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知事提案説明(平成17年 6月定例会)

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平成17年6月県議会定例会 知事提案説明

平成17年6月県議会定例会 知事提案説明

 本日、議員各位のご参集をいただき、6月県議会定例会を開会し、提出をいたしました諸案件のご審議を願うにあたりまして、その概要をご説明いたしますとともに、当面する諸問題について所信の一端を申し述べたいと存じます。

 まず、アユ資源維持緊急対策について申し上げます。
 琵琶湖産アユは、琵琶湖漁業の漁獲高の約半分を占めるとともに、全国の河川放流用・養殖用種苗の約55%を供給するなど、本県において大変重要な水産資源でありますが、本年2月から5月までのアユ漁獲量は平年の3割にも満たない極端な不漁となっております。

 これは過去に例のない厳しい状況でありまして、県といたしましても危機感を強め、4月には庁内に「アユ資源対策検討会」を設置して、学識経験者の意見を聞きながら原因分析や対策の検討を進めてまいりました。

 その結果、十分解明できていないところもありますが、昨年秋の産卵期の直後に台風が本県を3回も縦断し、河川の急激な増水のために卵が流されたり、強い風雨のため湖水がかく乱されて、ふ化後のアユが死滅した可能性が大きく、また資源解析によりますと、今年のアユ資源量は平年の4割程度まで低下していると判断されているところであります。

 アユは「年魚」でありますことから、アユ資源量が少ないと今年の秋の産卵も極端に少なくなり、その後のアユ資源が減少していくという悪循環の可能性が懸念されます。

 このような事態に適切に対処するために、緊急対策として、人工河川を活用しアユの親魚13トンを追加放流するとともに、主要な産卵場所であります8つの河川について、カワウの食害から天然アユの産卵保護するなど、天然の再生産力を活用した資源維持を図ることによりまして、来年度のアユ資源に影響を及ぼすということを回避し、湖産アユの安定的な供給を図ってまいりたいと考えるものであります。

 次に、琵琶湖森林づくり県民税条例案について申し上げます。
 滋賀の森林は、生命の源である琵琶湖の豊かな水をはぐくみ、県土を洪水や土砂災害から保全して県民の生命や財産を守るとともに、多様な動植物の生息、生育の場であるなど極めて重要な機能を有しておりますし、私たち県民もまた、この森林から計り知れない恵みを享受し、琵琶湖や人々の暮らしと切り離すことができない、何ものにも代えがたい貴重な財産であります。

 こうしたことから、昨年4月に、21世紀にふさわしい森林づくりを目指して施行いたしました「琵琶湖森林づくり条例」の趣旨を踏まえまして、これまでの木材生産を軸としました林業振興施策に加えまして、森林の持つ公益的な機能が高度に発揮される環境重視の森林づくりを推進いたしますとともに、県民が森林に対する理解と関心を深め、主体的に参加して協働で森林づくりに取り組むという、新たな視点に立ちました施策を推進していくことが極めて重要であると考えるものであります。

 これらの施策は、緊急かつ継続的に実施する必要がありますし、また長期的な視点に立って着実に推進していくことが求められております。こうしたことから、その費用負担につきまして、「森林づくりの費用負担を考える懇話会」の提言も踏まえまして、県民の皆さんに税という形で広くご負担いただく仕組みを考え、県民税均等割に一定額を上乗せする制度を創設したいと考えるものであります。

 県民の皆さんには、新たなご負担をお願いすることになりますが、ご負担いただく貴重な税金を有効に活用いたしまして、森林の持つ様々な機能を維持・増進させ、琵琶湖と県民の暮らしを支えるかけがえのない滋賀の森林を、健全な姿で未来に引き継いでいくため努力してまいりたいと考えます。何とぞご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 次に、公の施設における指定管理者制度の導入についてであります。
 社会福祉施設や社会体育施設などの、いわゆる公の施設の管理運営を委託しようとする場合に、これまでは、委託の相手方として、住民に対しその平等な利用を保障するとともに、適正な管理を確保するといった観点から、公共団体や公共的団体、あるいは県が出資をいたしております一定の法人に限定して行ってまいりました。

 しかし、近年、「民間でできることは可能な限り民間に委ねる」といった構造改革の基本方針を背景にいたしまして、行政サービス分野への民間参入が幅広く議論されるようになり、行政が実施しております業務分野におきましても、十分なサービス提供能力が認められる民間団体も増加してきております。

 こうした流れを踏まえまして、平成15年9月に地方自治法の一部が改正され、公の施設の管理運営において、民間のノウハウを広く活用することを視野に入れ、住民サービスに効率的・効果的に対応できるように、管理者の範囲に制約を設けない指定管理者制度というのが創設されました。

 この制度におきましては、公の施設の管理運営主体として、民間事業者も広く対象とすることになりますほか、これまで契約による管理委託でありましたが、そうではなく、議会の議決を伴う「指定」という行政処分によるものとなりまして、施設の管理権限も大幅に拡大されましたことから、管理運営のあり方を大きく転換させるものと受け止めております。

 本県といたしましては、平成14年以来、公の施設のあり方につきまして、施設整備後の様々な環境変化等も踏まえまして、行政改革の推進という観点から、引き続き設置する必要性といったことを含め抜本的な見直しを行ってきたところであります。施設の管理運営を受託している出資法人等の見直しにつきましても数次にわたりまして取り組みをいたしますことにより、法人の統廃合や経費の節減など一定の成果を上げてきたところであります。

 このたびの指定管理者制度の導入に当たりましては、これに先立つ県立施設のあり方等の検討結果を踏まえながら、多様化する住民ニーズに即応いたしまして、公の施設の効用を最大限に発揮させ、行政サービスの向上と経費の節減を図ることができるように、新たな行政改革の一つの手法として、この積極的な活用を図ってまいりたいと考えるものであります。

 具体的には、経過措置の期限もありますので、平成18年4月1日からこの指定管理者制度を導入してまいりたいと考えます。

 今後は、指定管理者の選定等の手続き面で、透明性や公平性の確保にも十分留意しながら、新しい管理体制に円滑に移行できますよう万全を期してまいりたいと存じます。

 次に、東海道新幹線新駅について申し上げます。
 新幹線新駅の設置につきましては、県、栗東市ならびに周辺関係市の協力のもと、長年にわたりまして取り組みを進めてまいりました結果、平成14年4月にJR東海との基本協定を締結することができ、念願でありました新駅設置が正式に決定したところであります。その後、県におきましては、新駅設置工事着手に向けました条件整備を図るべく、主導的に関係市との地元費用負担の調整にあたってまいりました。

 先の2月県議会でも申し述べましたように、既に県は、地元が負担すべき新駅設置費用の2分の1を負担する方針といたしましたが、関係する各自治体との協議を重ねてまいりました結果、このほど、それぞれの負担額についてお互いに確認し、これを債務負担行為として予算措置していくことが必要であるという認識で一致したところであります。そして、栗東市をはじめとしまして関係各自治体が順次、新駅の費用負担を各議会にお諮りすることで合意したところであります。

 費用負担の調整につきましては、当初の予定から1年以上の遅れが生じ、基本協定の締結からも既に3年が経過しておりまして、新駅設置を請願してまいりました地元自治体といたしましては、JR東海との約束を果たすべき時期を迎えております。このような中にありまして、関係各自治体とも具体的な行動に移していくべき時期であるとの考え方で一致し、今回の費用負担について一定の合意が図れたものであります。県といたしましても、諸条件が整い次第、所要の議案を今議会にお諮りしたいと考えております。

 一方、新駅設置につきまして、去る6月4日に「滋賀の元気なまちづくり県民会議」の設立総会が開催され、私も参加させていただきました。長年参議院議員としてご活躍いただいてまいりました河本英典氏をはじめ、滋賀を代表する経済界の方々等が発起人になられまして、今後、新駅設置等の啓発活動や募金活動に取り組まれるという計画であり、誠に心強い思いをいたしております。この活動が県内に大きく広がりまして、成果が上がることを期待申し上げる次第であります。

 次に、琵琶湖・環境科学研究センターおよび環境学習支援センターについて申し上げます。

 「環境こだわり県滋賀のさらなる前進」のための確かな基盤づくりとなります琵琶湖・環境科学研究センターと環境学習支援センターの二つの中核施設が、それぞれこの6月15日と6月17日に相次いでオープンいたしまして、本格的な活動をスタートさせることになりました。

 まず、琵琶湖・環境科学研究センターでありますが、琵琶湖研究所と衛生環境センターの環境部門を統合いたしまして、琵琶湖と本県の環境に関わります総合的な試験研究機関として生まれ変わったものでありまして、行政課題や社会ニーズを適切に反映できる試験研究機能と、情報収集や研究成果の発信等に対応できる機能を有しておりまして、政策展開と幅広い県民の取り組みを支援いたしますとともに、国内はもとより世界に向けて情報発信し、自然と人間が豊かに共生できる持続可能な社会の形成に向けて、その一翼を担う拠点となるものであります。
 また、環境学習支援センターにつきましては、昨年3月に議員提案により制定されました「滋賀県環境学習の推進に関する条例」で謳われております県民の主体的な環境学習を推進するための施策として、矢橋帰帆島の水環境科学館内に開設をいたしたものでありまして、県民の皆さんや、地域団体・NPO、学校、事業者、行政等多くの皆さんのご参画のもとに、それぞれの主体的な取り組みの充実やそのネットワークづくりをサポートしていきたいと考えております。

 言うまでもなく、琵琶湖は、県民をはじめ多くの人々の心のよりどころでありますし、と同時に、我々の生活を映し出す鏡でもあり、また、世界的にもかけがえのない貴重な財産であります。この未来からの預かりものでもあります琵琶湖を持つ環境こだわり県といたしましては、複雑化・多様化します環境問題を解明していくためには、琵琶湖とその流域を一体のものとして見据えた総合的な視野に立った取り組みが求められております。

 環境の世紀と言われております21世紀に、新しくオープンいたしましたこの二つのセンターが、まさしく環境分野で先導的な役割を果たしていくことによりまして、「自然と人間がともに輝くモデル創造立県・滋賀」の実現を力強く推進してまいりたいと存じます。

 以下、今議会に提案いたしております案件の概要について、ご説明申し上げます。

 まず、予算案件でありますが、議第99号の一般会計補正予算は、先ほど申し上げましたアユ資源維持緊急対策事業につきまして、アユ親魚の追加放流や天然アユの産卵保護に要します経費として、2,500万円を措置しようとするものであります。

 次に、条例案件でありますが、議第100号は、「環境重視の森林づくり」や「県民協働による森林づくり」という視点に立って、多様な施策を緊急かつ継続的に推進し、かけがえのない滋賀の森林を健全な姿で未来に引き継いでいくことが必要でありますことから、これらの施策に要する経費の財源を確保するために、新税の条例を制定しようとするものであります。
 議第101号は、米原市と近江町が本年10月1日に合併することに伴いまして、関係条例の整備をしようとするものでありますし、議第102号は、現在の草津文化芸術会館を廃止し、新たに県民の芸術の創造に係る活動支援等の拠点となります文化施設として、「しが県民芸術創造館」を設置しようとするものであります。
 議第103号および104号は、いずれも指定管理者制度の導入に伴いまして、指定管理者による情報公開および個人情報保護に関し、それぞれ必要な措置を講じられるよう、所要の改正を行おうとするものであります。
 議第105号は、地方税法の一部改正等に伴いまして、個人県民税について、65歳以上で前年の合計所得金額が125万円以下の方に対する非課税措置を廃止することや、法人県民税法人税割の特例措置について、その適用期間を5年間延長するなど、所要の改正を行おうとするものであります。
 議第106号は、省令の一部改正に伴いまして、過疎地域における課税免除の適用要件等について、所要の改正を行おうとするものであり、議第107号は、指定管理者制度の導入に伴いまして、利用料金制度を導入する公の施設の使用料を、各施設の設置および管理に関する条例で新たに規定いたしますことから、所要の改正を行おうとするものであります。
 議第108号は、県民の利便性の向上および行政運営の一層の簡素・効率化などの観点から、住民基本台帳ネットワークシステムを利用する事務の範囲を拡大するため、所要の改正を行おうとするものであります。

 議第109号、110号および112号から155号までは、いずれも平成18年4月1日から指定管理者制度を導入することに伴いまして、指定管理者による管理の根拠規定の整備など、所要の規定整備を行おうとするものであります。
 議第111号は、児童福祉法の一部改正に伴いまして、所要の規定整備を行おうとするものであります。

 次に、その他の案件でありますが、議第156号は、契約の締結について、議第157号は、財産の取得について、議第158号は、滋賀県土地開発公社定款の変更について、それぞれ議決を求めようとするものであります。

 以上、何とぞよろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、去る6月9日にご逝去されました故北川弥助前県議会議員に対し、執行部を代表いたしまして、謹んで哀悼の誠を表したいと存じます。
 昭和25年から連続14期、53年余にわたりまして滋賀県議会議員を務められ、この間、議長の重責を3回担われるとともに、琵琶湖総合開発事業の推進をはじめ、土地改良事業や商工業の振興など県政各般に大変なご尽力いただきました。
 まさに94年余の人生そのものを滋賀県政の発展と県民福祉の向上に捧げていただき、戦後の滋賀県政を貫く太い柱としてご活躍いただいただけに、一つの時代の終わりを思わずにはいられません。
 ここに改めまして、長年県政へ多大なご貢献をいただきましたことに対しまして深く感謝を申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 以上をもって、提案説明とさせていただきます。
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