございますが、まず1つめの、「県民の「生命」を守り、「不安」を「安心」に変える」についてでございます。

 「保健医療・福祉提供体制の整備」と「人を守る、地域を守る災害に強い安全な地域づくり」の2つの方向で施策を展開することとしております。

 まず、医療・福祉についてです。

 超高齢化社会を目前に控え、私たちが未来に備えるべきテーマとして「看取りのシステム」づくりが必要になるものと考えています。

 今から20年後、2030年頃でございます。団塊の世代が生涯を終えようとする時期に、現状のまま、病院での看取りの数が増えないものと仮定しますと、自宅での看取りが現在の3.3倍程度必要になるものと推計されます。ひとり暮らし世帯も増えてまいります。

 手をこまねいていたら、孤独死はますます増えかねません。今後、在宅医療の果たすべき役割はますます重要となることは避けて通れない、待ったなしの課題でございます。

 このため、平成22年度においては、地域の限られた医療・福祉資源を効果的に結びつけ、孤独死などを防ぐために有効に機能するネットワーク体制を構築するため、滋賀県地域医療再生計画に基づき、在宅医療を推進するための体制整備や各種の支援策を推進してまいります。

 具体的には、「在宅医療推進体制総合調整事業」において、医療圏域ごとに、医療福祉サービスの提供者側だけでなく、地域住民が参加して「地域から医療福祉を考える懇話会」を設置し、地域の医療福祉を守り育てる住民参加の取組を推進するとともに、病院や診療所などの関係機関が情報を共有し、役割分担と連携を図るため、滋賀県医師会が主体となって設置する「(仮称)在宅医療支援センター」の立ち上げを支援してまいります。

 さらに、医師をはじめとする医療・福祉人材の確保を図るため、大学と連携した取組を推進することとし、滋賀医科大学、京都府立医科大学において寄附講座を設置することにより、県内病院への医師派遣システムの構築を図ってまいります。

 次に、災害対策といたしましては、生命を守る減災対策を推進することとしており、まず、地震対策として、引き続き、木造住宅の耐震化や県立高校の耐震対策に取り組みます。

 特に、学校施設は、子どもたちにとって学びの場であるとともに、一日の大半を過ごす生活の場でもあります。

 安全と安心の学校づくりは、まさに子どもたちの生命に関わるもので、その耐震対策は県の重要課題の1つでありますことから、着実な推進を図ってまいります。

 また、新たに「個人木造住宅への耐震シェルター等の普及事業」に取り組み、簡易で安価な手法を取り入れることで、安全な生活空間を確保できる耐震シェルターや防災ベッドの設置に係る費用の一部を助成する制度を創設いたします。

 併せて、災害拠点病院等の耐震化整備に対する支援を行うとともに、老朽化が進んでいる県の防災ヘリコプターを更新することなどにより、防災体制の整備を図ることといたしております。

 さらに、水害・土砂災害対策につきましては、近年、各地で発生している集中豪雨等による水害に対し、各市町において、洪水ハザードマップの作成、周知など、住民生活と直結した減災対策を推進してまいります。

 具体的には、市町が実施する洪水ハザードマップを活用した避難訓練や危険度表示標識の設置などに対して支援する「ハザードマップ活用支援事業」を引き続き実施し、住民の皆さん自身が自ら「そなえる」対策を進められるよう、さらなる向上に努めるほか、川の中と川の外、つまり住民の皆さんが暮らす場での現実的対策を組み合わせ、避難体制や土地利用計画などまでを見据えた、「水害に強い地域づくり事業」を実施してまいります。

 次に、2つめの重点テーマである「社会で子育て、子育ちを支える」として「地域が関わる子育て、子育ちの環境づくり」を推進することとしております。

 子育ての基本は、子ども自身が自ら育ち、幸せを感じることから始まり、子どもを生み育てる親が経済的・社会的に自立でき、そして結果として、社会の担い手が健やかに育ち、活力ある社会を築くことが重要となります。

 そのための主要な施策として、子育てを支えるしくみづくりとして、「『子育て三方よしコミュニティ』推進事業」により、地域のあらゆる人が子どもの育ち、育てる環境に向かって力を合わせるしくみづくりを進めてまいります。

 具体的には、子育て支援活動の状況調査や支援マップの作成、県民フォーラムの開催などを行い、県民の皆さんや企業に対して、「子育て三方よし」のメッセージを発信してまいります。

 併せて、保育所の待機児童の解消や保育環境の改善を目指し、民間保育所の施設整備等に対する助成を行うとともに、小学校進学時のいわゆる「小1の壁」を越え、小学校入学後も切れ目のない支援を行うため、放課後児童クラブの施設整備や運営に対する助成を拡充し、さらに児童虐待の防止対策について市町とともに取り組んでまいります。

 子どもたちの教育環境の基本である教員配置については、引き続き力を注いでまいります。

 次に、3つめの重点テーマである「琵琶湖を守り、地球を守る」につきましては、「琵琶湖の水環境および生態系の保全と再生に向けた取組の推進」と「地球温暖化対策の推進」という2つの方向で施策を進めてまいります。

 琵琶湖とそれを取り囲む陸域と沿岸の健全な生態系を保ち、人と湖のかかわりを再生し、結果として生きものも元気、水質も保全できる、というしくみづくりが大変重要になるものと認識しております。この循環が切断されている現状を調査、分析し、将来的に健全なしくみを生み出すことが重要となります。

 そのための具体的な施策として、琵琶湖の総合保全や、内湖再生について、これまでの取組を継承してまいります。

 また新規事業としては、本年10月に、生物多様性条約第10回締約国会議、いわゆるCOP10が愛知県で開催されますことから、その関連事業として、マザーレイク滋賀応援基金を活用し、「生き物のにぎわうふるさとづくり推進事業」を実施してまいります。

 名古屋市での展示や滋賀県内の現地視察の開催により、琵琶湖が生物多様性のメッカであり、同時に文化の多様性もはぐくんでいる実態を国際的に発信するための取組を進めてまいります。

 また、琵琶湖の固有種で、水草を食べるワタカを南湖へ放流し、異常繁茂している水草を抑制するとともに、県民参加のもと琵琶湖再生に向けた環境学習を含む「琵琶湖固有種ワタカで学ぶ南湖再生事業」を実施いたします。

 さらに、近年深刻化しているニホンジカの増加による森林や生態系の被害軽減のため、「湖国の森林と自然を守るニホンジカ特別対策事業」により、従来の枠組みに加えて、琵琶湖森林づくり県民税を活用し、期間を限定して、捕獲に対する特別対策を実施し、取組を強化してまいります。

 また、地球温暖化対策では、西暦2030年を目標年として、その時点の温室効果ガス排出量について、1990年との対比で半減させることを目的といたしまして、工程表づくりと条例制定を目指すこととしております。

 具体的な対策としましては、交通分野では、電気自動車の普及のための充電設備の設置を推進するほか、家庭分野では、太陽光発電設備の導入と省エネグリーン化改修を複合的に行う個人住宅に対して支援する「個人住宅用太陽光発電導入・省エネグリーン化推進事業」を実施してまいります。

 さらに、中小企業者が実施するCO2削減対策に係る設備改修に対して支援を行う「省エネ設備整備事業」を実施するとともに、引き続き農業分野において、温暖化に対応し得る水稲や園芸作物の栽培技術確立などの対策を推進してまいります。

 4つめの重点テーマでございます「未来につながる、ブランド力を生かした元気な産業を育てる」につきましては、「環境関連産業をはじめとする地域に根ざした産業の創出・育成・集積」と「滋賀の特性を活かした観光の推進」の2つの方向で施策を推進してまいります。

 環境関連産業の振興においては、「戦略的環境ビジネス育成事業」を実施し、産・学・官、そして金融機関をネットワーク化した滋賀県環境産業創造会議の取組をさらに発展させ、滋賀県発の優れた環境関連製品や技術の見える化を進め、県内外に発信することにより、市場化や販路開拓の支援を図ってまいります。

 また、定期的な企業訪問による関連企業情報のデータベース化や大型研究開発プロジェクトの創出に対する支援などによりまして、萌芽期を脱し成長期へと向かう本県環境産業クラスターの基盤をさらに強固なものにしてまいります。

 併せて、「近江技術てんびん棒事業」といたしまして、県内企業の持つ優れた技術を、県外大手企業に対して直接かつ具体的に提案をする、展示商談会を開催することで、県内企業のビジネスチャンスの拡大を図り、事業化を促進いたします。

 これらの取組を通して、地球温暖化対策や琵琶湖環境対策が経済成長と両立し得るものであることを示してまいりたいと考えております。

 また、「滋賀の特性を活かした観光の推進」の観点からは、経済成長が著しい中国からのさらなる観光誘客を図るため、「東アジアから滋賀へ誘客事業」に取り組むことといたしまして、本年度に実施したトップセールスのフォローアップ事業として、中国向けの招請活動を推進し、琵琶湖の美しい自然環境や、その環境保全の取組を踏まえ、滋賀の魅力をさらに発信してまいります。

 さらに、平成23年に放映されるNHK大河ドラマが、本県ゆかりの浅井長政とお市の方の三女「江」を主人公とする「江〜姫たちの戦国」に決定された機会を捉え、「大河ドラマ『江』関連誘客促進事業」を行ってまいります。

 市町とともに効果的な広報宣伝を行い、舞台となる本県の、琵琶湖を取り巻く豊かな自然や貴重な歴史・文化など、「知る人ぞ知る」だけでは「もったいない」滋賀の魅力を全国に発信し、本県のイメージアップと観光誘客の促進を図ってまいりたいと考えております。

 これらの観光事業を通して、滋賀県民として、またさらに日本人としての文化的アイデンティティを醸成しながら、国外や次世代に向けて、滋賀の歴史と文化の奥深さを発信し、同時に、県民当事者として自ら誇りの持てる滋賀県づくりに貢献していきたいと考えております。

 5つめの重点テーマ「誇りと生きがいの生まれる雇用を創る」では、「人と人をつなぐ事業、成長が見込まれるサービス産業、水と緑の雇用事業の推進」を図ってまいります。

 「人と人をつなぐ事業」、「水と緑の雇用事業」の推進にあたっては、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」や「ふるさと雇用再生特別基金」を本県の実情に即して有効に活用し、県の実施する事業において、1,981人の雇用を確保するとともに、市町の実施する事業においては、2,280人の雇用、つまり合わせて4,300名近くの雇用を創出することといたします。

 安定した雇用を確保し、県民の皆さん一人ひとりが生きがいを持って働ける環境をつくり出すことは、幸せや豊かさを実感できる滋賀の未来を拓いていく上で欠くことのできないものであります。

 特に、次世代を担う若者にとって、就職は、夢の実現への第一歩となるものと考えております。就職が可能となることにより、結婚、子育てへの希望をつなぐことも可能となります。

 そこで、新たに、「滋賀の『三方よし』人づくり事業」を実施し、若者をはじめ就業経験の少ない求職者に対し、雇用機会の創出を図るとともに、将来の滋賀の産業界で活躍できる人材として育成し、県内企業での就職に結びつけていくためのしくみづくりに取り組んでまいります。

 以上、5つのテーマに対する重点的な取組について申し上げましたが、これらに加え、今回の予算編成過程の中では、年末の政府予算案において示された、国の政策変更の影響についても適切に反映いたしました。

 主な内容としましては、子ども手当の創設、公立高校の授業料の無償化、私立高校の保護者負担の軽減、野菜の生産拡大への支援などがあります。

 全国的な制度変更が行われる中で、とりわけ、私立高校について、低所得世帯に対する県単独の補助制度により保護者負担の軽減を図るとともに、新たに農業分野において、水田における野菜の生産拡大への支援制度を創設するなど、本県の実情に即し、独自の対応を講じてまいります。

 また、複雑化する行政課題や多様化する県民ニーズに的確に対応するため、県民、NPO、企業等の多様な主体と、県行政がともに支え合い、分かち合い、高め合う「協働型県政」への転換を前向きに、着実に推進してまいります。

 これまで申し上げてきた個々の事業につきましても、「協働」を共通の横串として立案したものが多くございます。

 さらには、具体的な取組の一つとして、多様な主体と県とが対等な関係のもと、共通の目標に向けて連携し、協力することにより相乗効果を上げるため、今年度から新たに「滋賀県協働提案制度」を創設いたしました。

 平成22年度におきましては、協働提案制度に基づく事業として、環境、防災、男女共同参画、福祉・医療などの分野で総額約1,500万円の事業を実施することといたします。

 さらに県組織の大きな財産として、何よりも「人財」があります。厳しい財政状況の中で、特別な予算を伴うことなく、県職員の経験や技能、技術や職員の思いを活かすために、職員の「知恵だし汗かき」事業を実施することとし、合計120件の事業に取組をいたします。

 防災や環境などの出前講座など、まさに、職員自身が知恵をしぼり、自ら汗をかいて、行政自身が、県民の皆さんの生活現場、企業活動の現場に参加をさせてもらう、「行政参加」の場でもあります。

 住民参加に加えて、行政参加があって、はじめて双方向の対話が生まれ、共感に根ざした施策が進むものと大いに期待をしております。

 以上、一般会計に係る主な施策の概要を申し上げましたが、このほか、特別会計は、13会計で1,841億1,484万2千円、企業会計は3会計で327億7,850万円を計上いたしております。

 厳しい財政状況の中ではございますが、次の時代を見据え、子や孫にツケを残さないように、また、経済的活力を維持、発展させ、滋賀の未来を可能にするような、「次世代育成型の県政を実現する」という県民の皆さんとのお約束の実現に向けまして、未来への種をまき、その「芽」をしっかりと出し、着実に育ててまいりたいと考えております。

 次に、当面する課題として、関西広域連合について申し上げます。

 関西広域連合につきましては、地方分権改革の推進や関西全体の広域行政を担う責任主体づくり、さらには国と地方の二重行政を解消し、国の出先機関改革に伴う権限移譲の受け皿となることをねらいとして、現在、2府5県を中心に、設立に向けた検討が進められております。

 設立当初においては、防災や観光、産業振興、医療連携、環境保全などといった、7つの分野の事務を行うことが予定されており、概ね、設立案が取りまとめられたところでございます。

 このような中で、去る1月8日に開催されました関係府県知事会議では、各府県の2月議会で、関西広域連合の設立案などについての議論を深めるとの方針が示されました。

 本県におきましても、これまで、庁内の検討チームにおいて、広域連合で実施が予定されている各事業について、どのような具体的メリットがあるのか等について、検討を重ねてまいりました。

 このような経過を踏まえ、今議会におきましては、庁内での検討内容をご報告させていただき、さらにわかりやすい資料をご報告させていただきながら、県議会の皆様方からのご意見を踏ま、さらなる検討を深めてまいりたいと考えております。

 それでは、今議会に提出しております案件の概要についてご説明いたします。

 まず、条例案件でございますが、議第18号、26号および28号は、職員の定数に関するものでありまして、知事の事務部局などの定数を削減するとともに、県立学校等における生徒数の増減や、政令における地方警察職員の定員基準の改正などに対応した職員定数に改めようとするものでございます。

 議第19号は、児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令および農地法施行令等の一部を改正する政令の施行に伴い、所要の改正を行おうとするものでございます。

 議第20号は、人事委員会の報告を踏まえ、職員が長時間の時間外勤務を行った場合の代替休暇制度を設けるなど、所要の改正を行おうとするものでございますし、議第21号は、時間外勤務手当の支給割合の改定等を行うため、所要の改正を行おうとするものでございます。

 議第22号は、輸出される牛肉に係る衛生的なとさつ、解体等に関する証明書の交付のための手数料を新たに規定するとともに、政治資金規正法の一部改正に伴い、国会議員関係政治団体に係る少額領収書等の開示に係る手数料の追加等を行うため、所要の改正を行おうとするものでございます。

 議第23号は、土壌汚染対策法の一部を改正する法律の施行に伴い、所要の改正を行おうとするものでございますし、議第24号は、滋賀県立成人病センターの駐車場を有料化することにより、受診目的外の無断駐車や、長期間にわたる不適正な駐車を規制し、円滑な駐車場の運営および患者サービスの向上を図るため、所要の改正を行おうとするものでございます。

 議第25号は、市町村の合併の特例等に関する法律の規定に基づく審議会その他の合議制の機関として設置している「滋賀県市町合併推進審議会」を廃止しようとするものでございますし、議第27号は、地域手当の支給割合について特例を定めるため、所要の改正を行おうとするものでございます。

 次に、その他の案件でございますが、議第29号および30号は、契約の締結について、議第31号は、財産の譲渡について、議第32号は、訴訟の提起について、議第33号は、国の行う土地改良事業に要する経費について関係市が負担すべき金額を定めることについて、議第34号および35号は、琵琶湖流域下水道の湖西および東北部の処理区管理経費に係る市町負担金について、議第36号は、国土利用計画の策定について、議第37号は、滋賀県道路公社定款の変更について、議第38号は、有料道路の料金の徴収期間の変更に同意することについて、議第39号は、有料道路事業の変更に同意することについて、議第40号は、全国自治宝くじ事務協議会の規約改正について、議第41号は、包括外部監査契約の締結について、それぞれ議決を求めようとするものでございます。

 以上、何とぞよろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

 次に、このたび滋賀県議会議員として15年余にわたり県勢の発展に御尽力を賜っております沢田享子議員には、県議会から表彰を受けられましたことを心からお喜び申し上げます。おめでとうございます。

 沢田議員におかれましては、多年にわたり、地方自治の進展、県民福祉の向上に御尽力いただき、この間に県政の発展に大きく尽くされたご功績はたいへん深いものがございます。、ここに深く敬意と感謝の意を表するものでございます。

 なお、沢田議員に対しましては、私からも、本日、本会議開会に先立ちまして表彰をさせていただきました。

 この上は、何とぞ御自愛いただきまして、県勢のさらなる発展のため格別の御指導とお力添えを賜りますようお願い申しあげまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

 この際、少しお時間を頂戴いたしまして、一言申し上げさせていただきます。

 現在、わが国は、人口減少と少子高齢化、そして地球規模での環境問題の進行などの大きな社会的、自然的課題に直面しております。

 加えて、平成20年秋のアメリカの金融危機に端を発した景気悪化は、世界各国に連鎖し、わが国経済にも暗い影を落としております。特に、製造業の割合が高い本県への影響はたいへん大きなものがあります。

 私は、この時代の潮流の中にあって、5つの大きな不安が、日本人の心、また滋賀県の皆さんの心を覆っているように思います。

 すなわち、1つめは医療、福祉や災害など「命のセーフティーネットに対する不安」、2つめは、未来の社会を担ってくれるはずの子どもを産みにくく、育てにくい、という「命のつながりへの不安」です。
 3つめは、自然環境、特に「琵琶湖の生態系や地球温暖化などの自然破壊への不安」、4つめは、暮らしの根底を支える「景気・雇用悪化に対する経済的不安」であります。
 そして5つめは、急激な地球規模での社会変化の中で、私たちはどこにいくのだろう、地域社会や文化はどうなるのだろう、という共生の時代における文化的アイデンティティへの不安であります。

 この順番は、ことの重要性の順ではありません。それぞれの人、状況により重要性の順序は異なるでしょう。

 私は、将来にわたって、県民の皆さんのこれらの不安を取り除き、国と地方の新たな役割分担の中で、未来にむけて安心できる、また希望を持てる社会、つまり「未来可能な安心希望社会づくり」を県民の皆さんとともに地域主導で実現していく、その黒子となり、舞台づくりを行うことが、県政に求められた大きな役割であると考えております。

 主役はもちろん、県民の皆さんです。

 政治は未来をつくるものです。ある政治的決断は、何十年も先まで影響を及ぼす場合が少なくありません。私達自身、今直面している課題、過去から引きずっているものもたくさんございます。そのような中で、目前の政策課題に応えるのはもとより、未来世代に責任の持てる政治を行うことが私自身の願いでもあります。

 そのひとつの時間的目標が2030年、今から20年後です。今年生まれた子どもが成人を迎えます。10歳の子どもは30歳、60歳の人は80歳となります。人口構造も、自然のしくみも2030年が未来を見通すひとつのイメージの結節点でもあります。

 2030年に向けた、例えば、医療福祉の看取りシステムも、また、2030年に向けた環境分野でのCO2半減政策も未来への責任のあらわれであります。

 幸い、希望の持てる未来社会に向けて、本県は3つの大きな潜在的な力を擁しております。

 1つ目は「人の力」です。人口減少に悩む多くの地域と比較して、滋賀県はほどほどの人口の増加率を誇り、知的基地として多様な学部を擁する大学の立地も進み、最先端の製造業の技術者も多く、さらに、住民の皆さんのコミュニティ活動やNPOなどの社会貢献活動への活発な参加といった「人の力」、「人々のきずなの力」にみなぎっています。
 「新しい公共」という現政権の目標でもあります。そのような拠点となる社会基盤は十分にございます。

 2点目は「自然の力」です。
 世界的にみると、数十万年を超える古代湖は数多くありますが、都市中心部に近く、高度に発達した都市経済地域に組み込まれながら、水資源として、また、水害防御の場として、あるいは憩いや学びの場としてなど、多様な役割を発揮している古代湖は琵琶湖をおいてほかにありません。
 貴重な古代湖であり、生物多様性や湖沼文化の拠点でもある琵琶湖の豊かな自然環境とそれを取り巻く河川や森林を含む美しい盆地的景観などの「自然の力」があります。

 そして、3点目は「大地と知識」つまり「知と地の力」であります。
 交通の要衝であるという地理的優位性をはじめ、大津宮や信楽宮などの古代から、戦国時代の日本史の舞台としての豊かな歴史や、比叡山に代表されるように、全国の拠点であると同時に地域社会に埋め込まれた仏教文化、近年の国際的水準の芸術文化を取り入れた文化振興など、自然や文化を守ってきた暮らしの知恵に代表される「地と知の力」という全国にも誇るべき素材を有しております。

 こうした潜在的な力をもっともっと発信していきたいと私自身考えております。

 世界的にみても、GDPは世界第二位から第三位に落ちようとしています。
 日本社会が未来の成長や発展を目指す上での試練を迎えている今こそ、地域からのローカルかつグローバルな新たな価値に根ざした、滋賀の志、近江の志を発信するチャンスであります。

 本県の持つ素材に磨きをかけ、潜在的力を引き出しながら、経済社会情勢の短期的な変動に左右されない、滋賀県独自の内発的成長発展力強化の方向性を、県民の皆さん、事業者の皆さんとともに見出していきたいと強く考えております。

 さて、平成18年7月の知事就任以来、4年近くが経過いたしました。

 私は、この間、新幹線新駅計画の「凍結」や、県内6ダムの「凍結・見直し」など、必要性の低い公共事業を“もったいない”と提案し、県民の皆さんとのお約束であるマニフェストの実現に向けて、全力を傾け、県政運営にあたってまいりました。

 しかしながら、4年前には想定できなかった大きな社会経済の変化もあり、先ほど申し述べましたように、滋賀県民の皆さんが抱いている未来への不安も明らかになってまいりました。

 と同時に、4年近く県政を担わせていただく中で、滋賀県が持っている潜在的な力、失ってはもったいない価値も、あらためて見えてまいりました。

 それゆえ、滋賀には希望があります。過去の歴史を振り返りながら、同時に、未来を見据えて、政治は未来をつくるものであることも、あらためて実感しております。

 7月に任期満了を迎えるにあたり、私といたしましては、県民の皆さんの「不安」を「安心」に変えるため、また、滋賀の潜在力を新たに引き出し、“もったいない”を活かした、「未来可能な安心希望社会づくり」を県民の皆さんと実現するため、引き続き、県政を担わせていただきたいと考え、来たるべき知事選挙で、県民の皆様方のご審判を仰ぐ決意を固めました。

 議員の皆様には、貴重なお時間を賜りましたことに感謝申し上げますとともに、今後とも県政の推進に一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
 長い時間、ご静聴ありがとうございました。

平成22年2月県議会定例会 知事提案説明(3月11日追加)

平成22年2月県議会定例会 知事提案説明(3月11日追加)

 ただいま提出いたしました議案の概要についてご説明申し上げます。

 議第42号は、平成21年度の一般会計補正予算でありまして、年度内における各事業の執行状況および最終的な財源見通しに基づき所要の調整を行い、総額で62億8,828万2千円の減額補正を行おうとするものでございます。

 まず、歳入についてでございますが、県税は、企業収益の悪化の影響などにより、総額で116億2千万円の減額となりました。その主な内訳は、法人二税が117億1千万円余の減、軽油引取税が7億5千万円余の減、自動車取得税が5億3千万円余の減となっております。

 また、地方交付税は、決定状況を踏まえ増額するものであり、県債は、県税収入の減収を受けて減収補てん債を180億円計上するほか、許可予定額等に基づき、所要の調整を行おうとするものでございます。

 次に、歳出についてでございますが、まず、国の第二次補正予算への対応を図るものとして、介護・医療の分野等の「重点分野雇用創出事業」や「地域人材育成事業」を実施するとともに、求職中の生活困窮者への生活・就労支援を強化するために、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」への積立てを行うほか、「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を活用した事業の実施等、合わせて57億5,380万1千円の増額補正を行おうとするものでございます。

 また、東海道新幹線新駅問題への対応といたしまして、栗東市の平成20年度の支出に係る協定類の終了に伴う支援として、1,013万9千円を計上するとともに、栗東市土地開発公社に対し、10億円の貸付を行おうとするものであり、その財源として「東海道新幹線新駅地域振興等基金」を取り崩そうとするものでございます。

 このほか、中小企業関係の貸付金の不用をはじめ、人件費や一般行政経費につきまして、執行残等を精査するなど所要の調整を行うことといたしております。

 このような歳入、歳出の調整を図った上で、本年度予定しておりました財政調整基金と県債管理基金の取り崩し予定額等について、両基金合わせて20億円、また、福祉・教育振興基金の取り崩し予定額について8億円、それぞれ圧縮することとし、より一層厳しさを増すことが見込まれる後年度の財政運営に備えてまいりたいと考えております。

 議第43号から57号までは、特別会計および企業会計につきまして、同様に所要の調整を行ったところでございます。

 議第64号は、平成22年度の一般会計補正予算でありまして、先ほど申し上げた、栗東市土地開発公社に対する貸付につきまして、平成22年度当初に償還されることをうけ、基金に積立てを行うこととし、総額で10億3万3千円の増額補正を行おうとするものでございます。

 次に、条例案件およびその他の案件について申し上げます。

 議第58号は、地域活性化に資する公共投資の円滑な推進を図るため、基金を創設しようとするものでございます。

 議第59号は、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」について、国の「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に呼応して、貧困・困窮者支援の強化を図るため、必要な改正を行おうとするものでございます。

 議第60号は、契約の締結について、議第61号から63号までは、県の行う建設事業等に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることについて、それぞれ議決を求めようとするものでございます。

 以上、何とぞよろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

平成22年2月県議会定例会 知事提案説明(3月24日追加)

平成22年2月県議会定例会 知事提案説明(3月24日追加)

 ただいま提出いたしました議案についてご説明申し上げます。

 議第65号から67号までは、一般会計、流域下水道事業特別会計、および土地取得事業特別会計の補正予算でございまして、関係機関との協議調整に時日を要したことや、市等の事業が遅延したことなど、諸般の事情により年度内に事業執行の見通しが得られない経費につきまして、繰越明許費として、平成22年度に繰り越しをしようとするものでございます。

 このうち、一般会計につきましては、国の補正予算に係る事業分をはじめ、補正後で247億1,753万6千円となりまして、前年度に比べ
88億5千万円余の増となっております。

 今後は、これらの工事等の計画的かつ円滑な執行を図り、早期に所期の事業目的を達成できますよう、努めてまいる所存でございます。

 以上、何とぞご審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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