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知事提案説明(平成15年 6月定例会)

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平成15年6月県議会定例会 知事提案説明

平成15年6月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員各位のご参集をいただき、6月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明申し上げますとともに、当面する諸問題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 今議会は、この4月の県議会議員選挙による改選後初の定例会であります。私ども執行部一同心を新たにし、皆様方とともに、真摯な議論を尽くして、実りの多い議会となりますよう、そしてまた、県政の発展に向けまして、精一杯努めてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、長期構想の改定について申し上げます。

 現行の長期構想「新・湖国ストーリー2010」につきましては、策定後の社会経済情勢の変化に的確に対応するため、改定を行い、新たに中期計画を策定することとして、昨年の秋口から作業を進めてきており、現在、新世紀委員会におきまして、改定計画全体を議論をいただいております。

 去る5月末に開催されました第5回の委員会におきましては、改定計画の原案が審議され、2010年という将来を見通し、現長期構想の基本的な姿勢を引き継ぐ中で、基本目標を「自然と人間がともに輝くモデル創造立県・滋賀」として掲げることや、その目標の実現に向けて、当面の5年間を計画期間に、基本戦略として10の戦略を明確にして取り組むとともに、5本の柱で施策を展開することで、大筋の集約がなされたところであります。

 今後、新世紀委員会では、県民政策コメントを実施し、そこに寄せられたご意見や情報を反映しながら、さらに審議を深めていただき、9月中を目途に、答申をいただけるものと思っております。

 今回策定することとなります新しい計画につきましては、ひとり県行政のみではなく、県民の皆さんやNPO、企業、さらには市町村などが協働して、存在感のある滋賀を築いていくための指針でなくてはならないと、しばしば委員会の議論におきましても指摘のあるところでありまして、私も、まさにそうあるべしと考えているところであります。

 今後、改定作業の進み具合にあわせまして、議員各位から十分ご意見をいただきながら、よりよい計画としてまとめてまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 次に、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例について、申し上げます。

 「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例につきましては、県内の犯罪が年間3万2千件を超えるという、ゆゆしき事態に対処し、県民の皆さんが犯罪に遭わない安全な社会の実現に向けた取り組みの基盤として、先の2月県議会定例会におきまして議決をいただき、この4月1日からスタートいたしました。

 県といたしましては、これまで、4月早々に庁内に推進本部を立ち上げますとともに、地域振興局単位に市町村と警察署からなる連絡協議会を設け、また、街頭犯罪の重点的な取り締まりや、新たに設置しました防犯アドバイザーによる学区等の草の根レベルでの防犯活動を支援するなど、様々な角度から、積極的な取り組みを始めているところであります。

 さらに、今月の13日には、県や市町村、防犯に取り組む企業や大学など58の機関・団体の参加のもとに、「なくそう犯罪」滋賀安全まちづくり実践県民会議が設立されました。

 また、これらに加えまして、現在、条例に基づく基本方針や、道路、公園、学校や共同住宅などの指針の策定について、その詰めを急いでいるところであります。策定に際しましては、県民の皆さん等が目に見える形で取り組みを行っていただけることに配意しますとともに、これを実践することで、安全を体感できる「犯罪のない」安全・安心な滋賀を、警察はもちろんのこと、県、市町村、県民、事業者等が、それぞれ連携してつくり出していきたいと考えております。

 そしてまた、そのための第一歩として、本年度は、増加を続ける犯罪を減少に転じさせ、平成15年の発生を3万件以下に抑え込むという県民総ぐるみ運動を、先に申し上げました県民会議を推進母体として、総力を結集して強力に展開してまいりたいと考えております。

 平成6年以降増加の一途をたどってきております犯罪発生件数は、今年に入りましてから、これまでのところではありますが、前年に比較しまして、減少してきております。このことは、条例の制定に向けた議論をはじめ、県議会での条例の議決、今年度に入っての新たな取り組みなどの様々な積み重ねを通しまして、みんなで犯罪から身を守ろうという意識や機運が高まり、効果が、徐々に表れてきているのではないかと受け止めているところであります。

 犯罪のない安全な社会の実現は、県民の皆さんのあらゆる活動の基盤、基礎となるものでありますことから、「滋賀県は、犯罪を絶対に許さない」という確固たる姿勢のもとに、その成果を力強く示すことができるよう、取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例について申し上げます。

 本条例につきましては、5月県議会臨時会におきましても、年度当初の取り組み状況等についてご報告を申し上げたところでありますが、4月以降これまで、プレジャーボートの航行規制や、従来型2サイクルエンジンの使用禁止、外来魚のリリース禁止などを「琵琶湖ルール」として、市町村や関係団体にもご協力をいただきながら、レジャー利用監視員による湖岸の監視をはじめ、県を挙げて「琵琶湖ルール」の定着に向けた取り組みを積極的に行ってきているところであります。

 このような中で、湖岸でのレジャー利用者へのアンケート調査では、県内外を問わず、多くの方々に「琵琶湖ルール」が始まったということがよく知られており、また、好意的に受けとめていただいているなど、確かな手応えを感じているところであります。

 ただ、いよいよこれからが、琵琶湖が最もにぎわいをもつ夏のシーズンを迎えることとなりますので、「琵琶湖ルール啓発キャンペーン」の実施をはじめ、様々な方法で、県内外に対する広報活動を、集中的に実施してまいりますとともに、プレジャーボートの航行規制などにつきましても、より一層の監視、指導に努めていきたいと考えております。

 また、特に、7月からは「ノーリリースありがとう券実験事業」を実施することとしております。これは、釣り上げた外来魚を引き換え場所に持ってきていただけば、協力店舗で商品やサービスなどと交換できる「ノーリリースありがとう券」をお渡ししようとするものであります。いわば、琵琶湖に住むフナやモロコなどの魚たちをはじめ、琵琶湖の豊かな自然たちからの「生態系を守ることにご協力いただき、ありがとうございます」という気持ちを、「ノーリリースありがとう券」を通じて、表そうとするものであります。

 さらに、回収された外来魚につきましては、障害者の方々が働く共同作業所で肥料に加工することとし、環境こだわり野菜づくりなどにも活用していこうというものでございまして、県内外の多くの方々の参加と協力により、循環型の社会を構築していこうという側面も併せ持った、新しい、実験的な取り組みであります。

 これらの取り組みによりまして、「琵琶湖ルール」が一層定着してまいりますよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、「新・淡海障害者プラン」について申し上げます。

 本県の障害者施策につきましては、これまで、「淡海障害者プラン」に基づき推進に努めてきたところでありますが、当プランの計画期間が、昨年度で最終年度となりましたことから、今回、新たに、「新・淡海障害者プラン」を策定したものであります。

 新プランにつきましては、平成19年度までの5か年計画とし、「地域での自立生活の実現」を目標に、「地域生活の充実に向けて」と「地域社会で暮らす・働く・活動する」という、2つの基本テーマを設け、あらゆる行政分野から、地域を視点とした施策を総合的に推進することとしております。まさに、「地域主権の時代」にふさわしい計画として、スタートすることができたものと考えております。

 また、新プランでは、施設から地域生活への移行を積極的に進めますとともに、平成19年度を最終年とする主要事業の数値目標を掲げ、地域生活を支える制度やサービスを一層充実することとしておりまして、障害者一人ひとりの生き方を大切にした暮らしの実現をめざすこととしております。

 なお、この機会に、ご報告申し上げたいと存じますが、去る3月24日のサングループ損害賠償請求事件の判決につきましては、県の主張の多くは認められたものの、一部県立施設の対応に違法性があったとして、国ともども、県の責任が問われることとなりました。

 本件は、障害者が就労期間中に身体的・精神的被害を被っただけではなく、死者まで出したという、深刻に受け止めなければならない事件であったことと、また、訴訟が提起されてから既に6年以上という年月が経過していることなどから、早期解決を図るために、総合的に判断し、国とともに、あえて控訴しないということを決断いたしました。この事件を通しまして、行政として、改めて障害者の人権を守ることの重要性を痛感させられました。

 このため、今回策定いたしました「新・淡海障害者プラン」のもとでは、こうした事件の再発防止はもちろんのこと、障害者の権利擁護にかかる制度や施策の充実に向け、一層の取り組みを行っていきたいと考えております。

 また、去る6月11日に、政府の地震調査研究推進本部から、琵琶湖西岸断層帯等の長期評価が公表されました。この中で、高島郡マキノ町から大津市に至る59キロメートルの琵琶湖西岸の断層帯において、発生確率等で信頼度がやや低いというものの、阪神・淡路大震災を超えるマグニチュード7.8程度の規模の地震の発生が想定されております。

 このため、早速こうした事態に備えるため、全庁的にこの地震を想定した対策の検討を進めるよう、指示しているところであります。

 去る6月26日には、地震に関する専門家等にお集まりをいただきまして、滋賀県防災会議地震対策部会を開催し、専門委員を中心に検討委員会を新たに設置することにいたしましたことや、県といたしましての取組方針等について、検討いただきました。

 今後は、情報を的確に県民の皆さんと共有しますとともに、専門委員を中心とする検討委員会を中心に、震度分布や被害想定など必要な調査を行いまして、地域防災計画の見直しを進めてまいります。このほか、阪神・淡路大震災の教訓に学ぶために、当時、その対応に大変ご苦労された責任者を講師としてお招きをいたしまして、県はもとより、市町村をはじめ、消防、病院など、関係します機関の責任者を対象とした地震に関するトップセミナーを開催するなど、市町村ともども、地震対策に万全を期してまいりたいと考えております。

 ところで、私は、今月22日から26日の間、三浦県議会議長、清水環境・農水常任委員長とともに、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴのミシガン湖畔で開催されました第10回世界湖沼会議に参加いたしますとともに、本県の姉妹州でありますミシガン州を訪れ、今年1月に就任されましたグランホルム知事と会見し、姉妹関係の一層の強化を図ってまいりました。

 世界湖沼会議は、昭和59年に、滋賀県が世界に先駆けて、湖沼を取り巻く環境問題について、研究者、行政、市民の三者が一堂に会し、情報や経験を交換し合う国際会議の必要性を提唱いたしまして、第1回会議がこの滋賀の地で開催されたものであります。

 以来、回を重ね、今回の湖沼会議は、一昨年、平成13年に本県で開催されました第9回大会を受けて開催されたものでありまして、今回は「大湖沼への地球規模の脅威−不安定で予測不可能な環境下での湖沼管理−」をテーマに、世界36カ国から7百人余りが参加し、48の分科会において6百以上の発表が行われるなど、大変活発な議論や意見交換の場となりました。

 滋賀県といたしましては、今年3月の第3回世界水フォーラムの経験と成果を基に、世界湖沼ビジョンの具体化を働きかけますとともに、琵琶湖での条例制定によります新たな取組でございました琵琶湖ルールの定着化や環境こだわり農業の推進について報告をいたし、新たな視点からの湖沼保全の重要性について、訴えてきたところであります。また、五大湖を中心とする北米の湖沼で研究と対策が進んでおります有害化学物質をはじめ、湿地保全や外来種対策など生態系保全についても、情報交換を行うことができ、大変有意義な会議であったと考えております。

 今回訪れました北米地域には、五大湖をはじめ大小あわせて3百万程度の湖があると言われておりますが、五大湖は、琵琶湖の122倍の面積をもつスペリオル湖をはじめ、ヒューロン湖やミシガン湖など巨大湖沼が連なっており、そのスケールの大きさに圧倒されたところであります。また、流域には、シカゴやデトロイトなどアメリカの商工業の中核を担う都市が立地しておりまして、そのため、湖沼汚染が深刻であります。しかしながら、その反面、北米的な現実主義で科学的な調査や制度の整備を進めておりまして、着実な保全対策も進めていることについて、あらためて感心した次第であります。

 短い期間ではありましたが、私にとりましては、大変意義深い経験をすることができ、今後の県政運営に活かしてまいりたいと考えております。

 以下、今議会に提出しております案件の概要について申し上げます。

 まず、議第110号から117号までは、条例案件であります。議第110号は、母子及び寡婦福祉法の一部改正に伴い、特例児童扶養資金の償還の免除について、必要な事項を定めようとするものであり、議第111号は、4月1日の組織機構の改編等に伴い、滋賀県防災会議の委員定数について、改正をしようとするものであります。

 議第112号は、地方税法の一部改正に伴い、個人県民税について、配当割および株式等譲渡所得割を創設するほか、法人事業税について、外形標準課税を導入するなど、所要の改正をしようとするものであります。

 議第113号は、古物営業法の一部改正に伴い、古物競りあっせん業にかかる業務の実施方法の認定に関する審査手数料を定めようとするものであり、議第114号および116号は、いずれも関係法律の一部改正に伴い、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 議第115号は、国の制度要綱の一部改正に伴い、生活福祉資金貸付事業に緊急小口資金を加え、生活資金を削除しようとするものであり、議第117号は、社会福祉・医療事業団の独立行政法人福祉医療機構への移行に伴い、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第118号から122号までは、契約の締結について、議第123号は、財産の取得について、議第124号は、県営住宅の明渡しおよび滞納家賃等の請求訴訟の提起について、また、議第125号は、住民訴訟にかかる弁護士報酬の負担について、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 次に、人事案件でありますが、議第126号は、滋賀県公安委員会委員に吉川治甫氏を任命することについて、同意を求めようとするものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。
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