本文へ移動

現在位置 :トップページ本会議の開催状況 › 知事提案説明(平成16年 7月定例会)

知事提案説明(平成16年 7月定例会)

知事提案説明をPDFファイルで掲載しています。

平成16年7月県議会定例会 知事提案説明

平成16年7月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員各位のご参集をいただき、7月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸問題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 まず、ワールドマスターズゲームズについて申し上げます。
 本県が招致に取り組んでまいりました2009年開催の第7回ワールドマスターズゲームズにつきましては、6月14日、カナダ・エドモントンで開かれました国際マスターズゲームズ協会の理事会において、オーストラリアのシドニーで開催されることが決定され、本県の開催を実現することには至りませんでした。

 スポーツを通じ、健康で豊かな人生を自ら構築することを目指しますマスターズスポーツの理念に深く共鳴して、昨年4月に正式に立候補を表明いたしまして以来、多くの皆さんのご支援とご協力をいただきながら、精一杯取り組みを重ねてまいりましたが、誠に残念な結果であり、ご協力いただきました関係の皆さんに申し訳なく思います。

 特に、日本オリンピック委員会や日本体育協会をはじめ、県内外のスポーツ関係者や招致委員会の皆さん、ならびにご支援、ご協力をいただきました県議会の皆さんや経済界、県人会の皆さんなど、最後まで応援をいただきました多くの方々に対しまして、改めて心からお礼申し上げる次第であります。

 招致そのものは残念な結果に終わりましたが、私たちがワールドマスターズゲームズを招致しようといたしました意義や気概はいささかも変わりませんし、招致活動を通じまして、滋賀県の目指す理念や志は、間違いなく国内はもとより世界に発信できたと考えております。

 我が国は、「世界一長生きできる国」となりましたが、長い人生を「健康」と「生きがい」を持って全うできる、真の「長寿社会」を実現しているとは言い難い状況にございます。この今の「長命社会」を、真の「健康長寿の社会」へと高めますためには、マスターズスポーツの実践が、そのカギになるものと考えます。

 そのためにも、滋賀県は、「誰もが」「いつでも」「どこでも」そして「いつまでも」スポーツとともに、健康で生きがいを持って暮らしていくことのできる、魅力のある「長寿社会のモデル」の創造に挑戦し続けてまいりたいと存じます。

 幸い、2007年には「日本スポーツマスターズ」が、また、2008年には「全国スポーツ・レクリエーション祭」が、滋賀県で開催の予定であります。こうした大会の成功を通じまして、ワールドマスターズゲームズに託しました思いを是非実現してまいりたいと考えております。

 次に、コイヘルペスウイルス病対策についてであります。
 昨年10月に茨城県霞ヶ浦のコイ養殖場でコイヘルペスウイルス病が確認され、本県でもほぼ同時期に、霞ヶ浦からコイを仕入れていた業者でコイヘルペスウイルスが確認されましたことから、法律に基づきまして、コイの処分や池の消毒など、まん延防止措置を命令したところであります。

 その後、冬場の低水温期にはこの病気も一旦鎮静化しておりましたが、春になりまして、水温の上昇とともに、瀬田川などで再びコイヘルペスウイルスが確認されるようになり、琵琶湖の天然水域におきましても、4月下旬以降日を追う毎にへい死ゴイの数が増加し、また、その地域も南湖から北湖へと広がることとなりました。

 県といたしましては、琵琶湖でコイヘルペスウイルスが確認された直後からコイヘルペスウイルス病対策チームを設置するなどその対策に努めてきたところでありますが、5月に入りへい死ゴイが急激に増加してきたことを受けまして、5月18日に廣田副知事を本部長とする「滋賀県コイヘルペスウイルス病対策本部」を設置し、全庁あげてこの事態の収拾に取り組んできたところであります。

 対策の一環として実施してまいりました、へい死ゴイの早期発見と早期回収につきましては、県漁連や地元漁協の皆さんの格段のご協力をいただきますとともに、私ども関係部局を中心として、湖岸に打ち上げられたコイの回収を行ってまいりまして、現在までに、10万尾を超えるへい死ゴイを回収したところであります。

 さらに、湖産魚介類に対する風評被害対策といたしまして、専門家による講演会の開催や、新聞・テレビなどを通じましたこの病気に関する正しい知識・情報の提供に努めるなどいたしましたほか、国に対しまして、こうした取り組みに対する財政的支援を要請したところであります。

 一時に比べまして、へい死ゴイ数は落ち着いてまいりましたが、まだまだ予断を許さない状況にありますし、湖産魚介類の売上げが減少するなどにより、水産関係者の経営にも深刻な影響が出始めております。このような事態に適切に対処するため、へい死ゴイの早期回収に引き続き取り組みますとともに、水産関係業者への金融支援を行うことなどを内容とする補正予算をとりまとめ、提案させていただくこととし、緊急対策事業を着実に実施して、万全を期してまいりたいと考えております。

 次に、今後の行財政改革の方針であります。
 国では、「三位一体の改革」によりまして、平成16年度から3年間に、一定の規模で国庫補助負担金の廃止、縮減等の改革と、税源移譲を含む国・地方間の税源配分の見直しおよび地方交付税の改革を行うこととしておられます。

 しかしながら、初年度の改革内容は、国の財政再建が優先され、国全体で1兆300億円の国庫補助負担金が廃止、縮減されたにもかかわらず、税源移譲は6500億円に留まっており、加えまして、暫定的な措置で、基幹税の移譲には至っておりません。さらに、地方交付税と臨時財政対策債を合わせまして、2兆8600億円にものぼる削減がされたところでありまして、地方自治体の自律的な財政運営を制度的に確立するという当然とも言える視点が全く欠落したものとなり、地方にとっては極めて不十分な改革であったと言わざるを得ません。

 このため、本県の平成16年度当初予算編成におきましては、三位一体改革による影響額181億円が上乗せされることになりました。300億円を超える巨額の財源不足を生じたところであります。これによって、県の財政構造改革による削減努力が相殺されてしまうという結果になり、緊急避難として県債発行や基金の取り崩しを余儀なくされたところであります。

 一方、市町村合併がこの10月からいよいよ本格的に実施されることとなり、合併の取り組みが順調に進みますと、県内の50の市町村が最終的には半数以下になるということも予想されます。基礎的自治体としての市町村はその規模が拡大し、体制が強化されることに伴いまして、住民に身近な事務は市町村が主体的に行うという「市町村優先」の考え方のもとにその役割の強化が期待されるところであります。

 こうしたことから、地方自治体としての県の役割や、国と県あるいは県と市町村の役割分担、県民との協働についてこの際改めて再検証し、さらにスリムで効率的な行財政運営を目指していくことが重要となってまいります。

 このため、県では、「官から民へ」「国から地方へ」という時代の大きな流れを踏まえたうえで、県行政のあり方について抜本的な見直しを早急に進めまして、三位一体改革の動向や市町村合併の進展等を踏まえた、県の行財政運営や組織体制等に関する基本的な方向を示す指針を策定することとしておりまして、平成17年度以降の県政運営につなげてまいりたいと考えております。

 去る6月4日に閣議決定されました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」におきましては、地方自治体の強い要請を受け入れまして、概ね3兆円規模の税源移譲と、3兆円程度の国庫補助負担金の改革を目指すと明記されたところであります。

 期間と具体的な金額が明示されましたことにつきましては、私といたしましても、大いに評価するものでありますが、分権改革の全体像が不明確になっていることや、地方交付税の見直しが不透明なことなど、まだまだ課題が大きいと言わざるをえません。今後は、全国知事会が地方6団体と協調しながら、この改革が真に地方分権の確立のために着実に実行されるように、国等に強力に働きかけていかなければならないと考えております。議員各位の格別のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

 次に、経済振興特別区域計画についてであります。
 この制度は、市町村、企業、大学や地域住民等が協働して、それぞれの地域の特性を最大限に活用しながら、「選択と集中」による幅広い経済振興の特例措置を講じることといたしまして、地域経済の活性化を図りますとともに、県全体の経済振興に結びつけることを目的といたしまして、本年度から、全国初の取り組みとしてスタートさせたものであります。

 去る6月1日から10日までの間、経済振興特別区域計画の申請を受け付けましたところ、9つの市町から7件の申請がございました。この中から、大津市および草津市から共同で申請のありました「びわ湖南部エリア新産業創出特区計画」、ならびに、長浜市から申請のありました「長浜バイオ・ライフサイエンス特区計画」の両計画につきまして、滋賀県経済振興特別区域計画として認定をすることといたしております。

 認定にあたりましては、まず、学識経験者等からなる滋賀県経済振興特別区域認定審査・評価委員会におきまして、それぞれの計画の戦略性や効果、実現可能性について専門的な見地から評価をいただき、ここでの意見を踏まえまして、県として、さらに課題や問題点についての検証も加えまして、総合的に判断をいたしました。

 その結果、「びわ湖南部エリア新産業創出特区計画」は、この地域に存在します大学等の知的資源および産業集積を活かした計画となっておりまして、今後の本県経済をリードする新しい産業の創出が期待できると判断したものであります。

 また、「長浜バイオ・ライフサイエンス特区計画」は、県および長浜市の施策を集中させることによりまして、今後の成長が期待されますバイオ産業の新たな創出・振興拠点の形成を促進することが期待できると判断したものであります。

 ただ一方で、今日、本県経済は、世界経済の大きな変化を背景として、国際的競争力を十分持つ強固な産業基盤を構築することが求められております。そのためには、国際的な地域間競争という視野に立って、地域の魅力を一層高めていく必要もございます。

 そうした点では、両計画にはまだまだ課題もあり、今後、県といたしましても、両地域で実施されます振興策につきまして、ともに知恵を絞りながら、支援に努めてまいりたいと考えております。

 また、残念ながら今回の認定には至りませんでした他の5つの計画につきましても、戦略性やアイデアという点で大変優れたものもございました。さらに、次回の申請に向けて、計画の作成を進めておられる地域もありまして、今後の展開に大いに期待をいたしているところであります。

 この特区制度の推進を通じまして、今回認定をいたしました両計画の推進はもとより、県内各地域の自主的・主体的な産業振興策を引き出し、それを育て、支援していくことで、活力に満ちた新しい地域経済の創造に向け努力をしてまいりたいと考えております。

 以下、今議会に提案いたしております案件の概要について、ご説明いたします。

 まず、予算案件でありますが、議第91号の一般会計補正予算は、先ほど申し上げましたコイヘルペスウイルス病緊急対策事業につきまして、へい死ゴイの回収や水産関係業者への支援に要します経費として、5,700万円を措置しようとするものであります。

 次に、条例案件でありますが、議第92号は、県民の利便性の向上および行政運営の簡素化・効率化を図るため、県の機関に係る申請、届出その他の手続等につきまして、書面によることに加えまして、インターネット利用等でも可能とする条例を新たに制定しようとするものであります。
 議第93号は、甲賀市、野洲市および湖南市を本年10月1日に設置することに伴いまして、関係条例の整備をしようとするものであります。
 議第94号は、地方税法の一部改正に伴い、個人県民税について、老年者控除を廃止するほか、自動車税について、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車の税率を重くする特例措置を講じるなど、所要の改正をしようとするものであります。
 議第95号は、政令の一部改正に伴いまして、近畿圏都市開発区域等における不均一課税の適用要件等について、所要の改正をしようとするものであります。
 議第96号は、誰もが安全で快適に暮らしていけるまちづくりを、ユニバーサルデザインの視点から、より積極的に進めていくため、条例の名称を「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」に変更するなど、所要の改正を行おうとするものであります。
 議第97号は、国の制度要綱の一部改正に伴い、生活福祉資金貸付事業の更生資金と障害者更生資金を統合しようとするものでありまして、議第98号は、障害者基本法の一部改正に伴いまして、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第99号から101号までは、病院事業会計など公営企業3会計の平成15年度決算について、認定を求めようとするものであります。
 議第102号から104号までは、契約の締結について、議第105号は、契約の変更について、議第106号および107号は、いずれも県営住宅の明渡しおよび滞納家賃等の請求訴訟および和解について、議第108号は、損害賠償の額を定めることについて、議第109号は、甲賀郡石部町と甲西町を廃し、その区域をもって湖南市を設置することについて、議第110号は、県道の路線認定について、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議第111号は、専決処分について承認を求めようとするもので、損害賠償請求控訴事件の上告を提起したものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、去る5月17日、ご逝去されました故菅沼利隆議員に対しまして、執行部を代表いたしまして、謹んで哀悼の意を捧げたいと思います。心からご冥福をお祈り申し上げます。ご生前の県政に対する数々のご貢献に対しまして、改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。

 以上で提案説明とさせていただきます。
Copyright © Shiga Prefecture. All rights reserved.